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「Catch up Premier League」~Match week 4~ 2023.9.1-9.3

目次

ルートン・タウン【19位】×ウェストハム【2位】

好調持続のボーウェンと確かなロングボールの差

 第2節でプレミアリーグにお目見えするはずだったホームスタジアムのケニルワース・ロードでの開幕戦は第4節までかかってしまった。ルートンの記念すべきプレミアでのホーム初戦は好調のウェストハムを迎えての一戦となる。

 立ち上がりはボールを持つ姿勢を見せるルートン。アンカーのナカンバが最終ラインに降りて、右サイドに大きくアンデルセンとバルケが広がっていく。右サイドにはトップのアデバヨが流れながらロングボールを引き出すアクションをして起点を作りにいく。

 しかしながら、対面するのは屈強なウェストハムのCB陣。これまでのチーム以上にボールを収めるのに苦戦する。さらにはバックラインでは簡単なパスミスが目立ってしまい、なかなか保持からリズムを掴むことができない。

 というわけでボール保持のターンは必然的にウェストハムに流れていく。ルートンの5-3ブロックの外、2トップの脇を軸にボールを動かしていく。SBはもちろんのことIHのウォード=プラウズやパケタも降りるアクションでブロックの外でボールを受ける。

 ボールを持つ時間は確保できたウェストハムだが、全体的に降りるアクションが多い一方で裏に抜ける選手は少ない。なかなか解決策が見えずに停滞する時間が長くなる。

 そうした中でアクセントとなる動きを見せたのはボーウェン。斜めのランで大胆にルートンのマークを乱しにかかると、この動きをきっかけにウェストハムはより深い位置まで侵入ができるようになる。

 そのボーウェンの動きが先制点のきっかけに。パケタのブロックの外からのふわりとしたクロスに走り込んで見事にフィニッシュ。前節の好調をキープするゴールを決めて均衡を破る。

 後半も優位はウェストハム。ボールを前線に当てて起点を作る動きは両者ともに見られてはいたが、クオリティには差がある。やはりアントニオの存在は絶大で最低でもファウルをとってくるあたりはきっちり仕事をこなす。オフサイドではあったが、エメルソンがネットを揺らすお膳立てをするなど、アシスト役としても機能していた。

 一方のルートンはなかなか枠内シュートまで届かず。サイドの深い位置までは運ぶことができるのだが、ハイクロス一辺倒であればウェストハムの高さのあるCBは攻略できない。

 機会で優位に立ったウェストハムはセットプレーからズマが追加点をゲット。これで試合はほぼ決着する。

 ルートンはアンデルセンが終盤にゴールを捩じ込むが追撃は及ばず。ホームでの開幕戦は黒星スタート。ルートンの記念すべきプレミア初の勝ち点はまたしてもお預けとなった。

ひとこと

 元々のスタイルが通じづらい相手という部分はあるとはいえ、ちょっとこの形がプレミアで通じるかの暗雲が立ち込めているのはルートンの気掛かりなところである。

試合結果

2023.9.1
プレミアリーグ 第4節
ルートン・タウン 1-2 ウェストハム
ケニルワース・ロード
【得点者】
LUT:90+2′ アンデルセン
WHU:37′ ボーウェン, 85′ ズマ
主審:ポール・ティアニー

シェフィールド・ユナイテッド【17位】×エバートン【20位】

未勝利沼の脱出者はなし

 ここまでともに勝ち点は0。開幕から思いっきり苦しんでいる両チームがランチタイムに激突する。互いにロングボールの応酬でスタートした両チームの攻撃。

 よりデュエルに対して強気なのはエバートンだろう。お馴染み凶悪3センターであるドゥクレ、ゲイェ、オナナに加えて、トップにベトが加入したことでロングボールへの自信はより一層。

 トップに素早く当てるロングボールに、自陣側から大きくサイドを変えながら広く攻めるような動線を使いながら、幅を取りつつ攻めていく形を織り交ぜる形で前進を狙っていく。幅を取る形に関してはブレイズがかなり同サイドへのスライドを意識した陣形になっていたのでそこに対する牽制なのかもしれない。

 セットプレーなど押し込む機会を得たエバートンはCKから先制。ややファー寄りのオナナからのシュートのこぼれ球をドゥクレが押し込んで20チーム中最後の今季初ゴールを決める。

