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「Catch up Premier League」~Match week 6~ 2023.9.23-9.24

目次

マンチェスター・シティ【1位】×ノッティンガム・フォレスト【8位】

パワープレーがゲームクローズを促進

 CLでは先制されながらも落ち着いた振る舞いで逆転勝利を収めたシティ。その試合でもベルナルドが離脱するなど野戦病院と化している怪我人事情をピッチの中では全く感じさせない貫禄のパフォーマンスで淡々と勝ちだけを積み上げている。

 フォレストはシティに対して5-4-1で組むことに。最近のシティ相手にはそもそもバックラインにプレスをかけることをハナから諦めるチームが多いが、フォレストもその1つだった。

 シティ相手にラインを下げて守ろう!と決めた時に難しくなるのはロドリの扱いである。1トップのアウォニイが下がって受ければカウンターの怖さを全く感じさせないことになってしまうし、CHが出ていけばライン間でフォーデンやアルバレスが縦パスからターンしてからの加速でゴール一直線!という形を作ることができる。

 というわけで悩ましいフォレストがどっちつかずの中途半端になった結果、ロドリはフリーになることが多かった。そうなってしまえば、多少引いたブロックごときではシティを守ることは不可能である。フリーのロドリから大外のウォーカーがラインを下げながら折り返し、フォーデンのミドルが撃ち抜かれるまでがわずかに7分だった。

 そして、2点目も似たような形で右サイドを崩す。もっともあっさりとタヴァレスがウォーカーを離した1点目に比べれば、目の前に同時に登場したフォーデンとヌネスにニアカテが惑わされて後手に回るのは情状酌量の余地があると言えるだろう。

 タヴァレスにとっては散々な夜だった。1失点目は失点の直接原因となり、2失点目は彼の縦パスのミスから。そして、前半のうちに内腿の辺りを痛めて負傷交代と何一つ上手くいかない日となってしまった。

 ロドリどうするねん問題はシティが点をとった後のフォレストに引き続き燻り続けていた。途中でちらっと見せたけど、負けている状況であればマンガラが列を上げつつ、ギブス=ホワイトがインサイド側に絞る形で後方を3センターに連動する変化を見せることができればベターなのではないか。

 もっとも、こうなれば大外のコースが空いてしまう。ドクがあっさりとアイナを交わしている辺りを見ると、そうなっても助かるかどうかは別の話ではあるが、それでも可能性を遅らせることは重要である。

 シティにミスが出て敵陣に入り込めればフォレストにもチャンスはありそうだった。ただし、スピードに乗った状態という条件付きでサイドで枚数を合わせられるともう打開の道は残っていないように見えた。スピードに乗った状態は大体アウォニイの独走なので、ディアスとエデルソンの2枚抜きは彼の肩に全て乗っかっているという状態だった。

 後半、追い込まれたフォレストはとりあえず高い位置からプレスに行くことで勢いよく試合に入る気概を見せた。その気概が見えた次の瞬間にはロドリが退場していた。なんでだよ。

 というわけでボールを持てるようになったフォレスト。早速ライン間からギブス=ホワイトがシュートを放ち、流れが変わったことを証明してみせる。

 シティはおとなしく撤退第一主義に切り替え。フィリップス、アケと段階的に守備的な選手を入れて5-3-1にモデルチェンジ。こうしてシティ相手にボールを持つフォレストという世にも奇妙な構図が完成する。それでもハーランドとフォーデンの独走からのカウンターチャンスが死んでいないのがシティの怖いところだけど。

 フォレストは両WGのエランガとギブス=ホワイトを軸に3センターの外を回すようにポゼッション。片方のサイドに3センターを寄せて、逆サイドに振る形が効いていたが、徐々にシティに「こんなに寄せなくても何もできないのではないか」ということがバレた上に、左はアケとグバルディオルを重ねているだけで守れるので、フォレストにとって薄いサイドというもの自体が徐々にできなくなる。

 終盤は前方にアタッカーを入れたファイアーフォーメーションでシティに挑んだフォレストだったが、なれないフォーメーションからかショートパスでのミスを連発。終盤は普通にシティに押し込まれるという謎の展開になっていた。交代で入ったオリギは周りを全く見ないでボールを受けているため、あっさりとボールの狩りどころにされていたのがなかなかに切なかった。

