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「コミュニティ・シールドで見えた今季のテーマ」~2023.8.12 プレミアリーグ 第1節 アーセナル×ノッティンガム・フォレスト プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第1節
2023.8.12
アーセナル(昨年2位/26勝6分6敗/勝ち点84/得点88 失点43)
×
ノッティンガム・フォレスト(昨年16位/9勝11分18敗/勝ち点38/得点38 失点68)
@エミレーツ・スタジアム

戦績

過去の対戦成績

 過去10回の対戦でアーセナルの6勝、フォレストの4勝。

アーセナルホームでの成績

過去10回の対戦でアーセナルの6勝、引き分けが4つ。

Head-to-head from BBC sport

Head-to-head
  • アーセナルは公式戦のホームのフォレスト戦において12試合無敗(W8,D4)。エミレーツでは直近2試合で5-0。
  • フォレストは昨季ホームでアーセナルに勝利してプレミア残留を確定。アーセナル戦に連勝すれば1978年以来のことになる。
  • フォレストのアーセナル戦最後のアウェイでの勝利は1989年3月のハイバリーでの3-1。

スカッド情報

Arsenal
  • デクラン・ライス、カイ・ハヴァーツ、ユリエン・ティンバーにリーグデビューの可能性。
  • ガブリエル・ジェズスは膝の怪我で欠場。
Nottingham Forest
  • マット・ターナーにはデビューの可能性。
  • タイウォ・アウォニイはトレーニングには戻ったが、足首の怪我に苦しんでいる。
  • アンソニー・エランガにもデビューの可能性。

Match facts from BBC sport

Arsenal
  • 昨季は248日首位に在位し、リーグタイトルを逃したチームとしては最多。
  • 22-23は26勝を挙げており、01-02,03-04に並ぶクラブレコードタイ。
  • 直近6試合のホームで迎えるリーグ開幕戦で4敗。他の2つは勝利。
  • 昨季、ホームでのリーグのクリーンシートは4つのみだったが、10月にはフォレスト相手に5-0のクリーンシートを達成している。
  • ガブリエル・マルティネッリは公式戦における2回のホームのフォレスト戦で3得点を決めている。
Nottingham Forest
  • 開幕戦は直近4年間全て負けている。
  • アウェイでのリーグでの勝利で開幕戦を飾れば、97-98の2部時代以来のこと。
  • 昨季、アウェイでの成績は8ポイントで最下位(W1,D5)。
  • トップ4との昨季のアウェイゲームは全て無得点で16失点を喫している。
  • プレミアにおけるロンドン遠征は14回あるが、勝利したのは1999年3月のウィンブルドン戦の3-1での勝利のみ。

予想スタメン

展望

プレシーズンの得点力不足の原因は?

 あらゆるプレビューにおいて最も困るのは開幕戦である。何せ相手のデータがない。そして、プレシーズンマッチを見るだけの元気もない。それでもアーセナルにはコミュニティシールドがあるだけ書きやすいので、助けになっているけども。

 ノッティンガム・フォレストの親善試合はGoogle先生によるとここまで7試合。うち、5試合はノーゴールと得点力不足に苦しんでいる。特に流動的なのは前線のメンバー。試合ごとに取っ替え引っ替えで得点力不足に対するクーパーの苦心が伺うことができる。ちなみにメンバーを見ると、ファン・ウィジョというJリーグファンには馴染みのある名前もある。

 プレシーズンの傾向を見ても、開幕戦の相手がアーセナルということを踏まえてもフォレストは5バックで臨む可能性が高いだろう。バックラインは比較的固まっている点はそういう意味では好材料。昨シーズンの対戦を考えても、リトリートしてブロックを組んでの5-4-1をベースにロングカウンターで反撃ができるかどうかが重要なポイントになるだろう。

 アーセナル戦に限らず、昨シーズン終盤にこの役割でチームを牽引したのはアウォニイだった。しかしながら、彼は足首の怪我であまりプレシーズンでプレータイムを得られていない状況のよう。もしかすると、プレシーズンにおける得点力不足は彼の不在を端に発しているかもしれない。

 アウォニイがフィットしなかった場合は代役としてはウッドとジョンソンが思いつく。前者は体を張ることはできるが、中央で起点になる能力は高いとはいえず、主に陣地回復とカウンターにおける推進力の観点でアウォニイには及ばない。

ジョンソンはギブス=ホワイトとの相性においてはアウォニイを凌ぐものもあるが、得意なのは右サイドからの抜け出し。サリバ、ティンバーが組み込まれることが濃厚なアーセナルのバックラインに対して、やや角度があるところからの抜け出しのみで解決できるかはわからない。

 先発のGKはおそらくターナーだろう。アーセナル相手となればおそらく守備機会は多くなるだろう。バックラインとの連携は重要で、ここはぶっつけ本番の部分も出てくるかもしれない。それでも、強力なGKの加入は大きいだろう。アーセナルにとってはいきなり優れたシュートストッパーが目の前に立ちはだかることになる。

コミュニティシールドで見えた今季のテーマは?

