後半追加タイムだけ得点機会がハレーション
CLでの躍進は目を見張るものがあるが、ユベントスが取り上げられていた勝ち点が手元に戻ってきたことで、来季のCL出場権が危ういものとなっているミラン。オリンピコでのローマ戦はハードなものになるのは確実だが、ここは勝ち点3が欲しいところである。
試合はボールを持つ側のミランと持たれる側のローマという形でくっきりとコントラストが分かれる形だった。CBにCHが縦関係を形成することで絡んでいくミランのビルドアップはいつも通りの方針。ローマの3センターの外側に起点を作ることで前進を狙っていく
だが、ミランはそこから先の前進の手段が見えない状況。中盤より背後にボールを送る術を用意していないように見えた。特にインサイドのCF+2列目はローマの堅い中央ブロックによって試合から締め出されており、ジルーを軸としたポストからの前進はなかなか難しい状況だった。
ローマはさすがモウリーニョといったところだろう。サイドからボールをある程度運ばれることはミランに許容するが、スライドしてサイドに追いやるように守るやり方をこれだけスマートにできるのは素晴らしいクオリティである。序盤にクンブラの負傷でクリスタンテが最終ラインに入っても多少ラインは下がる程度でサイドのスライドのバランスは崩れていなかった。
その代わり、自陣の深い位置からの前進の手段は見つからなかった。CFにボールを当てても収まらず、ミランの陣内に侵入する手段が見つからない。攻撃の光は見当たらず、ミランがローマの守備ブロックを攻めあぐねるモノトーンな展開が続くことになる。
また、接触が多く負傷交代や負傷によってプレーが止まることが非常に多かったのもこの試合の特徴。ある意味攻撃にリズムが出ないのも当然で、選手は度重なるプレーの中断でやりにくそうな状況だった。
後半も試合の流れは変わらない。ミランがボールを持つ、ローマはインサイドを閉める、しかしローマは保持のターンを持ってくることができない。少しミランはファストブレイクの成分を強めてはみるが、速度を上げる分正確さを担保できなくなるので、ローマの守備ブロックを壊すよりも自分たちのプレーの精度がついてこなくなる方が先だった。
選手を交代してもなかなか流れは変わらない。このままスコアレスドローで終わりかと思われた試合は終盤になって突然動きだす。高い位置にボールを運べなかったローマが後半追加タイムに途中交代のエル・シャーラウィから敵陣にボールを運ぶシーンを作ると、少しずつ攻撃のリズムを掴んでいく。
すると、チェリクがデ・ケテラエルからボールを奪ったところでカウンターを発動。最後はエイブラハムまでボールを届けてカウンターを完結。最後の最後にようやくゴールをこじ開ける。
これが決勝ゴールになるかと思われたが、ミランがあっさりと反撃に成功。レオンのクロスをサレマーカーズが押し込んで土壇場で追いつく。
後半追加タイムだけ得点の機会がハレーションした一戦は勝ち点1を分け合うドローで幕を閉じることとなった。
ひとこと
モウリーニョのローマ、先制したら絶対勝ちそうと思ったけどそんなことなかったね。
試合結果
2023.4.29
セリエA 第34節
ローマ 1-1 ミラン
スタディオ・オリンピコ
【得点者】
ROM:90+3‘ エイブラハム
MIL:90+7’ サレマーカーズ
主審:ダニエレ・オルサト