 リリーフエース・グリーリッシュはボールをキープして時計の針を進め、最後方ではエデルソンは落ち着き払った振る舞いでチームに安心感を与える。皮肉なことにフォレストが攻めに出た後にクローズが洗練されたシティ。10人になってなお危なげなく勝ち点3を手中に収めた。

ひとこと

 10人のシティでキックオフしても彼らが勝ったかもしれないなと思った試合だった。

試合結果

2023.9.23
プレミアリーグ 第6節
マンチェスター・シティ 2-0 ノッティンガム・フォレスト
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:7′ フォーデン, 14′ ハーランド
主審:アンソニー・テイラー

クリスタル・パレス【9位】×フラム【10位】

手堅いにらみ合いが90分続いてのスコアレスドロー

 共に手堅い展開をベースに中位をキープした両雄によるロンドンダービー。フラムの攻めはGKがCBを挟む形でのビルドアップ。左右の崩しはおなじみのWG+SB+ペレイラorハリソン・リードのトライアングルから崩しを狙っていく。

 パレスのSHを手前に引き付け、大外とハーフスペースを挟み込む形から攻略。特に食いつきやすいエゼがいるサイドからスムーズに進むことができた。大外からのワンタッチからハーフスペースの裏抜けを狙っていく。

 一方のパレスもバックラインからある程度ボールを持つことができていた。ただし、フラムはパレスに比べると2列目の迎撃には積極的に行っていた。その分、パレスは高い位置で攻撃を止められるケースが多かった。

 20分を過ぎるとパリーニャの警告をきっかけに試合は荒れ模様。接触から傷んで試合が止まるというケースが非常に多くなり、試合の展開が止まっていく形に。どちらのチームもファウルを冒すことで相手を止めるシーンが目立つ。

 そうした中で前進に光明が見えたのは相対的にはフラムの方。パリーニャという大きな展開ができるアンカーと、ウィリアンというボールを運べる選手がいる分、明確に前進の画を描くことができていた。

 パレスは抜き切れるほどのカウンターがなくセットプレーが関の山というような展開。41分過ぎのシュラップからエゼに向かっていく横断がようやくそれっぽい攻撃として機能したシーンだったといえるだろう。

 試合の展開は後半も大きくは変わらず。パレスが2列目やサイドにパスをつけると、フラムが中央付近で跳ね返すという流れの繰り返し。フラムもボールを持てばまったりとポゼッション。そして時々接触して傷んでいるというのも同じである。

 変化をつけてきたのはパレス。アイェウがサイドの裏でかけひきを始めていく。左サイドでも徐々にエゼやエドゥアールが抜け出しを見せるなど、少しずつゴールの扉を叩いていく。そして前線で相手を背負えるマテタが登場。オープンな展開とポスト役の登場から少しずつエゼが前を向いてチャンスを作れる場面が増えていくように。

 フラムも陣地回復力が低下している状態で、66分にボビー・リードがカウンターを打つことができた状態。前半のロビンソンもそうだが、フラムはカウンターにおける判断が悪くせっかくの好機をフイにしてしまうケースが非常に多いのがもったいない。

 終盤のフラムは交代選手中心のフレッシュな2列目で推進力を取り戻す。終盤にウィリアンがクロスから決定機を迎えるが、立ちはだかったのはGKのジョンストン。守護神が壁となって立ちはだかる。

 結局試合はスコアレスドローに。にらみ合いが終盤まで続くじりじりした試合は引き分けで幕を閉じた。

ひとこと

 前線の交代で流れを引き寄せた両軍だがやや決め手に欠いている感じ。最も両チームともこの試合に限らず、今季はこうした傾向があるように思う。

試合結果

2023.9.23
プレミアリーグ 第6節
クリスタル・パレス 0-0 フラム
セルハースト・パーク
主審:ポール・ティアニー

ルートン・タウン【20位】×ウォルバーハンプトン【16位】

初勝利の大チャンスは初ポイントで手打ち

 今季ここまで唯一プレミアで獲得できていないルートン。エドワーズ監督は結果ではない内容面でも手ごたえがある様子ではあるが、そろそろ勝ち点は欲しいところである。

 前節のフラム戦ではやたらおとなしかった印象があるルートンだが、今節は立ち上がりかららしいキックアンドラッシュを披露する。展開が落ち着くとウルブス相手にボールを持つことができたルートン。1トップのクーニャをトップにおいて、プレス隊に人数をかけてこないウルブスに対して、バックラインからゆったりとボールを持っている。

