先制点をきっかけにミスの連鎖で大量失点
ホームでインテルを迎え撃つエラス・ヴェローナの姿勢は実にアグレッシブなものだったといえるだろう。特に目立っていたのは非保持のスタンス。中盤をマンツー気味に守ることでインテルの中央のパスルートを寸断。前進を積極的に阻害していく。
インテルはこれに対して、バックラインの列上げとFWの列下げで縦関係を入れ替わりながらボールを動かしていく。前線は降りてくる動きだけでなく裏抜けのアクションも豊富だった。とにかく縦に揺さぶりながらどこまでついてくるかをテストしていく。エラス・ヴェローナのバックラインは特にインテルの前線の動きに対しては降りていっても裏に抜けていってもついていくことを徹底していた、
その分、後方からの攻め込みの加勢にはエラス・ヴェローナはあまりいい手を打てていないように見えた。ダンブロージオのキャリーなど、DFラインの持ち上がりは確実にインテルを前進させる。
ただし、インテルは最後の局面のズレを作るのに苦心。なかなか押し込む流れを決定機につなげることが出来なかった。しかし、30分を過ぎたところでセットプレーからインテルがオウンゴールで先制点をゲット。このゴールで試合の流れが変わる。
続く36分にチャルハノールがブロックの外から見事なゴラッソを決めると、自陣からのつなぐ意識が強かったエラス・ヴェローナは立て続けにビルドアップミスから失点。あっという間に試合が終わってしまった。
こうなると後半は同じテンションで守るのは難しくなってしまうヴェローナ。インテルは無限にポゼッションしながら敵陣に攻め込んでいく。後方からのズレは作りやすくなり、5点目などは前半ではなかなか見られなかったスムーズな前進から生まれたものになる。
インテルが攻め込み、ヴェローナが前半よりも明らかに低いテンションで受け続けるという構図は90分間延々と続くことになる。インテルは結局、ラウタロとジェコによって後半さらに3点を加点。2桁の枠内シュートを浴びせ続ける猛攻を披露し、立ち上がりは活きが良かったヴェローナを完膚なきまでに叩きのめすことに成功した。
ひとこと
立ち上がりは十分な規律で守れているチームが、少しのきっかけで崩れてしまうというのはよくある話。特にリトリートにせよ、ハイプレスにせよ極端なプランを敷いてくるチームはこれにあてはまる傾向が強い気がする。
試合結果
2023.5.3
セリエA 第33節
エラス・ヴェローナ 0-6 インテル
スタディオ・マルカントニオ・ベンテゴディ・スタジオ
【得点者】
INT:31’ ガイチ(OB), 36‘ チャルハノール, 37’ 61‘ ジェコ, 55’ 90+2‘ マルティネス
主審:ダニエレ・オルサト
