押し込んで見つけた解決策
ホーム開幕戦は同じくロンドンを拠点とするブレントフォードに退場者を出しての0-3で完敗。クレイヴン・コテージのファンに初勝利を届けたい今節はここまで全敗の昇格組のルートンとの一戦である。
序盤からボールを持つのはフラム。バックラインにGKを加える形でボールを保持。5-4-1で構えるルートンに対して2列目を誘き出すようにバックラインからのボールのキャリーで歪みを作り出していく。
フラムはここまでは前進に苦労していたが、この試合ではビルドアップの問題はなし。ヒメネスは最も得意なボックス内の仕事に今季初めて専念することができた。
しかしながら、きっちり撤退するルートンに対してサイドからのハイクロスだけではボックス内の枚数はフラムにとっては不利。それであれば、サイドからなんとか動かしてクロスを入れたいところだが、サイドのローテに対しては根性でついていく形でルートンは対応し、ギャップを作ることを許さない。
とはいえ、ルートンもひっくり返しての前進に苦労する。アーセナルから獲得したロコンガが今節はバークリーに代わって先発に登場したが、守備面では明らかに強度不足。おそらくはボールを奪ってからサイドの裏にボールを供給することを求められているのだろうが、そのパスも乱れてしまいなかなか前進に貢献できない。
高い位置では奪えない、そしてパスが繋がらないということで序盤はほとんど押し込まれる時間が続いていたルートン。20分がすぎるとようやくタヒス・チョンをベースにトランジッションからボールを運べるように。序盤はガンガンパリーニャと2CBにカウンターを止められていたルートンだが、中央を迂回してサイドにボールを動かす形から少しずつ手応えが出てくる。ロコンガも少しずつボール供給役としての仕事を果たすように。ただエリア内の枚数はフラム以上に少なくてシビア。精度の部分も含めて得点に近づいたとはいえない。それだけにバーに当ててしまったシーンは決め切りたかった。
後半もベースとしての流れは同じ。フラムがボールを持ち、ルートンはカウンターに専念してボールを動かしていく。カポレの素早いリスタートから後半先にチャンスを迎えたのはルートンの方だった。
フラムは延々と5-4-1の攻略を目指していくがなかなか解決策を見つけることができない。前半に効かなかったサイドのユニットでのローテは後半も手応えが出てこない。
フラムは前線を入れ替えてプレッシングを強化。フレッシュな攻撃陣でこじ開けにかかる。すると、65分にその成果は実ることに。左サイドからのウィリアンのクロスのこぼれ球を押し込んだのはヴィニシウス。値千金の先制ゴールを決めてついに均衡を破る。カミンスキーにとっては痛恨の処理ミスとなってしまった。
先制点以降も左サイドから鋭いボールを供給するウィリアン。徐々にベテランはルートンに牙を剥いていく。対するルートンも4枚替えから一瞬リズムを取り戻しかけるが、すぐにトーンダウン。最後は5バックでクローズするフラムの牙城を崩せず、今節も連敗を食い止めることはできなかった。
ひとこと
少し手間がかかったが、押し込むチームのご褒美をもらった感のあったフラムだった。
試合結果
2023.9.16
プレミアリーグ 第5節
フラム 1-0 ルートン・タウン
クレイヴン・コテージ
【得点者】
FUL:65′ ヴィニシウス
主審:マイケル・サリスバリー