 左右にボールを散らすというところではその役割が期待されるロコンガがあまりリズムに乗れていないのが気がかりではあるが、シンプルなロングボールを送るところからモリスのミドルがバーを叩くなど好調。右サイドにおいてはブラウンが空中戦での競り合いに勝利しているのも大きく、ルートンはロングボールから前進を狙っていく。

 一方のウルブスはボールを簡単に捨ててしまい、3トップに全くボールが入らない状況に。この辺りはルートンの守備も素晴らしく、特にバックラインの押し上げからロングボールを入れることを許さずに高い位置から攻撃を跳ね返すことができていた。

 ウルブスは数少ない押し込む機会でもWGで勝負ができず起点になることができない。まず前に運べない、そして運べても手ごたえがない。そうした状況に募らせたイライラを発散してしまったのはベルガルデ。全く必要のない無駄な一発退場で状況をさらに悪くさせてしまう。ルートンにとっては絶好の初勝利チャンスである。

 退場直後はバックラインがバタバタしていたウルブス。ハーフタイムを挟んで少し落ち着きを取り戻した様子。撤退守備で割り切ることで少なくとも守るほうは安定。ボールを持ってのあれこれはなかなかかみ合わない状況が続いてはいたが。

 しかし、ワンチャンスをモノにできるアタッカーがいるのがウルブスの恐ろしさ。横パスをひっかけたネトのワンマン速攻から先制ゴールを奪う。

 まさかの先手を奪われたルートン。しかしながら押し込みつつ停滞が生まれてしまい、なかなかゴールに迫れない。むしろ、セットプレーからあわやウルブスに追加点を奪われそうになるシーンすらあったくらいである。

 しかし、押し込んでいるルートンはハンドからPK獲得。押し込み続けることでもらえるボーナスのようなチャンスをモリスが決めてタイスコアに引き戻す。

 ここから一気に攻め切りたいルートンだが、先制点以降勢いが沈んでしまいなかなか攻め込むフェーズにいけない時間が続いてしまうように。一方のウルブスもお馴染みの前線のアタッカーの息切れで攻勢に出ることができない。

 だいぶ時間を消費してしまった終盤になんとかオグベネがネットを揺らすが、これはオフサイド。最終的に勝ち越しゴールをあげることができなかったルートン。それでもプレミアで初の勝ち点というクラブとして大きな一歩を踏み出すことに成功した。

ひとこと

 もったいないような、まずは1ポイント取れてよかったようなというルートンだった。

試合結果

2023.9.23
プレミアリーグ 第6節
ルートン・タウン 1-1 ウォルバーハンプトン
ケニルワース・ロード
【得点者】
LUT:65’(PK) モリス
WOL:50‘ ネト
主審:ジョシュ・スミス

ブレントフォード【11位】×エバートン【18位】

ついに手にした初勝利とブレントフォードの苦悩

 キックオフ前のアップでシャーデが負傷し、ルイス-ポッターがいきなり先発に抜擢されることに。これでブレントフォードは前線の控えがベンチからいなくなってしまいという苦しい状況だった。

 立ち上がり、ボールを持ったのはブレントフォード。エバートンはボールを持たせつつ中盤をきっちりマークする方を優先。となるとブレントフォードが保持でどれだけ動かせるの?という展開になる。

 この部分が定まらなかったブレントフォード。ルイス-ポッターにボールを頑張ってつけてもバックラインまでボールを下げてしまうなど、なかなかWGへボールを預けることが仕掛けにつながらなかった。

 そうなれば、エバートンはラインを上げてボールを奪い、そのままカウンターを打つことができる。前線のベトはアーセナル戦と違い簡単にボールを収めることができるので、ドゥクレが前を向いて推進力を発揮するのは絶好の状況。ドゥクレはセットプレーから先制点までゲット。動き直しでオフサイドを回避するストライカー顔負けの振る舞いから貴重な先手を奪うゴールを手にする。

 その後もしばらくは前線の預けどころが見つからないブレントフォードにエバートンがカウンターから有効打を放っていく構図が続いていく。しかし、深さを作ったウィサのポストプレーからイェンセンが一撃でゴールを仕留める。

 このゴールで試合の流れは変わった。左サイドではルイス-ポッターが仕掛けられるようになり、ウィサへの縦パスを入れることもビビらなくなった。さらにはゲイェを狩りどころにしたショートカウンターなど自信を持ってプレーができるように。

