■本命たる所以を発揮
日本と同じく2次予選を全勝で突破したオーストラリア。グループBは突破の本命として戦うことになる。帰化戦略で戦力を増強した中国とカタールの地で迎える最終予選の初戦である。
ゆったりとした保持で試合に入ったのはオーストラリア。自陣の浅い位置まで使った深さをもたらすビルドアップで、中国をおびき寄せる。それに対してどこまで出ていくか?という部分を問われた中国。若干その対応は曖昧になっていたように見えた。特に左サイドハーフの17番のウー・シンハンが出ていったあと、ややポジションに戻らないことで、大外を空けてしまうことが気になった。
オーストラリアはSBを左側だけ上げる意識を高める3バック的な変形。左はSBのベヒッチが高い位置を取り、WGのメイビルがやや絞り目の位置。やや5レーン意識は高いチームのように思えたが、右の大外は埋まらないこともあった。CHは縦関係でアーヴァインがDFラインからボールを引き出す役割をこなす一方で、フルスティッチは前目に位置する。
オーストラリアの前線が大事にしていたのは奥行き。特に両WGの2人が縦に抜ける意識が高め。2点のゴールはどちらもWGの裏抜けが効いたところから。中国のミドルゾーンに構えるバックラインをあっさり壊してしまった。
中国のビルドアップは2人のCBに対してうまくサポートを作れなかったように思う。SBは早い段階で上がってしまい、CHは背中でオーストラリアのトップに消されており、前線に蹴るしかやりようがない。だが、エウケソンは独力でキープ力を生み出せるほどの凄みはなし。偶発的に右のウー・レイのドリブルがスピードに乗った時しかチャンスにならなかった。
中国は押し込んだ際もサイドの攻撃の糸口はなし。手詰まり感がオマーン戦の日本の振る舞いと似ている感じがしたのは寂しかった。特にエウケソンのポストを使ってサイドを変えた後の停滞感とかはそっくり。結局個人技頼みが否めなかった。オーストラリアが流麗なサイドチェンジからダメ押しの3点目を決めたのとはあまりにも対照的だった。
試合はオーストラリアの完勝。内容をみても保持での落ち着き、カウンターの威力、横断での崩しなどあらゆる局面でオーストラリアが中国を上回り、グループBの本命としての存在感を示した。
試合結果
2021.9.2
カタールW杯アジア最終予選 第1節
オーストラリア 3-0 中国
ハリーファ国際スタジアム
【得点者】
AUS:24′ メイビル,26′ ボイル, 70′ デューク
主審:コ・ヒュンジン