外から打ち抜ける10番
イタリア、ウクライナという難敵を退けて厳しい組み分けとなったグループCの首位を走るイングランド。マルタと北マケドニアという比較的楽な試合が並ぶ6月シリーズではきっちりと勝ち点を積み重ねたいところである。
マルタのフォーメーションは5-3-2という形。当然空くのはイングランドのSBのスペースである。このスペースを誰がつぶしに行くのか?がキーになる。マルタは左右非対称の形でこれに対応。右サイドはIHのギラウマーが出ていく一方で、左サイドはWBのアッタードが出ていくこととなった。
マルタは後ろに重心こそかけてはいるが、ライン自体はそこそこ高い。ただし、ライン間はコンパクトといった状態。イングランドは後方に重心を傾けながら、攻略のしどころを探す。
後方に人数をかけている状態でのブロック崩しは大きな一発のパスでブロックに特大ダメージを与えられるか?がポイントになる。この日のイングランドの10番はそれができる選手である。落ちる動きを見せたアレクサンダー=アーノルドは裏に抜けるサカにパスを出して局面を一気に前進させる。
サカの並行サポートで走ったケインへの折り返しはアパップのオウンゴールを誘発。触っていなければケインが決めていただけなので、致し方ないチャレンジだといえるだろう。8分という早い時間にイングランドが制する。
イングランドはその後も主導権をがっちりと握る。右サイドのサカを中心とした崩しとインサイドの中盤の裏で縦パスを引き出しての中央攻略のコンボでマルタを追い込む。
イングランドの2点目はライン間のマディソンから。前をむいたマディソンから一気に押し下げると、空いたスペースに入り込んだアレクサンダー=アーノルドがミドルレンジを打ち抜くシュートで追加点を決める。
さらには立て続けにケインがPKをゲット。前半のうちに3点を決めたイングランドによって、試合は45分を待たずに勝負が決まった格好である。
マルタはボールを持つターンになればバックラインがGKを絡めたポゼッションでビルドアップを試みていたし、前線ではジョーンズが体を張ったキープで時間を作り出そうとしていた。
後半はより積極的なプレッシングで点差を埋めにかかるが、イングランドの落ち着いたプレッシングですぐに鎮静化。イングランドもまた急いでゴールに向かう様子を見せなかったので、ゴールに向かう動き自体はかなり少ない後半となった。
後半唯一の得点はハンドを誘発したウィルソンが獲得したPK。これを自ら決めてイングランドは後半に1点を追加。試合を最後までコントロールし、順当に勝ち点3をつかみ取った。
ひとこと
押し込めてカウンターが怖くない相手に対して、外からパスでもシュートでも打ち抜けるアレクサンダー=アーノルドの中盤起用はなかなかえぐいかもしれない。
試合結果
2023.6.16
EURO 2024 予選 グループC 第3節
マルタ 0-4 イングランド
グラウンド・ナジョナリ
【得点者】
ENG:8’ アパッップ(OG), 28‘ アレクサンダー=アーノルド, 31’(PK) ケイン, 83‘(PK) ウィルソン
主審:イゴール・パジェック