 一方のブレイズは失点以降ポゼッションを支配。GK+CBのうちの2枚+アンカーのひし形を形成し、自陣からのボールキャリーを行う。サイドから人数をかけていく様子を見せつつ押し込んでいき、ファウルを奪ってセットプレーから地道にチャンスを構築していく。

 エバートンの守備の弱点はライン間のスペース管理がやたらと甘いこと。特にMFとDFのライン間の距離が広がることが多く、このスペースにぽっかりと空洞が空くこともあった。

 よって、徐々にこのスペースを狙っていくブレイズ。大きくワイドに振って縦に進撃し、クロスを折り返せば簡単にライン間のスペースには侵入できる。右サイドからのクロスを受けたマクバーニーの落としを仕留めたのはアーチャー。デビュー戦で見事にゴールを決めた。

 しかしながら、ネガトラの局面で言えば脆いのはブレイズも同じ。ロングボールが使えるエバートンには十分に反撃のチャンスがあるという展開。しかし、ゴールは再びアーチャーから。セットプレーからのカウンターで敵陣にてボールを受けると豪快に放ったミドルがピックフォードの背中に当たりゴールを奪い取る。いかにも乗っている人らしいゴールである。

 後半、勢いよく入ったのはリードを許したエバートン。ベトのポストにダンジュマが侵入しFKを獲得するなど押し込んでいく入りを見せていく。

 エバートンの同点弾はピッチを広く広く使ってのもの。右の大外で受けたパターソンから素早く決めたのはダンジュマ。スピーディな攻撃で後半早々に試合を振り出しに戻す。

 しかし、このゴール以降エバートンは沈黙。プレッシングがかからず、出ていった分だけ背後を使われてブレイズにダイナミックな攻撃を許してしまう。

 しばらくは受け止めることに専念似ていたエバートンだが、終盤にふたたびハイプレスを起動。これをかまわずにいなすブレイズはポゼッションからエバートンのゴールに迫る。

 ラストプレーのCKはゴールを手にしたかと思ったブレイズだったが、立ちはだかったのはピックフォード。二度にわたるセーブで何とかゴールを死守し、勝ち点1の確保に成功。未勝利対決は仲良く勝ち点を分け合う形で終わった。

ひとこと

 両チームとも苦しい一戦。非保持におけるコンパクトさを特にエバートンはもう少し管理できると、カウンターから前に進む目も出てきそうだけども。

試合結果

2023.9.2
プレミアリーグ 第4節
シェフィールド・ユナイテッド 2-2 エバートン
ブラモール・レーン
【得点者】
SHU:33‘ アーチャー, 45+1’ ピックフォード(OG)
EVE:14‘ ドゥクレ, 55’ ダンジュマ
主審:アンディ・マドレー

マンチェスター・シティ【1位】×フラム【12位】

ローギアスタートも終わってみればハットトリック

 最近は自分たちが奇策を打つというよりも、相手に奇策を出させてそれを対峙する役割の方がよく見るようになったシティ。この日の対戦相手であり、主力を一時的なドイツ旅行で失っているフラムもまた「奇策」を準備して、エティハドに乗り込んできた。

 フラムが準備したプランは4-3-2-1のような形。形自体は珍しくはないが、フラムはそもそもが猫も杓子も4-4-2ベースのチームなので、そういう意味では意外な取り合わせといえるだろう。

 少し不思議だったのはアンカーであるハリソン・リードの周辺の脇を固めるように立っていたのはシャドーのペレイラとボビー・リードだったこと。IHであるケアニーとウィルソンはシティのロドリと列を上げてきたアカンジをマークする形で前後関係が入れ替わっていた。

 おそらくCHのマーカーと別にアンカー脇を固める選手を用意したのはこのスペースでターンする選手が昨今のシティには多いからだろう。フォーデンはその代表格だし、この試合でいえばアルバレスも可能だ。この選手たちに反転を許さないことを優先する理由はわかる。

 大外を開けているのも想定通りだろう。シティは基本的に大外のレーンにはあまり多くの選手を置かない。ドク、フォーデンには根性で対応しその分中央のプロテクトは堅く!というのがフラムの大枠としての方針だろう。

 前半の半分くらいはシュートを打たせなかったという実績の通り、フラムのプランはなんとなくうまく言った部分もあった。だが、もちろんうまくいかないところも徐々に出てくる。

