Fixture
プレミアリーグ 第15節
2022.11.6
チェルシー(6位/6勝3分3敗/勝ち点21/得点17 失点15)
×
アーセナル(1位/10勝1分1敗/勝ち点31/得点30 失点11)
@スタンフォード・ブリッジ
戦績
過去の対戦成績
過去5年間の対戦でチェルシーの4勝、アーセナルの6勝、引き分けが5つ。
スタンフォード・ブリッジでの対戦成績
過去10戦でチェルシーの5勝、アーセナルの2勝、引き分けが3つ。
Head-to-head from BBC sport
スカッド情報
【Chelsea】
・ディナモ・ザグレブ戦でハムストリングを負傷したベン・チルウェルは欠場。
・ミッドウィークを欠場したマテオ・コバチッチはフィット。
・カーニー・チュクエメカはハムストリングの負傷でフィットは微妙だが、エンゴロ・カンテ、ケパ・アリサバラガ、ウェズレイ・フォファナ、リース・ジェームズは欠場。
【Arsenal】
・先週末、負傷交代したブカヨ・サカは起用可能。
・冨安健洋はミッドウィークの筋肉系の負傷を評価する必要がある。
・キーラン・ティアニーは木曜日の試合で足首を負傷したが、フィットする可能性がある。オレンサンドル・ジンチェンコもスタンフォード・ブリッジの試合には機能可能。
Match facts from BBC sport
【Chelsea】
【Arsenal】
予想スタメン
展望
■逆サイドへの展開と一瞬のジョルジーニョ
ビッグロンドンダービーはどちらかのチームが苦しみながら迎えることがとても多いカードという印象だ。例えば、前回のリーグ戦では3連敗と窮地に追い込まれたアーセナルがエンケティアの2ゴールで4得点の快勝。チームはもちろん、エンケティア自身が新契約を勝ち取るきっかけになった一戦となった。
近年はアーセナルが苦しんでこの試合をターニングポイントに復調することが多かったが、今回苦しんでいるのはチェルシーの方だ。CLは無事に首位通過を果たしたものの、リーグ戦は直近3試合未勝利と停滞気味。なかなか勝ち星をあげられていない。
もっとも、ある程度今季の出遅れは仕方のない部分がある。トゥヘル→ポッターというシーズン途中の監督交代(スマートに移行している方だとは思うが)はもちろんのこと、オーナーの交代でそもそも編成が後手後手に回る夏になっていた。むしろ、そうしたトラブルがありながら上位に喰らいつく流れは悪くないと言えるだろう。
ピッチの中ではポッターのやりたいプランが着々と進行している印象だ。ビルドアップはバックラインからショートパスを基軸にするやり方を採用。陣形はどちらかと言えば3バックが多い気もするが、基本的にフォーメーションは変幻自在で1つの形にとらわれることはない。
3バックの場合でも、LCBにククレジャが入る場合特に左右はやや非対称。ククレジャはSBのような立ち位置を取ることが多く、他のCB2枚がGKを挟む形でビルドアップにトライしていく。
WBの人選はブライトン時代を継続して攻撃的な選手を並べることが多い。ジェームズが離脱した影響はあるかもしれないが、アスピリクエタのようなSBタイプよりも、プリシッチやスターリングのようなアタッカー色の強い選手を置くことが多い。
バックラインからのショートパスは外循環がメイン。まずは片側に相手を寄せながらピッチを広げつつボールを動かしていく。組み立てに使われることが多いのはどちらかと言えば右サイドの方か。先ほども述べたが左右はややアシメ気味で右の方が全体的にポジションが低い。加えて、ハフェルツやギャラガー、ロフタス=チークなど右に流れたり右から裏を取ったりなどの動きが上手い選手も多いため、全体的に右の方が人口密度が高い形になりやすい。
この右サイドでパス交換でフリーマンを作り、そこから展開していく形を狙っていきたい。フリーマンになるのはジョルジーニョが理想的。ジョルジーニョ+ギャラガーなどの右のHSの抜け出しの組み合わせからのチャンスメイクは一瞬の隙をついて一気にボールを前進できる大きな武器になる。
もしくはファーのWBまで届けて1on1をやらせる形もあり。スターリングをなるべく高い位置まで押し上げることでWG的にデュエルが挑める形が作れれば悪くはない。
一番綺麗な崩しになるのはサイドから中央にかけてボールを動かしていく中で、相手のマーカーをきっちり引きつけながら逆サイドまでボールをつなぐケース。逆サイドにアウトナンバーの選手が抜け出す形になれば非常に綺麗な形になる。まだ頻度は少ないが、ポッターのチェルシーらしい崩しの1つはこういうパターンになるのだろう。抜け出してGKと1on1の形を作ることができれば最も大きいチャンスを作ることができる。
守備においては高い位置でロストした際の即時奪回が生命線である。ショートカウンターに移行し、波状攻撃を仕掛けることができれば一気にチェルシー側のペースになる。