 一方のエバートンはレイオフの関係性からフリーマンを作る工程をすっ飛ばして、直線的に抜け出す楽な道を選び始めた感があった。試合は1-1でハーフタイムを迎える。

 後半は前半以上にボールが行ったり来たりする展開に。ブレントフォードペースの流れにリセットがかかり、ロングキックでひたすら前に急ぎながらピンボールのように忙しく動くボールに合わせて選手たちが上下動を繰り返す。

 すなわちチャンスの少ない展開になったということであり、そういう状況を分けるのはセットプレーというのは世の常。必勝パターンであるファーサイドのターコウスキでエバートンが前に出ることに成功する。

 ブレントフォードにも直後にセットプレーからの決定機があったが、こちらはゴールに捩じ込むことができず。すると一気に畳み掛けたいエバートンがキャルバート=ルーウィンのゴールでリードをさらに広げる。

 前線の代えがいないブレントフォードはこの流れに抗うことができず。そのまま試合は終了し、エバートンがついに今季初勝利を挙げることとなった。

ひとこと

 一番欲しい人にゴールが生まれ、悲願の勝ち点3を手にしたエバートンと松葉杖で歩くシャーデが映し出されたブレントフォード。対照的なチーム状況が浮き彫りになった一戦だった。

試合結果

2023.9.23
プレミアリーグ 第6節
ブレントフォード 1-3 エバートン
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:28′ イェンセン
EVE:6′ ドゥクレ, 67′ ターコウスキ, 71′ キャルバート=ルーウィン
主審:マイケル・オリバー

バーンリー【19位】×マンチェスター・ユナイテッド【13位】

ブルーノのスーパーゴールを死に物狂いでキープ

 アーセナル、ブライトンと連敗を喫してしまい、リーグ戦では出遅れとなったユナイテッド。CLでも初陣を飾ることができず、テン・ハーグへの風当たりは日に日に強まっている。昇格組のバーンリーに敗れるようなことがあれば、より周辺は騒がしいものになるだろう。

 立ち上がりにボールを持つのはバーンリー。CBが開きながらボールを持ちつつ、SBのは内外柔軟にプレーする。普段であれば、インサイドに絞ることが多い右のSBのロバーツだが、この日はラッシュフォードとの駆け引きを頑張っていた。前に食いつきやすいラッシュフォードがプレスに出てくると、その背後からロバーツは運ぶことができる。ここがバーンリーの前進のルートになっていた。

 右サイドのロバーツは奥まで侵入すると、折り返しのクロスからアムドゥニの決定機を演出。しかし、これはオナナがファインセーブでシャットアウト。CLでの不出来を塗り替えるようなスーパーセーブでこの決定機を防ぐ。

 アムドゥニはこのシーンを含めていくつかチャンスがあったのでそれは決め切りたかったところ。ストライカーとしての仕上げの役割を果たすことはできなかった。

 ユナイテッドは保持で非常に苦労。リンデロフが列を上げて工夫を見せていたが、それがスムーズな前進につながるかは別問題という感じ。カウンターも打ててはいるが、これはGKのトラフォードによってセーブに遭う。セットプレーからエバンスがネットを揺らすなど、見所満載のゴールが決まったかと思いきや、これはオフサイドで取り消し。

 このシーン以降は両チームとも繋ぎでミスが多く、なかなか敵陣まで入れない展開に。じりじりとした試合を動かしたのはクラックの一撃。エバンスの大きな展開を受けたブルーノの豪快なボレーが試合を動かし、ユナイテッドがハーフタイムをリードで迎えることに成功。立て続けにホイルンドが同じ形の決定機を迎えるなど、勢いに乗って前半を終える。

 後半頭は前半に戻ったかのように高い位置にプレスに出てくるユナイテッドに対して、どこまでバーンリーが牙をむけるか?という流れになった。しかしながらアムドゥニが流れるなどでPA内に人がいなかったり、あるいは強引な持ち運びからロストしたり、前半のようにバーンリーは流れに乗ることができない。ユナイテッドも決定機にはならないが、押し返すことはできており、バーンリーの前進に対してコストをかけさせることができていた。

 バーンリーの終盤の交代策は悪くはなかった。グズムンドソンの負傷交代以降、右サイドに移動してからすっかり元気がなくなったコレオジョよりも、ラーセンの裏抜けの方が効果的だった。