 まずは攻勢に出るところ。やはり、シャドーをDF前まで下げてしまうとカウンターの時に手数はかかってしまう。最前線のヒメネスもフィジカルは十分だが、収めて押し上げを待つミトロビッチとはできることの幅は異なってくる。となるとスムーズなカウンターは期待できない。

 もう1つはシティの対応力。徐々にウォーカーがボビー・リードを引っ張る動きに合わせて、アルバレスがサイドに流れるようになり、フラムの中央密集の陣形が壊れていく。ハリソン・リードに変わって入ったハリスはかなり引っ張られることが多く、これで中盤センターにてロドリがフリーになる。こうなるとシティが押し込む頻度が上がってくる。

 先制点はシティ。左サイドのペレイラ周辺のスペースを使い、一気にハーランドが裏抜け。アルバレスがゴール前で並行パスを受けて先制点となる。

 しかしフラムはすぐさま同点、セットプレーからリームが追いつく。だが、相手もセットプレーで前半終了間際に勝ち越し。オフサイドポジションにいるアカンジに関してのジャッジはきわどい判定だったが、現場審判団の下したジャッジはゴール。シティが勝ち越す。

 後半もフラムは奮闘したがシティの壁は厚かった。ペレイラ周りをちょこまかされて、アルバレスに3点目をのアシストを奪われる。シティの中盤はこのシーン以降もペレイラ周辺のスキをうかがい続ける。

 そちらにばっかり気を取られていると、そこを使わずに最終ラインからあっさりと裏返されてのピンチもある。まさしく3点目のPKなどはここにカテゴライズされるだろう。まだ前進がままならないまま、解なしの状況に放り込まれているかのようだった。

 ハーランドはいつの間にかハットトリックを達成。序盤はローギアも終わってみればハットトリックというアンバランスさでパリーニャ不在のフラムを制圧した。

ひとこと

 法則に気づいてバラすスピードが相変わらずシティは異常に早い。

試合結果

2023.9.2
プレミアリーグ 第4節
マンチェスター・シティ 5-1 フラム
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:31′ アルバレス, 45+5′ アケ, 58′ 70′(PK) 90+5′ ハーランド
FUL:33′ リーム
主審:マイケル・オリバー

チェルシー【10位】×ノッティンガム・フォレスト【14位】

後半頭のプレスの意識が先制点につながる

 前節、ルートン相手にようやく今季初勝利を手にしたチェルシー。ホームでフォレストを叩き、きっちりと連勝を狙いたいところ。

 ボールを長い時間持つことができたのはチェルシー。推進力を持ちながら縦に速い攻撃で敵陣を素早く攻略しにいく。しかしながら、やや単騎での強引の解決を試みるスタンスが目立つところ。スターリングやジャクソンといった前線のメンバーが好調というのもあるのだろう。ボールホルダーの球離れが悪く、なかなか相手を外すことができず。テンポが上がってこない。

 横断しながらWBを活用することができれば、スマートに前進ができそうな感じがあるのだが、そうしたシーンは稀。やや個人個人の力技に縋ってしまった感があったと言えるだろう。セットプレーからのチャンスもあったが、これも活かすことはできなかった。

 一方のフォレストは自陣からジリジリファウルを奪いながらセットプレーからチャンスを狙っていくという地道な形で反撃を狙っていく。ボックス内でアウォニイには肉弾戦の末にシュートを打つチャンスが何回かあった。

 流れの中ではカウンターでスピードに乗った状態を迎えることができればいいのだが、チェルシーの固い守備陣を前にフォレストはなかなかそうした場面を作ることができず。その一方でフォレストの守備陣もカウンター時にはチェルシーのホルダーを素早く捕まえてきっちり対応。相手にもスムーズなカウンターを許さず、多少遅れてもボックス内での厳しいチェックで帳消し。チェルシーにクリーンなチャンスを与えなかった。

 後半、フォレストはプレスで前半よりも積極的にホルダーを捕まえにいく。リトリートとの使い分けが適切でチェルシーは出てくるプレスの裏をかくことができなかった。

 そして、ミドルゾーンでのプレスの意識が先制点をもたらすことに。ギャラガーとカイセドのところにミスを引き起こし、アウォニイとエランガでカウンターを完結。後半頭のギアチェンジの成果が早々に出ることに。