逆に間延びした状態になったしまうと一気に脆さが出てくるタイプのチーム。広い範囲を守ることになると中盤は一気に劣勢になる。特にスピードに乗ったドリブルに対しては弱さが否めず、相手に素通りを許すこともしばしば。この辺りは負傷したカンテの不在が大きな痛手になっている。
そうなるとバックラインは負荷がかかる。フォファナは難しいだろうが、クリバリが万全なコンディションで戻れるかどうかは大きなポイントになるはず。チェルシーからすると、基本的には相手の攻撃をスローダウンさせながら対応していきたいところ。
■スピードでの優位を活かしたい
まず、アーセナルが気にしたいのはプレスの局面。気に留めたいのはチェルシーのバックラインの枚数が3枚なのか4枚なのかである。一般的にバックラインの枚数は相手のプレス隊に数的優位を作りやすい3枚の方がポゼッションの安定感は十分ではある。だが、チェルシーにはボールを運ぶことができるCBがおらず、こうした数的優位を有効に活用することができない。
2CBとなる4バックは組み立てのリスクは高いが、直近の試合を見るとCBの枚数を削った場合に前進がうまくいくケースもしばしば。先日のマンチェスター・ユナイテッド戦では中盤の枚数を増やし、ボールの受け手を増やすことでコバチッチへのボールが入るようになり、スムーズに前進ができるようになっていた。
よって、ポイントになるのは中盤の枚数である。預ける中盤の選択肢が十分にある方がいいのだろう。相手のバックラインが3枚であるならば、アーセナルは出し手ではなくボールの受け手をきっちり潰すことでカウンターを狙っていきたい。逆に2CBであるならば、ボールの出し手にプレッシャーをかけて中盤からの加速を未然に防ぎたいところである。GKがケパではなくメンディなのもポイントになる。
チェルシーのポゼッションの大きなポイントはまずは片側サイドにボールを寄せて、そこから縦への大きな展開もしくは逆サイドへの前進を行っていくことである。
守備側からすると最も効果的なのは同サイドにきっちり閉じ込めることだ。逆に一番避けたいのは先の画像のように、逆サイドのフリーの選手までボールを運ばれてしまうこと。守備に回った際は同サイドに閉じ込めて、チェルシーにU字側のポゼッションに追い込む形で選択肢を絞っていきたい。
チェルシーの右サイドはやはりジョルジーニョには要注意。裏抜けやライン間の選手への縦パスを一瞬で出すことができる彼は前線へのパスのスイッチ役になっている。必ずスタメンという感じでもないので、チームとしての優先順位がどこまで高いのかは難しいところではあるけども。
左サイドはタイマンデュエルの様相。冨安がいれば一番心強いが、ここはホワイトの頑張りどころ。スターリング相手に主導権を握らせずに撃退したいところだ。広いスペースの際はスターリングは自信を持って仕掛けてくるはず。ここでアーセナルが優位に立てば、チェルシーの攻撃を同サイドに集約することができる。
保持においてはまずはチェルシーの即時奪回をきっちりと外すこと。やたらとボールを奪った後のバックラインのパスワークがバタバタしたフォレスト戦の反省は生かしたい。
即時奪回を外せたとするならば、中盤では加速したいところ。ジェズスの降りる動きに中央にパスを入れてターンしてドリブルスタートという流れはトライしてもOK。下がって後方に重心が傾いたとしても、加速してチェルシーの中盤やCBと対峙する方がトータルで見れば勝機があるパターンもある。この辺りは序盤で感触を確かめながら、どこまで手段として使えるかを吟味したい。前に滅法強いクリバリがいると、降りる動きは簡単に潰されてしまうかもしれないので。
基本的にはアーセナルはスピードを生かすことを考えたい。チェルシーの守備陣に対してのアーセナルの攻撃陣はスピードでは優位に立てるはず。CBはスピードに乗ったドリブル対応以外にもサイドに引っ張り出す形はあり。シウバ、チャロバーあたりにはプレッシャーをかけていきたい。
チェルシーのWBが攻撃的な人選であることも含めて、アーセナルはサイドでは優位に立てる公算が強い。ここを保持ではきっちりと生かしたいところ。ブライトンのようにアタッカーとSBの連携でCBの外側からの斜めのランを使えれば、大外からPA侵入まで一気に達成できる可能性もある。
試合の大枠のところで話をすると、ポッターは立ち上がりで後手を踏むことが多い一方で修正が非常に早く的確であるという特徴がある。いわば後の先を取るのが上手いのがポッターだ。
よってアルテタは彼らの二の矢に対抗する必要がある。監督もピッチ内の選手の対応力でポッターの後の先を封じることができるかも試合の流れを決める大きなポイントになりそうだ。