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「普段と異なる部分を狙う」~2022.10.23 プレミアリーグ 第13節 サウサンプトン×アーセナル プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第13節
2022.10.23
サウサンプトン(14位/3勝2分6敗/勝ち点11/得点10 失点18)
×
アーセナル(1位/9勝0分1敗/勝ち点27/得点24 失点10)
@セント・メリーズ・スタジアム

戦績

過去の対戦成績

 過去10回の対戦でサウサンプトンの3勝、アーセナルの5勝、引き分けが2つ。

セント・メリーズ・スタジアムでの対戦成績

 過去10戦でサウサンプトンの5勝、アーセナルの4勝、引き分けが1つ。

Head-to-head from BBC sport

・昨年の1-0での勝利も含め、直近8試合のプレミアにおけるアーセナル戦のサウサンプトンの勝利は全てホームで挙げたもの。
・セインツが勝てば2015年以来のアーセナル戦連勝。
・アーセナルが首位でセント・メリーズに乗り込むシチュエーションは過去2回あったがどちらも勝利していない。2002年の11月は3-2で敗れ、2014年の1月は2-2で引き分けている。

スカッド情報

【Southampton】

・カイル・ウォーカー=ピータースはミッドウィークのふくらはぎの負傷で全治不明の離脱。
・エインスリー・メイトランド=ナイルズはローン元クラブとの対戦で出場不可。
・ロメオ・ラヴィアはトレーニングに復帰したが、フィットネス的な観点で週末の試合は欠場見込み。

【Arsenal】

・ふくらはぎの怪我で5試合欠場していたオレクサンドル・ジンチェンコには復帰の可能性。
・ブカヨ・サカはプレー可能な見込み。

Match facts from BBC sport

【Southampton】

・水曜のボーンマス戦では4月にアーセナルに1-0で勝利して以来、17試合ぶりのクリーンシート。
・エバートンとノリッジに連勝した2月以来のリーグ戦の連勝を狙う。
・ラルフ・ハーゼンヒュットルが就任以降、プレミアで249失点しており、この間においてプレミアのどのクラブよりも30以上多くの失点をしている。

【Arsenal】

・10試合で9勝は1903-04の2部時代で記録した最多勝利記録に並ぶ。
・アウェイで5連勝した2018年10月以来初めての公式戦アウェイ4連勝を記録中。
・アウェイにおいてのベストディフェンシブクラブ。通算3失点と4つのクリーンシート。
・今季、唯一リーグ戦で全試合得点しているチーム。
・ブカヨ・サカは直近7試合のプレミアリーグにおいて8得点に関与している(4G,4A)

予想スタメン

展望

■個人の戦力値とチームの出力のギャップ

 今季、補強でスカッドを入れ替えたチームといえば?と聞かれたらあなたはなんと答えるだろうか。アーセナル?マンチェスター・ユナイテッド?リーズ?それとも誰が新加入かもはや区別がつかないノッティンガム・フォレスト?いろんな答えがあるだろう。

 サウサンプトンもそのチームの1つである。トップチームの新加入選手はレンタルのメイトランド=ナイルズを含めた9人。ベドナレク、ロメウなど長年サウサンプトンに貢献していた選手も今夏退団しており、かなり戦力の入れ替えは進んだ印象だ。

 ラヴィア、アリボ、マーラ、バズヌ、チャレタ=カー、ベラ=コチャプなど新戦力は数多くの選手たちが主力、またはベンチから出番を得ている状況と言える。既存選手も含めて選手個人の状態にスポットを当てれば、主力選手のフィーリングは悪くない。

 今のスカッドにおいて特に好調さを感じるのはアダムス。これまではどこか器用貧乏な部分が否めなかったが、今季ここまでは一皮剥けた印象だ。組み立てではこれまであまり印象がなかった相手をガッツリ背負っての体を貼ったポストを難なくこなすように。今やサウサンプトンの前進には欠かせない武器だ。

 課題とされてきたフィニッシュもレスター戦では途中交代から2点のゴールを奪い逆転勝利の立役者になるなど徐々に改善の兆しは見せている。スコアラーとして覚醒!というと言い過ぎだが、存在感は上がっているといえるだろう。全体的にひと回り大きくなった印象で、覚醒というよりは人生ゲームでいえば職業カードを裏返したみたいなイメージである。

 バックラインではサリスが際立つ。こちらは最大出力よりもパフォーマンスの安定感が高まった印象。試合ごとの波が少なくなり、バックラインの柱として完全に信頼できる存在になったといえるだろう。

 現状のスカッドを見渡した時に不安なポジションはウォード=プラウズの相方のCHとサリスの相方のCB。どちらもラヴィアとベラ=コチャプが復帰すればむしろ強みになり得るポジションであり、中期的にはそこまで大きな心配にはならないだろう。