 エンソ絡みのジャクソンとチルウェルの抜け出しくらいしかスピードアップのきっかけを掴むことができないチェルシー。その抜け出しに対してもフォレストはワローを中心にボックス内の粘り強い跳ね返しで対応し続ける。

 チェルシーはパーマーを投入してリズムを変えていきたいところ。彼が投入された右サイドのハーフスペース付近はショートパスが増え、パスワークのリズムがよくはなったもののチャンスの増加になかなか繋がらない。その後も若い選手を中心に積極的に交代カードを切っていくが、選手を入れれば入れるほどごちゃついていくような出たところ勝負感が否めないようになる。

 それでも83分にはスターリングが決定機を創出するが、ジャクソンがシュートを枠内に飛ばすことができず。結局最後まで得点を奪うことができなかったチェルシー。フォレストにスタンフォード・ブリッジで金星献上を許してしまった。

ひとこと

 これだけスカッドを入れ替えれば交代のたびにごちゃつくのは序盤戦は仕方ないだろうなという印象のチェルシー。フォレストはカウンター以上にボックス内の粘り強い守備に好感が持てた。

試合結果

2023.9.2
プレミアリーグ 第4節
チェルシー 0-1 ノッティンガム・フォレスト
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
NFO:48′ エランガ
主審:ティム・ロビンソン

バーンリー【18位】×トッテナム【3位】

5バック移行が後半の一方的な展開を決定づける

 立ち上がりからの積極策が目につくチーム同士の一戦。この試合でも4-4-2(4-2-3-1)をベースに互いに高い位置からプレッシングをかけていくスタートだった。

 プレスを回避するという部分では両チームには差があったと言えるだろう。バーンリーのバックラインは幅を使いながらトッテナムのプレスを回避。GKのトラフォードを経由しつつ、両サイドにボールを散らすことで前進のきっかけを作る。

 サイドから逆サイドへの展開も見事。長い距離を一気に詰めてボールを一発で奪いにくるトッテナムの中盤の雑なプレスを交わし、ピッチを横断することができた。バーンリーの先制点も絞るクルゼフスキを交わして、逆サイドへの展開から裏を取った場面。バーンリーはサイドの裏を執拗に狙うことで敵陣に侵入を狙っていたが、先制点の場面が一番綺麗に刺さったと言えるだろう。

 しかしながら、抜け出したコレオジョにはフォスターの選択肢しかなかった場面。ファン・デ・フェンにはマイナスを消して欲しい場面でもあった。

 トッテナムは自陣でのビルドアップがバタバタ。特に中盤が捕まり続けているにも関わらず、強引に縦パスをつけた結果のロストの連打はあまりいただけないものだった。

 そういうわけで脱出に苦労したトッテナム。しかしながら一度脱出してしまえば、オープンスペースの攻略は容易。ソロモンは少しタッチに手間取っている感があったが、ソンへのアシストを決めて面目躍如といったところだろうか。

 押し込むことができる機会はバーンリー、押し込んでからのクオリティはトッテナム。30分を過ぎると徐々に押し込む機会はトッテナムが作ることができるように。左右に振りながら押し込むと、ロメロが豪快にミドルを決めて勝ち越して前半を折り返す。

 後半、バーンリーは5バックでトッテナムを迎え撃つ。しかしながら、バーンリーの生命線は高い位置でのプレスと低い位置からの繋ぎ。後ろに重くなるバーンリーの変更はこの良さを消し去ってしまうものだった。

 前半のリードもあり、高い位置から捕まえにくるイケイケのトッテナム。5枚で構成を変えたバーンリーのバックラインはこのトッテナム相手にプレス回避をすることができず、かなり危ない形でのロストの仕方が増えていくように。

 高い位置でのプレスも含めて、前半に見せた良さが消えてしまったバーンリー。ここから立て続けにトッテナムにゴールを許していく。3点目のマディソンのゴールは見事だが、あそこであれだけ豪快にシュートを許してしまえば、マディソンからしたら決めるのは当然という流れだろう。

 そのまま一気に流れを持って行かれたバーンリー。立て続けにソンへのゴールが決まり、ハットトリックを達成する。

 強度で勝負できなかった後半はバーンリーが自ら流れを失った展開に。大量ゴールでスパーズは自信をつける形で代表ウィークを迎えることとなった。

ひとこと

 こういう後半の出来であればバーンリーは致し方ないなという感じ。相手に強度勝負を見せたいのあれば、そろそろ目処を立てないとずるずる行ってしまうだけになる。

試合結果

2023.9.2
プレミアリーグ 第4節
バーンリー 2-5 トッテナム
ターフ・ムーア
【得点者】
BUR:4′ フォスター, 90+4′ ブラウンヒル
TOT:16′ 63′ 66′ ソン, 45+2′ ロメロ, 54′ マディソン
主審:ダレン・イングランド

