無限ポゼッションで逃げ切り失敗も再び突き放す
ネーションズカップの準決勝はワールドカップでベスト4まで進んだクロアチアとメッシの物語をハイタワー作戦で終わらせかけたオランダである。勝った方がファイナルの1つ目の席を手にすることになる。
より積極的なプレッシングを行ったのはクロアチア。高い位置から追い回す動きを見せるが、前から枚数を合わせて捕まえきる感じではない。よってオランダもバックラインの余っているところからボールをキャリーすることができた。
保持におけるオランダの座組は3-2-5。CBのヘールトロイダが1列前に入りながらボールを前に進めるアクションを行う。トップ下に入ったコープマイネルスはボールサイドに顔を出しながらホルダーをサポートする。降りて受ける彼はクロアチアにとってはバグだった。
前進はライン間優先。中央の数的優位+ガクポ、コープマイネルスのCBとWBの間で受けるアクションを見せていく。得点のトリガーになったのは左サイドに流れたガクポから。アケ+ウィーファーで逆サイドに脱出。余ったマレンが仕上げて先制する。中央とサイドの両方で駆け引きできるガクポがうまく相手を引き付けられるのはやはりでかい。
一方のクロアチアのボール保持はオランダの保持に比べてもゆったりとしたものだった。オランダのプレスの優先度は非常に低く、クロアチアのバックラインはゆったりとボールを持てる状況となる。
よって、クロアチアのCBのキャリーの能力が問われることになる。右のCBであるシュタロが非常に積極的に出ていくことで繋ぎを行っていく。
中盤も含めてプレス回避は上々。オランダのプレスに引っかかる様子はなかったといえるだろう。しかしながらプレスの回避をどこまでゴールチャンスにつなげるかのところにはまだ手がついていない状況だった。
リードを許したクロアチアは後半から反撃に出る。左サイド、ダンフリースの裏を集中攻撃。ペリシッチとイヴァンシッツでこのサイドから攻め込んでいきクロスを上げていく。
エリア内の対応が増えていくオランダ。するとガクポがエリア内でモドリッチをひっかけてしまうという痛恨のミス。献身性があだとなり、クロアチアに試合を振り出しに戻すチャンスを与えてしまう。
追いつかれたオランダは高い位置からのプレッシングで反撃に出る。特に狙っていたのはクロアチアの左CBであるヴィダ。サイド際に追い込みながら苦しいフィードを蹴らせて回収という流れで高い位置からのプレッシャーをかけていく。
互いに攻め手がある中で結果を出したのはクロアチア。左サイドからの崩しを逆サイドのパシャリッチが仕留めて勝ち越しに成功。
これ以降のクロアチアは無限ポゼッションから逃げ切りを図る。こういう時のクロアチアの中盤は本当に厄介。保持のために動くのが抜群にうまく、試合は延々とクロアチアの保持で進んでいく。
しかしながら、オランダも90分にベルフワインの抜け出しから敵陣に押し込むきっかけをつかむ。すると、後半追加タイムにノアラングが丁寧に押し込み同点。土壇場で追いつく。
延長戦はどちらのチームも保持側が長い時間を過ごす形になっていたが、一日の長を見せたのはクロアチア。ペトコビッチの突き刺さるような一撃で再びリードを奪う。
終盤は再び得たPKをモドリッチが決めて試合は完全に決着。クロアチアがオランダを延長で下し、決勝戦進出を決めた。
ひとこと
クロアチアの無限ポゼッションえぐかったなぁ。
試合結果
2023.6.14
UEFAネーションズリーグ
準決勝
オランダ 2-4 クロアチア
フェイエノールト・スタディオン
【得点者】
NED:34′ マレン, 90+6′ ノア・ラング
CRO:55′(PK) クラマリッチ, 72′ パシャリッチ, 98′ ペトコヴィッチ, 116′(PK) モドリッチ
主審:イシュトバン・コヴァーチ