Fixture
プレミアリーグ 第8節
2022.9.18
ブレントフォード(8位/2勝3分1敗/勝ち点9/得点15 失点9)
×
アーセナル(1位/5勝0分1敗/勝ち点15/得点14 失点7)
@ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
過去3戦でブレントフォードの1勝、アーセナルの2勝。
Head-to-head from BBC sport
スカッド情報
【Brentford】
・セルジ・カノスはハムストリングの怪我から回復し、今季初出場の可能性。
・クリスティアン・ノアゴールとエサン・ピノックは負傷で欠場。
【Arsenal】
・トーマス・パーティは経過観察中。オレクサンドル・ジンチェンコは負傷欠場。
・リース・ネルソン、モハメド・エルネニーは欠場。鼠蹊部に問題を抱えているエミール・スミス・ロウも欠場の見込み。
Match facts from BBC sport
【Brentford】
【Arsenal】
予想スタメン
展望
■強みは常に押し出されてはいない
今季はここまで好調を維持しているアーセナル。昨季の苦戦が嘘のような快進撃で首位をキープしている。
そんな昨シーズンの苦戦の象徴となるのはどの試合になるだろうか?アーセナルファンに聞いてみればきっといろんな答えが返ってくるはずだ。かなり意見が割れるかもしれない。
票を集めそうな試合の1つは開幕戦となったブレントフォードのアウェイゲームである。昇格組に力の差とチームとしての完成度の違いを見せつけられたあの試合は、その後のアーセナルの苦戦を示唆しているかのような内容だった。
今季にアーセナルに話を戻そう。リーグ戦では連勝がオールド・トラフォードで止まり、開幕からの勢いは一段落。そうした中でアーセナルは昨シーズンに悪夢を見た地に立ち向かうことになる。
では、今度はブレントフォードのチームとしてのイメージはどうだろうか?トーマス・フランクが低予算で作り上げた魅力的なチームというのは多くのファンの共通認識になるだろう。
スタッツとして特徴的なのは得点の多さだ。6試合を終えて15得点はシティに次いで2位。リバプールと並ぶ数字である。
5得点を挙げたリーズ戦、4得点を挙げたマンチェスター・ユナイテッド戦という2つの固め取りは得点数増加の一因なのは間違いない。その一方で、今季はカップ戦1試合を含む7試合全てで得点を取っており非常にコンスタントな成績を残している。
唯一の敗戦はフラムとのゲームだが、ミトロビッチの決勝ゴールは90分に生まれたもの。要はここまでの6試合で明らかに勝ち点が取れない展開に持ち込まれている試合は皆無ということである。パレス、エバートンと終盤にパワープレーで追いついて勝ち点を拾う試合もあり、しぶとさも光る試合運びを見せている。
プレースタイルの長所は2つの大勝が象徴している。マンチェスター・ユナイテッド戦は強烈なハイプレスから相手のバックラインのミスを誘い続け、ショートカウンターから一気にシュートまで。前半の4得点で試合をハーフタイムまでに決めた。
余談だが、この試合はテン・ハーグのユナイテッドに対してプレミアにおけるひとまずの妥協点を目指させた一戦。いわばプレミアの洗礼を浴びせたような試合でもある。
リーズ戦は後半の突き放しがお見事。トニーを軸としたロングボールでリーズに競り勝ち続け、シンプルな手数が少ない形で得点を重ねていった。
ロングボールの的になるトニーは絶好調。2年目のジンクスなどお構いなしにケインと同じペースで得点を挙げている。
このハイプレスとロングボールを使ったやり方は昨シーズンからのおなじみの物。ブレントフォードの戦い方といえば、この2つのイメージを頭に浮かべる人が多いだろう。
しかしながら、これが今季のブレントフォードの基本線である!と言い切れないのが微妙なところ。例に挙げた2つ以外の試合を見ると、プレッシングは4-5-1を基調としたかなり控えめなもの。相手のCBはもちろん、時にはMFよりもラインを下げて待ち受けることもある。
ハイプレスにトライしている時でも撤退守備への移行は早い。マンチェスター・ユナイテッド戦でさえ、初めの2,3つでプレスを外せていれば試合は全然違う展開になっていてもおかしくはない。迅速に追い立てを続けていたユナイテッド戦はむしろ例外的な位置づけだ。
ロングボールも一辺倒ではなく、序盤は特に左のIHのイェンセンを落としながらのショートパスを軸とした形をやりたがることが多い。保持でも早い展開を常に志向しているわけではない。
ここは個人的な所感になってしまうが、こうしたやり方はあえてというよりは仕方なくやっているように見える。基本的にはハイプレスで前に出ていった方が相手に怖さを与えられるし、ショートパスなんてとっととやめてロングボールからのダイレクトな展開を増やした方が彼らには合っているはずだ。
なので、アイエルやカノスなど3バックもしくはWBに適材がおらずトニーへのロングボールをつなぐ手法によってサイドで高い位置を取れる!という従来のやり方が作れないとか、あるいはコンディションや相手との力関係を踏まえたものなのか。
いずれにしてもダイレクトとハイプレスに踏み切ることが出来た方が強いチームなのは確かだ。それができない状態でもしぶとく勝ち点を獲っているチームといえるだろう。
■トニーとのマッチアップが最重要事項
ブレントフォードはショートパスにトライすることもあるチームではあるが、基本的には警戒すべきはロングボールである。ハイプレスとは異なり、ロングボールという武器は少なくとも90分のどこかではかなりの確率で活用される手段。このロングボールへの対応力が一番重要なのは間違いない。
ブレントフォードに勝利したフラムはアダラバイオがトニーを抑えたことで前半の主導権を握ることが出来た。言わずもがな、アーセナルもトニーをどのように抑えることができるかが大事なポイントになってくる。サリバとガブリエウがここを抑えることができるかどうかは非常に大きなファクターになる。
ロングボールをCF→IH→WBとつなげてクロスを上げていた昨シーズンに比べればロングボールの時のブレントフォードは直線的にゴールへ向かう傾向が強い。よって、ここで主導権を握ることはブレントフォード視点でも大事。アーセナルからすると、フィフティーまで持って行きさえすれば、セカンドボールの拾い合いに持ち込める。昨季ほどブレントフォードの押し上げはきつくないのでセカンドボールはモノにしたい。
ブレントフォードのバックラインのプレス耐性はそこまでな印象を受けるのでハイプレスもOK。まずはどのくらいまで蹴らないでくるかの様子をみるためにもプレッシャーをかけて序盤に肌感触は確かめておきたい。
逆に相手のハイプレスに対してはまずは退けること。少しでも前進できれば割と簡単にラインを下げてくれるので、とっととハイプレスを諦めさせることを狙いたい。ユナイテッドと異なりハイプレスの餌食にならないことを示せれば撤退させることができるだろう。
4バックが基本システムの相手ゆえにクロスの入り方は大事にしたい。ELのチューリッヒ戦のエンケティアのゴールのような、中央というよりはファーで待ち構える形でクロスに入る形はトライしたいところ。大外のホルダーに対してはこのファーの選択肢とニアのハーフスペースに抜ける選択肢を両方準備し、相手のバックラインを動かす手段を複数用意したい。
逆に相手もハイクロスをファーに当てる形は鉄板。おそらく狙ってくるだろう。SBのクロス対応は重要なポイントになってくる。
保持に関してはトーマスのフルトレーニング復帰が心強い。サイド攻撃と前進とかじ取り役として昨年の悪夢を振り払う原動力になることを期待したい。