 しかしながらテン・ハーグもヴァランを最後の壁として投入。中盤より前の交代策が限られている分、PA内での跳ね返しの安定感を分厚くしたユナイテッド。最後まで逃げ切りに成功し、公式戦での連敗に歯止めをかけることに成功した。

ひとこと

 内容の寂しさは否めないが、まずは勝たなければいけない一戦だっただけにきっちり結果を出せたことは大きい。ブルーノのボレーに救われた格好である。

試合結果

2023.9.23
プレミアリーグ 第6節
バーンリー 0-1 マンチェスター・ユナイテッド
ターフ・ムーア
【得点者】
Man Utd:45’ ブルーノ・フェルナンデス
主審:トニー・ハリントン

チェルシー【14位】×アストンビラ【7位】

息をつけないチェルシーをビラがしたたかに下す

 今季ここまではわずかに1勝。ルートンにしか勝っていないチェルシーへの風当たりは早くも強くなっている感じがする。

 そんな状態を振り払うかのようにチェルシーはエンソとジャクソンを主体とした高い位置からのプレスを敢行する。しかしながら、アストンビラはこれを落ち着いていなす。特にGKのマルティネスを活用しての数的優位の確保は効いており、チェルシーの高い位置からのプレッシングを無効化できていた。

 左右にボールを前進のスキームがあったのもビラにとっては優位に立った理由の一つ。左サイドのハーフスペース付近でグストを背負ったザニオーロが絶好調。ボールを収めて反転して前を向く形でチャンスメイクをしていく。

 逆サイドではカマラがマッギンの列落ちに対してムドリクやギャラガーが後手に回った対応をするシーンが目立った。前からのプレスに意欲的なのはいいのだが、とにかくどこの向きに誘導しているかがわからないので、後方からのサポート役もプレスに打って出れずに守備網が間延び。結局、望まない形でプレスラインの撤退を強いられることに。

 チェルシーは右サイドを軸にWGの抜け出しからチャンスを作っていく。猪突猛進のスターリングのスピードからサイドを押し下げていく。チェルシーの攻撃を見て少し感じたのは、トップの抜け出しからシュートまで力み続けているような場面が続いていること。決定機の割に決められないというxG的な話は出ていたが、シュート前に息が入る間がないので、シュートが力んでしまっている可能性もあるかもしれない。

 均衡で迎えた後半、チェルシーはチャンスメイクで依存していた前線のスピードをさらに生かすかのように、縦に速いテンポでの攻撃を行っていく。ビラもこれに応戦しつつ、チェルシーが少し流れを引き戻してきたなという後半の立ち上がりだった。

 だが、テンポアップに先に音を上げたのもチェルシー。グストの一発退場で10人になってしまうと、自陣撤退第一の流れに引き込んでいく。だが、そんなチェルシーをあざ笑うかのようにアストンビラが先制。行けると思ったチェルシーのセットプレー攻勢をディアビのカウンターからひっくり返して最後はワトキンス。数的優位に加えてついにリードを奪い取る。

 チェルシーは終盤に復帰戦となるブロヤが投入される。セットプレーから決定機もあった展開だったが、最後までゴールは奪えず。チェルシーはアストンビラに逃げ切りを許して今季は早くも3敗目。9月上旬から続く無得点記録もストップできず、9月は3試合のリーグ戦でノーゴールという形に終わってしまった。

ひとこと

 やはり、シュート前の一息をつけるかどうかはチェルシーにとって大事な気がする。ジャクソン不在で縦に急げないフラム戦でもう少し緩急をつけた攻め筋が見つかればいいのだが。

試合結果

2023.9.24
プレミアリーグ 第6節
チェルシー 0-1 アストンビラ
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
AVL:73′ ワトキンス
主審:ジャレット・ジレット

アーセナル【4位】×トッテナム【2位】

主導権を握ったアーセナルとロメロを救ったソン

 レビューはこちら。

https://www.footballista.jp/regular/167511?fbclid=IwAR0IUlMVQrFeicBvfgU9SqiOTTX1EQedM–Frm8yHDQbTLBfUIyc9yAFaXM

 実に34年ぶりの無敗同士での衝突となったノースロンドンダービー。文句なしで今節最も注目のカードといっていいだろう。

 注目の一戦でまず仕掛けたのはアーセナル。高い位置からプレスでトッテナムの守備陣のプレス耐性を図る。アーセナルはウーデゴールが左からプレスをかけていく形でトッテナムのビルドアップを右サイド側に誘導。そのままハイプレスに移行し、狭いスペースでボールを囲うように守る。

