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「Catch up UEFA Europe Conference League」~2023.6.7 UEFA Europe Conference League Final フィオレンティーナ×ウェストハム ハイライトレビュー

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モイーズがもたらす58年ぶりのタイトル

 ヨーロッパカップに続く、欧州カップ戦の決勝はヨーロッパカンファレンスリーグ。ウェストハムとフィオレンティーナが相対する一戦である。

 立ち上がりからボールを持ったのはフィオレンティーナの方だった。あくまで4-2-3-1というプレス隊の縦関係を崩さないウェストハムに対して、フィオレンティーナはCBがキャリーしながらプレスを回避していく。時にはアムラバトがサリーを見せながらバックラインの枚数を増やすシーンもちらほらである。

 ボールを前進させつつ、相手の中盤を引き出すことができていたフィオレンティーナ。しかしながら、ボールをキャリーした後にズレを使うよりも簡単に前に蹴とばすシーンがかなり目についた。ずらしたのであればそれを使いたいところだが、そこを使う勇気があまり出なかったことは決勝戦という感じだろうか。あるいはライスのボールハントから試合を動かそうとしていたウェストハムの動きが見た目以上に強烈だったか。

 対するウェストハムはカウンターに専念。自陣からのロングボールだけでなく、ライン間につけるパスから一気に加速し、手早い攻撃で前進していく。特に右サイドから加速することができたウェストハムはそのままゴール前までなだれ込んでいくこともしばしばだった。フィオレンティーナの早めのプレッシャーもこうした動きを助長していた。

 そんなウェストハムも仕上げの部分は手こずっていた印象。そうこうしているうちに、ライン間にアムラバトやマンドラゴラが一本縦パスを入れることができるようになったフィオレンティーナが徐々に盛り返していく様相を見せる。

前半終了間際には右サイドからのクロスをヨビッチが合わせてネットを揺らすがこれはオフサイド。こうしたゴールに近づくシーンは非常に稀。決勝戦らしい手堅い試合でハーフタイムまでにスコアは動かなかった。

 後半に仕掛ける姿勢を見せたのはウェストハムだった。ハイプレスから試合のテンポを上げていき、徐々にPA内に侵入する機会を得るようになる。

 先制点のきっかけは速攻気味のロングスローから。クーファルへのロングスローがフィオレンティーナのハンドを誘発し、これで得たPKをベンラーマが決めて先行する。

 バックラインはボールを持てるけども押しきれなかったフィオレンティーナだが、ビハインドに追い込まれたならばそんな弱音を吐くわけにはいかない。ようやく見つけた勝負できるポイントはWGとSBの高さのミスマッチ。ゴンサレスとエメルソンのマッチアップに勝機を見出した。

 このロングボールで競り勝つことに成功したフィオレンティーナは右サイドからボナベントゥーラが技ありのシュートで同点に。肉弾戦で勝てる場所からきっちりと追いつくことに成功する。

 それ以降もこの右サイドへの対角のフィードはフィオレンティーナの狙いどころに。右に大きく展開→折り返しからいくつかの決定機を創出。フリーでシュートを放ったマンドラゴラにはぜひシュートを決めてほしい展開に。この場面のように、右サイドのデュエル→折り返しのミドルはフィオレンティーナの攻略パターンの鉄板に。

 しかしながら、ウェストハムもアントニオを軸にした手早い攻撃から反攻。サイドから選手を積極的に高い位置に走りこませる。

 押し込むフィオレンティーナとカウンター専心のウェストハム。この綱引きを制したのはウェストハム。カウンターから独走したボーウェンが決勝点をゲット。モイーズすら駆け出したくなる大きなゴールでウェストハムがタイトルに王手をかける。

 最後まで追いすがったが力を一つ及ばなかったフィオレンティーナ。今季は苦戦した百戦錬磨の指揮官がウェストハムに58年ぶりのタイトルをもたらした。

ひとこと

 決勝戦らしい堅い前半の展開のまま終わってしまったらどうしよう?と思ったのだが、時間の経過と共に力みがほぐれて持ち味が出る流れになったのはとてもよかった。時折起こるハードな衝突も含めた緊張感まで楽しめるいいファイナルだったと思う。

試合結果

2023.5.31
UEFAヨーロッパカンファレンスリーグ
Final
フィオレンティーナ 1-2 ウェストハム
エデン・アレーナ
【得点者】
FIO:67′ ボナヴェントゥーラ
WHU:62′(PK) ベンラーマ, 90′ ボーウェン
主審:デル・セーロ・グランデ

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