 戦力としては充実した気配にもかかわらず、チームとしてやや成績は停滞気味だ。その理由としてはユニット攻撃の構築が進んでいないことが挙げられる。

 一昨シーズンは後方からの縦パスを入れて2トップがポストでボールを収める。SHが絞りながらそのポストを受けて前を向くと、2トップが動き直し、裏にパスを送る。この年は縦パスを入れる選手とCFとSHの3人の関係性が確立されていた。

 昨年はよりオーソドックスだ。サイドでのトライアングルを用いSB、SH、CHorCFが崩しから裏に抜け出してのチャンスメイクを行う。ウォード=プラウズがサイドに流れてのクロスを送るなど、選手の特性と組み合わせた形も作っており、一昨年に引き続き3人の関係性を作れていたと言っていいだろう。

 過去2年に比べると今年はそうしたユニット的な構成を作り上げることができていないのが現状。個々のデュエルの成否が攻撃の出来とリンクしており、そこで打開できなければ一気に試合は苦しくなるという流れである。個人の戦力値を足していけば悪くない数値になるのだが、チームとしての出力がそれに見合っていない感じを受けるのであるのが今年のサウサンプトンだ。

 チームとしてはまずは出力を選手に見合ったところまで引き上げることが求められるだろう。W杯前後で上積みが見られれば後半戦は台風の目にもなりうるし、失敗すれば残留争いに巻き込まれることもある。どちらに転ぶかの振れ幅が大きいチームといえそうだ。

■難所攻略の2つのポイント

 ベラ=コチャプ、ウォーカー=ピータースという2人のバックラインの選手がいないことはサウサンプトンにとっては大きな痛手である。チームモデルとしてSBは高い位置で攻撃に参加することを求められているし、CBはそのSBの上がったスペースをカバーするために横に大きく動く必要がある。

 ウォーカー=ピータースの不在はSBが上がった時の攻撃のクオリティ不足を招く可能性がある。その部分はジェネポなどウォーカー=ピータースとは異なる持ち味の選手で補うことはできるかもしれない。しかし、ベラ=コチャプがいないCBは横幅の移動で同じように広い守備範囲をカバーするサリスと同じクオリティの選手を用意するのは難しいといえるだろう。

 アーセナルはサウサンプトンのバックラインの普段との構成の違いを突きたいところだ。トランジッションや相手のSBが前がかりにプレッシングに来たときはまずSBの裏を狙う。そうしてCBを横に動かす。

    ベラ=コチャプの代役の選手とのマッチアップになる公算が強い左のマルティネッリは打開の可能性はかなり高いといえるだろう。サイドに引き出せばさらに突破の確率は高まる。抜けないにしてもニアのハーフスペースに上がってくる選手までケアするのは難しい。

 ということでアーセナルはまずはサウサンプトンのバックラインに横移動を強いるような攻撃を行いたいところ。早い攻撃が難しければ、もちろんリーズ戦のようにサイドチェンジを多用する形でも構わない。サウサンプトンのSBは選手を入れ替えてもオーバーラップで高い位置で攻撃参加することは求められるはずなので、SBの裏にアーセナルの狙い目は必ず出てくると睨んでいる。

 サウサンプトンの4-4-2ブロックは2トップがアンカーまでを管理する形になり、そこまで前がかりにはならない。ただし、4-4-2の網目は比較的粗いのでライン間に縦パスをさすムーブはリーズ戦に引き続き狙っていきたいところ。メイトランド=ナイルズをなかなか押しのけられないディアロの出来はアーセナルとしても早めに確認しておきたいところである。

 アーセナルがやりたいことをまとめるとトランジッションではSB裏を中心に、定点攻撃ではサイドチェンジを視野に入れつつライン間に縦パスを入れるという超オーソドックスなやり方が推奨される形になる。狙いを具現化するクオリティの部分がリーズ戦に引き続きアーセナルの課題になるだろう。

 非保持においてはアダムスをきっちり抑えられるかがポイントになる。ここのポストを防ぐことができればサウサンプトンの前進の勢いはだいぶ削ぐことができると言っていいだろう。

    間延びをしてしまえばライン間に入り込んだアタッカー陣の一発は十分にあるチーム。そうした状況を避けるためにもアダムスをきっちりと自陣側に押し下げること、そして長いボールのターゲットにしないことが重要である。

 いつもと異なるサウサンプトンのDFラインの機能性の違いを突くことと、アダムスのポストを封じること。例年、苦労しがちなセント・メリーズ攻略のポイントはこの2点に集約できるだろう。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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