■終盤は手打ちのドロー
ともにグループステージの突破は堅い状況。トップのシティはすでにのっクラウドラウンド進出は決定しており、残すは順位のみだし、2位のドルトムントもよほどしくじらない限りはグループステージの通過は見えてくる。
試合はマンチェスター・シティのボール保持を軸としてスタートする。シティのボール保持はカンセロを大外に配置する2-3-5に変形する。ドルトムントの守備陣はトップの位置を下げながら対応。深追いよりもトップのムココの立ち位置をロドリ付近に設定することで、陣形全体をコンパクトにすることができていた。ドルトムントの中盤は5枚がフラットに防波堤を敷く形。シティのCH2枚とSBにそれぞれ自由にボールを持たせないことを意識していた。
シティがチャンスを作ることができたパターンは攻撃を一気に加速させる形。ドルトムントからのバックラインへのプレッシャーはなかったので、サイドから一気に裏を取りながらゴールに向かう動きを狙う。逆にゆったりとしたポゼッションにおいてはなかなかズレを作ることができず、外循環のU字ポゼッションとなることが多かった。
ドルトムントはボールを奪回した後はロングカウンターに切り替え。スピード豊かなアタッカー陣を生かしたカウンターで一気に陣地回復を行う。自陣深い位置からボールを持つときはショートパスを増やしながらゆったりと攻めることが多い。攻め手になっていたのは右サイドの裏のスペース。カンセロをアデイェミが出し抜く形で深さをとることができる起点となっていた。
ただ、ドルトムントの攻撃で気になったのはゴール前まで一気に進む割に、ゴール前で一旦一息ついてしまうことである。もちろん、そこからゴールに向かうひと工夫があれば問題ないのだけど、一段落した後にゴールに向かう崩しが見えてこないという難点がある。よって、時間が経てば経つほどシティが整ってしまい、抜け出した時ほど好機になっていない状況が多かった。
後半、シティはメンバー交代。ハーランド、カンセロを下げてベルナルドとアカンジを投入する。もちろん、プレータイム管理の側面が大きい交代ではあるが、バックラインに関しては手当てにもなっていた。アケを左のSBにスライドさせることにより、アデイェミの抜け出しを制限することに成功。その分、保持で高い位置に出ていけない分、IHにベルナルドを入れることで左の大外レーンをフォーデンと分け合う前半のカンセロの役割を引き継ぐことができていた。
保持ではストーンズがロドリの横に常駐。3-2-5のような形でポゼッションをするシティに対して、ドルトムントはなかなか反撃のタイミングを測ることができない。そんな中、シティはPKを獲得。左サイドからフォーデンの裏抜けでラインを押し下げると逆サイドの展開からマフレズが倒された。PKスポットに立ったマフレズだが、前節と同じくこのPKを失敗。シティは先制点のチャンスを逃す。
PK失敗以降、シティは高い位置からの攻勢をさらに強める。逆襲のきっかけを掴むことができないドルトムントは押し込まれる一方。時間の経過とともに引き分けでOKのシティは徐々にポゼッションの成分を増やして時計を進めることに専念。ドルトムントにとっても勝ち点1は悪くない結果であるので、特にその状況を変えようとはせず。試合はスコアレスドローで手打ちという結末となった。
試合結果
2022.10.25
UEFAチャンピオンズリーグ
Group G 第5節
ドルトムント 0-0 マンチェスター・シティ
BVBシュタディオン・ドルトムント
主審: ダビデ・マッサ