 プレシーズンマッチ不精なので、アーセナルの動向もコミュニティシールドで考えてみたい。それだけでも傾向が見られたからシティ戦は偉大である。

 コミュニティシールドにおける1つ目のポイントはバックラインの人選である。ジンチェンコが不在のSBにティンバーを入れる形(この形はすでにプレシーズンでテスト済み)である。それにIHにライスを登用する形を絡めたのが先週のアーセナルである。

 ジンチェンコという非常に特徴がはっきりした選手がいない影響はあると思うが、後方の座組はSBが中に絞るような定点的な攻撃よりも、ポジションを動的に変えながらのボール保持を行っていることが注目ポイント。ティンバーは絞ったり開いたり、ライスとトーマスの縦関係が変わったりなど、いくつかの変数を交えてのビルドアップをしていた。

 ライス、トーマス、ティンバーの3枚は特に大きく動くことが多く、上下左右にポジションを変えながら、変幻自在に形を変えていく。おそらくこれはプレス耐性を考慮した形なのだろう。シティのようにその気になればプレスのスイッチを入れることができるチームに対しては、去年のアーセナルはビルドアップで詰まる傾向があった。そのため、形に幅を持たせることで自陣でのボール回しに安定感を持たせるのが必要ということだろう。

 保持で自分たちのリズムを刻めるかどうか。昨シーズンと異なり、早いテンポで攻め切る以外の顔も見せたいところだろう。押し切るというのとは別の形で制御の仕方を模索しているのだと思う。

 この形だとライスが低い位置でプレーする機会は昨季のジャカに比べると多かった。重心が後ろに傾く分、局面を一気に進めることができるトーマスの存在は大きかった。ちなみに後半はライスが左サイドに流れるいわゆるジャカロールっぽい動きを見せていたので、バランスは展開や相手によって自在に変えるということだろう。

 非保持においては4-4-2をベースに前線からプレスをかけるが、一気にアクセルを踏んで奪い切るというアクションは多くはなかった。中央からクリティカルなルートでボールを進めるコースを消し、ボールを運ばれるならばサイドからという形を徹底。リトリートの時間を稼ぐ。

 このプレス→リトリートの移行において最も負荷がかかるのはライスだろう。ウーデゴール、ハヴァーツの2トップに呼応するように前線の3枚目としてプレスに行きつつ、リトリートでは中盤に入り、時にはブロック内のプロテクト。非保持面では彼のバイタリティを最大限に使う気なのだろうということが伺えたプランでもある。

 チームの方針としては保持と似ている。プレスで前から圧力はかけたいが、グイグイは行きたくはない。テンポは上げたくないが、相手に主導権は渡さない。攻守に「出力を抑えつつ主導権を手放さない」というのはテーマなのだろう。CLとの二足の草鞋を履き、かつシーズン終盤にピークを持っていくコンディショニングをするのであれば、この方向性はとても理に適っているように思う。

 そして、コミュニティシールドで見られた最後の特色は終盤のパワープレー。トーマスが非保持でCB、保持でアンカーでの3バックを行いつつ、攻撃的なメンバーをずらりと並べるプランである。おそらく、フォレスト戦に最も直結する部分は先の出力を抑えつつ制御よりもこちらだろう。

 個人的には右サイドで幅を取る役割が流動的だったのは面白かった。ファビオ・ヴィエイラがそこでも割と普通にやれていたのも面白かった。ブロック守備を壊すための奥義としてはレーンの流動性を高める、もしくはスコアラーとして計算できるサカをインサイドに置くということなのだろう。

 逆にコミュニティ・シールドでフォレスト戦における懸念が見えたのはデ・ブライネへの対応。彼がアーセナルの中盤の背後を取るアクションを繰り返していたのはかなり厄介だった。スケールは違うが、ギブス=ホワイトも同じ動きは得意。攻撃の加速役にあまり自由にボールを持たせてしまうと、昨年の再現になる可能性も十分にある。

 プレミア制覇という夢のリベンジは昨季希望が潰えた瞬間に目の前にいた相手からスタート。シチュエーションとしては悪くはない。強く一歩目を踏み出し、プレミアという魔境を一年間戦いぬく弾みをつけたいところだ。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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