 アーセナルのこのハイプレスは相当に機能したといえるだろう。降りるマディソンもライスが制圧し、ジェズスは列を超える形でプレスをかけ続けてトッテナムのパスワークにミスを誘っていく。

 一方のトッテナムのハイプレスはアーセナルほど機能しなかった。ラヤはフリーでボールを持てる機会が多かったため、トッテナムのプレス隊を左右に振る形でポゼッション。さらには内に絞るジンチェンコから大外のパスコースを使うことで、サイドに1on1の形を作っていく。

 この土俵でクオリティを見せたのはサカ。右からのカットインでミドルを放つとこのシュートがロメロのオウンゴールを誘発。アーセナルが右の定点攻撃から先手を奪う。

 プレスと右サイドからの攻撃という2本柱で主導権を握るアーセナル。しかしながら徐々にトッテナムは反撃。アーセナルのプレスが鈍ったところを見逃さず、マディソンやビスマからクルゼフスキに大きな展開を飛ばすことで前進する。クルゼフスキを追い越す選手を作る形でアーセナルのバックラインを乱すと逆サイドで折り返しをジョンソンが淡々と狙う。

 1回目のサイド攻撃はラヤのファインセーブによって阻まれたが、2回目はマディソンの左サイドの突破からソンがわずかなコースを切り拓くシュートで試合を振り出しに戻す。アーセナルとしてはホワイトかライスのカバーでマディソンの侵攻を防ぎたかったところだろう。

 後半、アーセナルはハヴァーツの投入でプレス強化。再び敵陣に押し込む時間を作る。すると、セットプレーからロメロのハンドでトッテナムはPKを献上。またしても失点に絡んでしまったロメロを救ったのは、再開直後にジョルジーニョに思い切ったプレスを敢行し、ソンの独走ゴールを演出したマディソンだった。

 失点後、アーセナルは悪い流れが続いたが、徐々に立て直すと最後は押し込む時間が長くなるように。しかしながら、交代選手が流れの波に乗ることができず。サイドでも中央でも軸がわからず、攻めとして責任を取るプレーができる選手がいなくなってしまっていた。

 トッテナムもカウンターからサリバの壁を破れる交代選手はおらず、試合はそのまま終了。白熱したノース・ロンドン・ダービーは2対2の引き分けで終わった。

ひとこと

 優勢だったのはアーセナルだが、やれたこととやれないことの整理をしつつ敵地からポイントを取って帰ったトッテナムの方がファンの満足度は高いかもしれない。

試合結果

2023.9.24
プレミアリーグ 第6節
アーセナル 2-2 トッテナム
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:26′ ロメロ(OG), 54′(PK) サカ
TOT:42′ 55′ ソン
主審:ロベルト・ジョーンズ

リバプール【3位】×ウェストハム【6位】

「らしい」ヌニェスの決勝点でEL対決を制する

 ともに木曜にELを戦うというハードなスケジュールをこなしている両チーム。ウェストハムはリーグで考えてもシティとリバプールの連戦という厳しい日程であるが、いいペースで勝ち点を積み上げているだけに難所といえどポイントを持ち帰りたいところだろう。

 ボールを持つのはリバプール。今日もゴメスはインサイドに絞るトライを時折ではあるが続けている。ボールを繋ぎながらブロックの間のスペースを通しに行こうとするが、怖いのはウェストハムのカウンター。立ち上がり早々にソーチェクの決定機をアリソンがセーブしたように早い展開に脅かされる場面はあった。

 ウェストハムはライン間が空いているリバプールに対して縦パスを差し込んだり、ライン裏にアントニオやボーウェンが抜け出したりなど、序盤は保持に回った時のアプローチも良かった。リバプールの保持、ウェストハムのカウンターという構図に限らず、ウェストハムは主導権を握ることができるのではないか?という予感も匂わせていたくらいだ。

 しかし、そんなウェストハムにリバプールはカウンターからの反撃という形で落とし穴を準備。あっさりとPKを獲得すると、ここで先制点を奪い取る。

 この先制点以降はウェストハムは苦戦。サリーを活用したりなどの工夫は見られたが、外に基準を作れずにロバートソンとゴメスに先手を奪われてしまい、なかなかボールを収めることができない。

