■勝負を分けたのは後半の機能性
共に4-4-2同士の噛み合わせとなった一戦。攻撃に軸足を置いた両チームのスタイルを踏まえた通りの非常にオープンな戦いとなった。
サウサンプトンは昨シーズンのスタイルからマイナーチェンジ。昨季はとにかくライン間のCFに縦パスを入れて、SHが落としを受けて直線的にゴールを狙うやり方を狙っていたが、この試合では最終ラインにCHが落ち、押し上げたSBを経由しながら外に循環させつつ前に進んでいくやり方を取り入れていた。
一方のエバートンは非常に直線的。詰められるとシンプルにキャルバート=ルーウィン目掛けたロングボールを狙っていくという形。これだけだと後方からの押し上げが間に合わない!となりそうなものだけど、縦への速い展開もCHが運動量で何とかしているのがすごいところ。間延びしたロングボール一発でも前線への顔出しが間に合うのだから、ドゥクレは唯一無二である。ちなみにキャルバート=ルーウィンはロングボールを収める精度が昨季よりちょっと落ちている気がしたので、続けて観察していきたいところである。
どちらのチームも守備の部分では課題が浮き彫りになった試合でもあった。特にサイドにボールがあるときはボールサイドへのスライドが甘く、たとえ速い攻めでなくても保持側が間や裏を使うことはそんなに難しくなかった。FWもプレスバックをしないため、マイナスのパスでのやり直しもOK。非保持側はほぼ保持側のプレーを制限できず、持っている側のミス待ちのような状態が続いた。
どちらの攻撃が相手の守備ブロックを貫くか?という流れの中で先制点は意外な形で入る。トリガーになったのはマイケル・キーン。珍しく、シンプルに縦に蹴らずに出しどころを探っているなと思ったら、詰められてスペースがなくなり、ボールロスト。最後はA.アームストロングが1対1の局面からゴール角に打ち込みサウサンプトンが先制する。
しかし、後半にミスが出たのはサウサンプトンのバックス。セットプレーの流れから、跳ね返しに伴うラインアップを怠ると、裏に抜けたリシャルリソンを完全にフリーに。頭を越されたサリスは切ない。せっかくセットプレーを跳ね返したのに、遅れて押し上げた挙句簡単に相手を離してしまった。
後半はサウサンプトンのプレスが徐々に積極性を失う。体力の低下からか、中盤を素通りさせる場面が増える。その結果、エバートンが相手陣でプレーする機会を得ることになる。効いていたのは交代で入ったイウォビ。落ち着かない全然の中でボールを収め、空いているスペースを探してパスを入れることでサウサンプトンの守備に穴をあける。
2得点目のドゥクレのゴールはスーパーだが、3失点目のキャルバート=ルーウィンのゴールはあそこまで入られてしまえば必然といっていいだろう。終盤に相手の機能性低下を見逃さなかったエバートンが逆転での開幕戦勝利を手にした。
試合結果
2021.8.14
プレミアリーグ 第1節
エバートン 3-1 サウサンプトン
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:47‘ リシャルリソン, 76’ ドゥクレ, 81’ キャルバート=ルーウィン
SOU:22’ アダム・アームストロング
主審:アンディ・マドレー