ブレントフォード【9位】×ボーンマス【16位】

帳尻があったエースの決定力

 まずはボーンマスのボール保持が目立つ立ち上がり。列落ちするビリングを筆頭に4-1-4-1をベースポジションとして、IHとSHがかなり縦横無尽に動き回ることで守備の基準点を作らせない動きを見せていた。

 ボールを持つボーンマスが先制攻撃を仕掛けるが、先にゴールにボールを入れたのはブレントフォード。サイド攻撃からシンプルにクロスを上げていくと、ファー寄りのクロスに対してネトが対応ミス。するとこの流れで得たFKを角度のないところからズドン。あっという間に先制点を手にする。

 これ以降もブレントフォードの動きはボックス付近でフリーマンを作ってサイドからのクロスが中心。左右に大きくスウィングしながらのゲームメイクで確実にボールを敵陣まで運んでいく。それ以外にもシャーデに抜け出しての決定機があるなど見どころがあったブレントフォードだった。

 一方のボーンマスはソランケが流れに乗れずに苦戦。カウンターやクリスティと動線がかぶってしまい、決定的なチャンスを棒に振ってしまうなど、なかなかチームに貢献できない。

 それでも高い位置からのボール奪取をあきらめないボーンマス。この日のブレントフォードはなかなかに撤退守備の怪しさもあったので行ける感も選手の中であったはずである。

 すると、ようやくカウンターからソランケがゲット。このゴール以降も引き続き優勢に進めたボーンマス。リードは叶わなかったが前半のうちに追いつくことに成功する。

 後半は前半以上にオープンな展開。後半早々に決定機を迎えたのはブレントフォード。シャーデの抜け出しから左サイドをとっぱすると逆サイドで待ち受けていたムベウモがこれを枠に飛ばせず。さらにはウィサ、ルイス-ポッターといった面々もなかなかシュートがネットを揺らさずに苦戦がつづくこととなった。

 このオープンな展開に乗じることに成功したボーンマス。相手のパスミスからカウンターを放つと、最後はヘンリーの処理ミスからカウンターを完結。ついに逆転のゴールを手にする。

 以降は5バックで安全に逃げ切りを図るボーンマス。ここからは捨て身で臨まなければいけないブレントフォード。ムベウモの外を押し込むような選手を作ることでカットインのフォローをしつつ、少しずつ攻撃に出ていく。

 すると、最後はそのムベウモが大仕事。後方からのロングボールをピタリとしたコントロールで完全に相手を置き去りにすることに成功。そのまま自らが運んであっさり同点ゴールを手にする。これはファーストタッチで勝負ありだ。

 決定力で苦しんだ前半のブレントフォードだったが、後半になんとか帳尻合わせ。またしても引き分けで無敗のまま中断期間に突入する。

ひとこと

 両チームとも結局エースが仕事をする見事な帳尻合わせでした。

試合結果

2023.9.2
プレミアリーグ 第4節
ブレントフォード 2-2 ボーンマス
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:7‘ イェンセン, 90+3’ ムベウモ
BOU:30‘ ソランケ, 77’ ブルックス
主審:ロベルト・マドレー

ブライトン【6位】×ニューカッスル【13位】

ポゼッション&プレスでの圧倒でエースの覚醒を引き出す

 両チームとも上位を切り崩す力を持っているチームでありながら前節は敗戦。更なる負けは避けたいところで難敵に当たってしまった!というのが両軍の正直な思いだろう。

 強度アップ上等!という両チームの信条がぶつかるかのように高い位置から積極的にプレスをかけ、奪い取ったら素早く縦につけて行く展開に。先にチャンスを迎えたのはニューカッスル。右のハーフスペースを抜けるイサクのオフザボールからチャンスを伺っていく。

 ブライトンはダンクがイサクの間合いを全く掴むことができず、エストゥピニャンはキックが不安定でボールの狩どころに。後方のカバーがなければ早々に失点してもおかしくないピンチを招く。