 一方のリバプールは豊富な運ぶ手段から攻略法を披露。CBのキャリー、WGの動き出しながらのサイドの裏へのボールの引き出しなど、ポゼッションの局面では優位に立っている。左ではディアスの1on1も効いていた。

 優勢だったリバプールだが、ウェストハムは一瞬の隙をついて同点に。瞬間的にズレを作ったボーウェンからアントニオ→コーファルとボールを繋ぎ、再びボーウェンがゴール。彼の今季の好調さを象徴するような素晴らしいゴールだった。

 しかしながら、後半もペースはリバプール。硬い中央を細かいポゼッションで押し下げて、MFラインを最終ラインに吸収させる形で押し込んでいく。前線でもヌニェスがアゲルトとの駆け引きで優位に立つなど徐々に決定機を作れるように。

 決め手になったのはマック=アリスターのピンポイントの浮き玉のパス。アゲルトとの駆け引きに勝利したヌニェスがアクロバティックなシュートを披露。その前の簡単な決定機を外しておいて、このゴールを決めるのはいかにもヌニェス。兎にも角にもこれでリードを奪うことに成功する。

 その後もリバプールは試合を制御。前線を入れ替えたウェストハムの攻撃をシャットアウトし、反撃のチャンスを許さない。85分にはジョッタが3点目を決めて試合は終了。EL出場チーム同士の一戦はホームのリバプールが後半を制圧しての完勝を収めた。

ひとこと

 内容も落ち着いていたし、ウェストハムの反撃も抑えられていたしリバプールの完勝。連敗のウェストハムは相手が悪かったとなるか、引きずられてしまうかは来週次第と言えるだろう。

試合結果

2023.9.24
プレミアリーグ 第6節
リバプール 3-1 ウェストハム
アンフィールド
【得点者】
LIV:16′(PK) サラー, 60′ ヌニェス, 85′ ジョッタ
WHU:42′ ボーウェン
主審:クリス・カバナフ

ブライトン【5位】×ボーンマス【15位】

難しいスケジュールと粘る難敵を三笘の2ゴールでクリア

 ELを戦うことで直後のリーグ戦は難しい運用になるという欧州カップを並行して戦うチームの宿命にいよいよ今節から直面するブライトン。比較的メンバーを固定する傾向があるデ・ゼルビも前線を中心にターンオーバーを実施する。

 ボーンマスのマークは4-4-2ベースであり、黙っていればブライトンの布陣と噛み合う形。CHは基本的には相手についていくが、降りていき過ぎている場合はそこまでついていかない。ブライトンの場合はCHがポジションを守ることのほうが多いので、あまりそうした機会が多くはなかったのだけども。

 というわけでブライトンはなかなかボールの出しどころを見つけることができない。いつもであれば、CFが降りる動きを見せるのとWGが背後を取る動きのコンボで裏への解決を図るのだが、この辺りは三笘とマーチの専売特許なのかもしれない。

 ブライトンはフェルブルッヘンがボールを持ちながら外れるところを探るような時間が増えていく。フェルブルッヘンは全く焦れないので、GKがやたらとボールを持つシーンで試合は膠着するようになった。

 しかしながら、このスタンスが裏目に。ボーンマスは高い位置からフェルブルッヘンの選択肢を少しずつ削るようにジリジリと間合いを詰めてミスを誘うと無人のゴールにソランケが先制ゴールを叩き込む。

 ミスから先手を取られたブライトン。反転するウェルベックが警告を引き出すなど、時間の経過とともに少しずつ押し込めるようになっていく。すると前半終了間際に左サイドからギルモアが上げたクロスがオウンゴールを誘発。ハーフタイムの前にスコアを振り出しに戻す。

 後半、ブライトンは三笘とファティを投入し前線のテコ入れを図る。するとその効果が出るのにかかった時間はわずかに数十秒。インサイドに入り込んだ三笘があっという間に勝ち越しゴールをもたらす。

 後半のブライトンは内容的にも改善が見られた。前半はどこか様子見でジリジリしていた印象だったが、後半はとりあえず縦パス入れてみよう!無理だったら戻して!の繰り返しで少しずつリズムが出てくるように。ボーンマスとしては縦パスへの都度の対応をサボらないことで前半は前進を許さなかったため、対応する頻度が増えてくるようなアクションは非常に厄介だったに違いない。

