徹底されたブロック守備とロングカウンターで王者をストップ
開幕から止まることない6連勝を記録。シティの連勝劇ストップに今節挑むのはウルブスである。
ウルブスのスタンスは非常に明確だった。クーニャの守備の基準となっていたのはコバチッチ。左のWGであるドクにはセメドに加えて、ネトがダブルチームで対応する。ネトとヒチャンという2人のシャドーはWGとワイドのCBの両睨みを託されており、バックラインへのプレスとサイドのカバーの両立という非常に守備の負荷の高いタスクを託されていた。
シティはヌネスを高い位置に上げる3-1-6的な形で組んでいく。前線ではアルバレスの左サイドの寄りの飛び出しが目立つなど、ドクのダブルチームを揺さぶる形で前線に仕掛けを施していたのが印象的だった。実際に彼ら2人が抜き出し切れればエリア内は押し下げられ、シティのチャンスになっていた。ドーソン、ジョゼ・サの対応が光ってウルブズはなんとか凌ぎ切る。
しかしながら、やはりロドリの不在の影響は否めない。高い位置を取るウォーカーは迷子になっており、ボールを引き出せていないし、中盤ではコバチッチやフォーデンが相手につかまってしまいカウンターの餌食に合っていた。
ポジトラになれば、守備では低い位置に下がりながらも攻撃では脱兎のごとく前線に出ていったネトが印象的な働き。対面するアケを振り切る実質的なワンマン速攻からディアスのオウンゴールを誘発することに成功した。
それ以降は割とファウルがかさんだり、なぜかアイト=ヌーリが自陣から怪しい運び出しをしたりなど、いくつか気になる点はあったもののジョゼ・サとドーソンを軸とした守備でウルブスは踏ん張り続ける。まずはハーフタイムにリードを得たまま前半を終えることに成功した。
後半も試合のペースは変わらず。よりライン間をウロチョロできるボブの投入で、シティは乱数を増やしながらのライン間攻略に挑んでいく。同点ゴールのきっかけになったのはそんなボブのファウル奪取から。アルバレスのFKでこれを直接仕留め、シティは後半に同点に追いつく。
しかしながら、ボブを入れた分か、即時奪回の威力は弱まっている感があった後半のシティ。いつもは後半ガス欠気味のウルブスのアタッカー陣だが、この日の気合は段違い。右サイドの裏を取ったセメドからカウンターを発動すると、ヒチャンとクーニャでカウンターを完結。これで再びリードを手にする。
押し込む時間が続くシティだが、ウルブスのSHとCHの左右のスライドの対応を上回れる攻撃を作り出すことができずに苦戦する。フィリップスがロドリだったら・・と思ってしまうシーンもちらほら。特に94分のミドルはロドリがいつもチームを救う一振りを見せたシチュエーションと酷似していた。
執念の5-4-1守備とロングカウンターで殊勲の勝ち点3を手にしたウルブス。シティのストップに成功した今季初めてのチームという栄誉を手に入れた。
ひとこと
ウルブスの2列目とドーソン、ジョゼ・サあたりはとても素晴らしい出来だった。これくらいやらないとシティはロドリ抜きでも倒せない。
試合結果
2023.9.30
プレミアリーグ 第7節
ウォルバーハンプトン 2-1 マンチェスター・シティ
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:13‘ ディアス(OG), 66’ ヒチャン
Man City:58‘ アルバレス
主審:クレイグ・ポーソン