 ただし、敵陣に運ぶフェーズにおいてはニューカッスルにも問題がある。特に右のトリッピアーがボールを持つと、前を立つ三笘を避けようと中央に相手にカットされまくるロブパスを放り込み続けるのは不用意なピンチの温床に。三笘はボール保持における判断は怪しいところがあったが、この守備のところでは効果が分かりやすく出ていた。

 徐々に静的な局面になって行くとブライトンのCBのライン間へのパスの正確さが光るように。停滞した局面でも押し込みながら試合を進める時間を増やしていく。

 すると、ニューカッスルにミスが発生。ポープがゴールを空けて放ったパスが敵陣に渡る。三笘、ギルモアがミドルを放つと、そのこぼれをファーガソン。ミスにつけこんだブライトンが先行する。

 それ以降はボール保持で平定をして行くブライトン。ニューカッスルの横スライドは強烈で相変わらず押し込まれてもズレてはいなかったが、反撃の目を押さえ込むという点で十分に意味はあった。ニューカッスルはやや右のハーフスペースに固執していた感がありそれ一辺倒に。ブライトンも後手を踏んでいたサイドとはいえ、徐々に対応された感もあったので、ブロック守備攻略はブライトン以上に停滞感があったと言えるだろう。

 後半も試合のペースは変わらない。ハイプレス&ポゼッションで完全にニューカッスルからテンポを取り上げてしまう。

 敵陣に攻める機会に関しては一方的にブライトンが占領。しかしながら、ファーガソン周りの連携が噛み合わず、なかなかフィニッシュまで向かうことができない。

 だが、それも大きな問題ではない。なぜならば、ボールを奪い返すことで何回でもブライトンは攻撃のトライができるから。そして、そこの問題が解決した時、試合は完全に決着。豪快なフィニッシュをさらに2つ決めたファーガソンは18歳以下のプレミアリーガーとして史上4人目のハットトリックを達成する。

 選手を大胆に入れ替えながら反撃に出たいニューカッスルだが、なかなかペースを引き戻すことができず。後半追加タイムにウィルソンが一撃を見舞うが、それが精一杯。後半でのトーンダウンという前節の課題を露呈したニューカッスル。ファーガソンとブライトンの引き立て役となり、3連敗となった。

ひとこと

 ニューカッスルは強い相手との試合が続いているので勝てないのは仕方ないが、内容が少しチームに暗い影を落としているのが気かがり。追いかける展開や後半が苦手な課題をCLとの二足の草鞋を履きながら修正できるか、序盤戦にしてエディ・ハウはその手腕を問われることになる。

試合結果

2023.9.2
プレミアリーグ 第4節
ブライトン 3-1 ニューカッスル
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:27′ 65′ 70′ ファーガソン
NEW:90+2′ ウィルソン
主審:スチュアート・アットウェル

クリスタル・パレス【11位】×ウォルバーハンプトン【15位】

マテタの投入でオフェンス活性化に成功

 似た要素が多くあるチーム同士の一戦。ともにベースは4-4-2。バックラインにはそこまでプレスをかけず、後ろからボールを繋ぐアクションを不自由なくできる。CBはGKを挟むように立ち、バックラインは3枚で横幅を取っていく。ざっとここまでは同じと言えるだろう。

 より直線的なカラーを出しているのはウルブス。バックラインの3枚から2トップにダイレクトにボールを繋ぎ、クーニャとシルバが作り出した時間を中盤の押し上げに使いながら陣地回復をしていく。パレスの方は相対的に手薄なサイドからキャリーすることで、ショートパスから少しずつチャンスを作っていきたい形だ。

 先にペースを握ったのはパレス。サイドからエゼの仕掛けでジョアン・ゴメスにあわやPKという対応を強いる。VARのレビューまではいったが、結果的にはこれはPKには至らず。すると、この判定に火がついたのはパレスは猛然とプレスを回避。ジョゼ・サの地雷パスを咎めたレルマのボールカットから、アイェウが決定機を迎えるなど、エゼのPK以降はかなり勢いを持ってパレスが押し込む時間帯が続く。

 自陣からのパスワークで横に揺さぶるアクションもパレスは自在。ポゼッションからエドゥアールにボールをつけてアイェウの右サイドの裏抜けを促すなど、プレス起点以外でもチャンスを作ることができてきた。

