■前線の厚みを自在に操るアヤックスが完勝スタート
近年、チャンピオンズリーグで存在感を見せているアヤックス。難しいグループに入ったが、まずは初戦、ホームでレンジャーズをきっちり叩くことでスムーズなスタートを決めたいところである。
序盤は互いに高い位置からプレスをかけて相手に蹴らせる展開に。だが、10分もしない段階で試合はアヤックスがボールを持つ流れで落ち着くことになる。レンジャーズはアルバレスにはトップ下のティルマンがチェックをかけるが、縦横無尽に動き回る相棒のテイラーは捕まえられなかった。アヤックスのボール保持をレンジャーズは阻害することができなかった。
アヤックスはレンジャーズのプレスの枚数によってビルドアップにかける人数を変えていたのが印象的だった。配置に従えば前線の枚数は2列目より前の4人なのだけど、SBに加えて中盤の選手の前線の飛び出しによって厚みを増していく。よく5レーンとかいうけども、アヤックスはそこに誰がどこに飛び出していくのか？という不確定要素を載せながらポゼッションしていた。前線のアタッカーがあまりポジションを選ばないタイプというのもこのプランに向いているように思う。
押し込む機会を得たアヤックスはセットプレーから先制。フリーのアルバレスがCKを叩き込みアヤックスが前に出る。アヤックスは先制点でさらに攻勢を強める。彼らの攻撃は高い位置のサイドに置いて局所的に数的優位を作りながらオーバーロード的に打開していくスタイル。ワンツーで侵入し、ベルハウスが決めた2点目などは彼らのらしさが現れた形である。
逆に3点目は異質。背負って強引に一人で打開し、フィニッシュまで持っていったクドゥスのゴールは強烈なインパクトだった。クドゥスは後半も背負った位置からインサイドに入っていくなど、他の選手とは違う強引さでのアプローチが目立っていた。
あっという間に3点リードを奪われたレンジャーズは後半5-4-1にシフト。狭いスペース打開を狙うアヤックスを封じるのには悪くないプランだろう。レンジャーズは自陣からの脱出で意外と敵陣でのファウルをもらうことはできてもいたし、保持の面でも大きく不具合があるわけではなかった。
しかし、敵陣深くまで侵入できるか？と言われるとそれはまた別の話。反撃に出るというよりは試合を落ち着けてクローズするためのプランという意味合いが強いだろう。
アヤックスはそれでも終盤に一刺し。高い位置からのプレッシングでジャックのパスミスを掻っ攫ったベルフワインが4点目を仕留めてとどめ。アヤックスがレンジャーズを叩きのめしての完勝。好発進で開幕戦を飾った。
試合結果
2022.9.7
UEFAチャンピオンズリーグ
Group A 第1節
アヤックス 4-0 リバプール
アムステルダム・アレナ
【得点者】
AJA:17′ アルバレス, 32′ ベルハイス, 33′ クドゥス, 80′ ベルフワイン
主審:トビアス・スチュイラー