得点が流れを変えない消化試合
序盤の貯金をきっちりと活かして残留争いとは無縁な1年に終わったフラムと強豪との連戦という日程の偏りが解消された春先から調子を上げてあっという間に沼を抜け出したパレス。それぞれのルートで残留争いを回避した両チームによるロンドンダービーである。
どちらも降格の心配がないという牧歌的な状況とは裏腹に、試合はミトロビッチの流血を伴う負傷でスタート。やや物騒な立ち上がりとなった。
ボールを持ったのはパレス。自陣でのパス交換からフリーマンを作ると、ロングボールでフラムのバックラインと積極的にデュエルする局面を作っていく。しかし、このロングボールが繋がらず。自慢のアタッカー陣が前を向くことができないパレスはなかなかチャンスを作ることができない。
一方のフラムもパレスの1トップ主体のプレスは簡単に回避はできるものの、ボール回しは停滞気味。インサイドにポイントを作って加速することができず、得意な縦への推進力を作り出すことができない。
よって、試合は非常にチャンスの少ない前半に。チャンスらしいチャンスといえばフラムが時折手にするセットプレーくらいのものだったと言えるだろう。
しかし、試合を動かす先制点はそのフラムのセットプレーをひっくり返したものだった。セットプレーの機会を逆に利用したロングカウンターでチャンスを掴んだクリスタル・パレス。エドゥアールが完結まで持っていき、パレスが先手を奪い取る。
先制点はあまりこの試合を動かすことはなかった。前半は得点前後ともにモノトーンで非常にチャンスの少ない45分だった。それだけにウィルソンがミッチェルに倒されて獲得したPKは非常に大きなチャンス。これをミトロビッチが仕留めて前半のうちにフラムが追いつくことに成功する。
同点の勢いに乗ったフラムは後半の頭にいきなりの決定機。右サイドの崩しからミトロビッチが決定機を迎えるが、これを仕留めることができず。大きなチャンスを逃しての立ち上がりとなった。
しかし、セットプレーのやり合いとなった後半で先手を打ったのはフラム。大きな決定機を外したミトロビッチがセットプレーからネットを揺らし、フラムがこの試合初めて前に出ることに成功する。
この試合の特徴はあまり得点が流れを変えないこと。フラムの逆転ゴールも試合の展開を動かすことはなく淡々と時間が進んでいく。
流れをほんのり変えたのは交代で入ったマテタ。投入直前から糸口となっていた右サイドのフリーランを活性化。徐々に押し返す流れを作っていく。
すると再び試合を動かしたのはセットプレー。ウォードの同点ゴールでまたしても試合を振り出しに戻す。
終盤はパレスが押し込む流れになったが、白黒をつけるためのゴールを掴むことはできず。試合は痛み分けのままフルタイムのホイッスルを迎えた。
ひとこと
結構淡々と進んだ流れでいかにも消化試合だなという感じの展開だった。
試合結果
2023.5.20
プレミアリーグ 第37節
フラム 2-2 クリスタル・パレス
クレイヴン・コテージ
【得点者】
FUL:45+5′(PK) 61′ ミトロビッチ
CRY:34′ エドゥアール, 83′ ウォード
主審:ジョシュ・スミス