 30分が過ぎると少しずつウルブスが押し返す。こちらは押し込んだ後のサイドでの勝負に目処が立つのが大きい。ネトという大駒を初めとして、大外での1on1からクロスを積極的に入れることでゴールに迫っていく。

 パレスはなかなか押し込まれると陣地回復をすることができないのは課題。アタッカーの個での陣地回復力が高くないのは今季のパレスの悩みで、ウルブス相手に反撃に出るのに一苦労している姿が目についた。

 後半、パレスはボール保持からペース回復を施行。ウルブスも自分のターンが回ってくれば、きっちりとボールをキープ。やばい進まれ方をしそうになったが互いにカード覚悟で止めるというフラットながら固い展開が続く。

 その状況を打破したのがパレス。左サイドのミッチェルのクロスはピンポイントでエドゥアールの元に。2人のCBに挟まれながらも見事にゴールを打ち抜き、試合を動かすことに成功する。

 しかし、すぐさまウルブスは反撃。セットプレーから交代直後のヒチャンがニアから仕留めてあっという間に同点に追いつく。これ以降は試合はなかなかに膠着。ジリジリとした後半頭のような展開が戻ってきた。

 終盤に試合を動かすきっかけになったのがマテタの投入。彼のポストがパレスの攻撃の活性化の決め手になった。マテタのポストを軸にエリアに侵入したのは前半に悔しい思いをしたエゼ。入れ替わるようにボックスに入ると、勝ち越しゴールを決める。

 ダメ押しゴールとなる3点目もマテタを起点とするところから。エゼに続いて侵入したのはエドゥアール。マテタというハブ役の投入で一気にアタッキングサードの攻撃の活性化に成功したパレスが終盤のブーストで2得点を重ねる。

 終了間際に1点を返したウルブスだったが及ばず。交代策でオフェンスの活性化に成功したパレスがウルブスを下して勝ち点3を手にした。 

ひとこと

 エゼ、報われてよかったな。

試合結果

2023.9.3
プレミアリーグ 第4節
クリスタル・パレス 3-2 ウォルバーハンプトン
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:56′ 84′ エドゥアール, 78′ エゼ
WOL:65′ ヒチャン, 90+6′ クーニャ
主審:ロベルト・ジョーンズ

リバプール【4位】×アストンビラ【7位】

存在しなかった「ファン・ダイクの試練」

 前節はダルウィン・ヌニェスのスーパーな働きでセント・ジェームズ・パークの制圧に成功したリバプール。今節はその試合で退場したファン・ダイクを抜きにしてアンフィールドに難敵アストンビラを迎える一戦である。

 しかしながら、蓋を開けてみれば試合は90分を完全制圧したリバプールの完勝といえる内容だった。立ち上がりから積極的なプレスで早速相手のビルドアップ隊の中心人物であるパウ・トーレスにミスを引きおこさせると、そのままの流れでセットプレーからショボスライが先制ゴールをゲットする。

 あっという間にリードを奪ったリバプールは3-2ビルドでとにかく落ち着いてボールを回すことを優先。詰まりそうになったら裏に蹴るというのがおそらくセーフティネットなのだろうが、そもそもアストンビラは4-4-2からちっとも動かず、むしろ後方を重くする5-3-2風味が強いフォーメーションで様子見を続ける。

 というわけで試合は保持側のリバプールがガンガン裏を取るトライを続けるというここからモノトーンの展開の連続に。もちろんアストンビラも保持に回れば、大きく幅を取りながらWBを活用しつつ、起点を作ろうとするが、リバプールの積極的なプレスからあっという間にリズムを奪われてしまう。

 ひたすらラインブレイクを機械的に繰り返していくリバプール。次のゴールはアレクサンダー=アーノルドのラインブレイクを誘発するパスからサラーの折り返しがオウンゴールを誘い込んで追加点を奪う。

 後半もペースは一切変わらず。追いかけるアストンビラは前半に比べれば追い回す意思を見せていたが、リバプールの安全第一の選択を前に少しずつその意欲は削られてしまうことになる。

 そうなれば後は前半の再放送だ。リバプール側も少しプレッシングに強気なりすぎて中盤を逃がしてしまうとか、セットプレーで刺されそうな場面もないことはなかったが、基本的にはリバプールの手の中で試合は引き続き進んでいくことになる。

 後半にセットプレーからゴールを決めたのはアストンビラではなくリバプール。サラーのCKからのゴールで3点目を決めると試合のテンションは大幅にダウンする。

 思いがけない形でワンサイドになってしまったこの試合。エメリは初手での衝突以降は延々と劣勢の状況を回避できない状態が続いていたし、リバプールは「ファン・ダイクの試練」を感じることなく、あっさりとホームで連勝を伸ばすことに成功した。

ひとこと

 ビラの無抵抗感が切ない一戦だった。

試合結果

2023.9.3
プレミアリーグ 第4節
リバプール 3-0 アストンビラ
アンフィールド
【得点者】
LIV:3′ ショボスライ, 22′ キャッシュ(OG), 55′ サラー
主審:サイモン・フーパー

アーセナル【5位】×マンチェスター・ユナイテッド【8位】

神は細部に宿る

 レビューはこちら。

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 上位勢がなかなかポイントを落とさない序盤戦。直接対決はいつも以上に重要な意味を持っている感がある23-24シーズンの立ち上がり。代表ウィーク前のラストマッチはアーセナルとユナイテッドの大一番である。

 どちらのチームもボールを持つことにはこだわりがある様子の立ち上がり。ユナイテッドはCBの間にCHもしくはオナナを挟むことでバックスは3枚を形成するスタンス。アーセナルはそれに対して無理に枚数を噛み合わせることなく、パスの出どころである中盤を警戒。

 ユナイテッドがリンデロフにボールを入れるときにはアーセナルも特に集中してプレッシングに行くこともあったが、オナナを経由してプレスを無効化するユナイテッドに対しては無理にプレスの強度を上げない選択をする立ち上がりとなった。

 アーセナルはトーマスが不在のため、ジンチェンコが絞る22-23仕様。しかしながら、形をシンプルに3-2に固定しないあたりは不定形を好む23-24風味も残されていた感もあった。

 オナナを使った無効化でプレスを回避することができるが、前に進むことができないユナイテッドに比べれば、アーセナルはWGという明確な届け先がある分敵陣への侵入はスムーズ。ユナイテッドはパスコースを咎めるよりも2列目にサカとマルティネッリへのヘルプとなるようなプレスバックを求めることで自陣の守備を固める。

 後ろに重たい相手の守備に対して、攻め切る頻度が上がらないアーセナル。チャンスの糸口となるのはトランジッション。特にライスの前に出ていく迎撃からは大きなチャンスが生まれることがあった。

 ユナイテッドの先制点はこのライスの迎撃をひっくり返したところから。ハヴァーツのパスミスをエリクセンがかっさらったところから攻撃は一気に加速。ラッシュフォードへのラストパスを通し、最後はホワイトとサリバのDFを2枚抜きする素晴らしいゴールを決める。

 ただし、アーセナルの反撃もすぐさま。左サイドの旋回からマルティネッリがマイナス方向に折り返して、ウーデゴールのミドルを演出。一瞬で追いつくことに成功する。

 均衡して迎えた後半、ユナイテッドのブレーキになったのはマルティネスの負傷。後半もキャリーからチャンスメイクしたCBの不在で後方からの持ち運びは鳴りを潜めるように。

 デビュー戦となったホイルンドはカウンター時のポスト役としては機能したが、ロングボールの収めどころとしては徐々にガブリエウに対応されて苦戦。ユナイテッドはアーセナルのパスのミス待ちからゴールを狙う形が主になっていく。

 しかし、そのアーセナルもミスをすることでユナイテッドにエサを献上。ガルナチョがネットを揺らした場面はわずかな判断でオフサイドにしたガブリエウのファインプレーだった。

 そして、後半追加タイムにセットプレーから勝ち越しゴールを決めたアーセナル。ライスの決勝ゴールでリードを奪うと、終了間際にジェズスのゴールで勝負あり。最終的には3-1とユナイテッドを引き離したアーセナルが無敗をキープした状態で代表ウィークを迎えた。

ひとこと

 神は細部に宿るのだとしたら、神様を引き寄せたのはガブリエウだろうなと思う。

試合結果

2023.9.3
プレミアリーグ 第4節
アーセナル 3-1 マンチェスター・ユナイテッド
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:28’ ウーデゴール, 90+6‘ ライス, 90+11’ ジェズス
Man Utd:27‘ ラッシュフォード
主審:アンソニー・テイラー

今節のベストイレブン

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