 押し込まれるボーンマスはなかなか押し返せずに苦戦。WGを入れ替えても即座に効果は出なかったが、活発にオーバーラップを行うブライトンのSBの背後を狙う形で押し返すケースも出てくるように。

 しかし、次のチャンスをものにしたのはボーンマスではなくブライトン。またしてもインサイドに入り込んでの少ないタッチでゴールを決めた三笘がブライトンの3ポイントに決定的な3点目をもたらす。

 ゲームチェンジャー・三笘が仕事を果たした後半。ブライトンは粘るボーンマスを振り切り、EL後の難しい試合を乗り越えてみせた。

ひとこと

 前半のうまく守れている内容であれば、少なくともボーンマスはリードしてHTを迎えたかったところだろう。

試合結果

2023.9.24
プレミアリーグ 第6節
ブライトン 3-1 ボーンマス
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:45+2′ ケルケズ(OG), 46′ 77′ 三笘薫
BOU:25′ ソランケ
主審:ジョン・ブルックス

シェフィールド・ユナイテッド【17位】×ニューカッスル【12位】

流れが一変するゴールラッシュを呼び込んだ先制点

 立ち上がりの動きがどちらのチームの方がよかったかといえば、初勝利を目指すシェフィールド・ユナイテッドの方だっただろう。バックラインからショートパスをつなぎつつ、大きな展開を織り交ぜながらニューカッスルのラインを大外から押し下げてシュートチャンスを迎えていく。

 攻め手も実にバリエーションが豊かだった。外循環だけでなく、インサイドでも好連携が目立つ。ポストプレーと落としを受ける関係など縦の形からニューカッスルのDF-MF間を使うプレーも散見。斜めのフリーランなどのレーンの入れ替えの感触もよかった。

 対するニューカッスルの立ち上がりは重さを感じるものだった。守備では相手の狙いどころが定まらずにズルズルとラインを下げることが多く、保持においては中央を堅く守る5バックを動かせずに苦戦。なかなか思うように攻め込むことができない状況が続く。さらにはバーンズの負傷もあり、ニューカッスルには暗雲が立ち込める。

 しかしながら、試合の流れを一変させたのはバーンズに代わって投入されたゴードンだった。左サイドからあっさりと相手を剥がすと、折り返しに走りこんだロングスタッフがフリーで蹴りこんで先制点をゲット。実に簡単に試合を動かすことに成功する。

 シェフィールド・ユナイテッドはゴードンに対応したアフメドジッチの対応があまりにもお粗末。右利きの選手に対して、一発であの方向で逆を取られてしまうのは軽率と言わざるを得ないだろう。良い流れを作ってもバックラインが踏ん張れず、水泡に帰すという流れは今季のシェフィールド・ユナイテッドで何度も見た展開だ。

 このゴールで流れは一変。ニューカッスルはセットプレーからさらに2点を追加。特に2点目の方はバーンが相手を引きずりながらも問題にせずにヘディングを決めており非常にインパクトが強かった。

 平面の方でも試合の流れは明らかにニューカッスルに偏りだす。シェフィールド・ユナイテッドはボールを動かしての攻撃のシーンがまったくなくなってしまい、逆にニューカッスルは自信をもってガンガンプレッシングに出てくる。

 後半もその流れは継続。アウトサイドを主体にあっさりと押し下げられてしまうと、緩いクロス対応からボックス内でニューカッスルに簡単にシュートを許す場面が続々と。ゴードンのスーパーゴールみたいな得点はある程度仕方ないと割り切れるだろうが、全体的に力ない対応からニューカッスルにのびのびとプレーをさせてしまった。

 前半の3得点で勝負を決めたニューカッスルだったが、後半にさらにブーストして5得点を新たに追加。序盤の体の重さが嘘のような解消でブラモール・レーンを完全制圧して見せた。

ひとこと

 今季の昇格組の粘り腰の弱さと乗せた時のニューカッスルの恐ろしさが共存した試合だった。

試合結果

2023.9.24
プレミアリーグ 第6節
シェフィールド・ユナイテッド 0-8 ニューカッスル
ブラモール・レーン
【得点者】
NEW:21‘ ロングスタッフ, 31’ バーン, 35‘ ボットマン, 56’ ウィルソン, 61‘ ゴードン, 68’ アルミロン, 73‘ ギマランイス, 83’ イサク
主審:スチュアート・アットウェル

今節のベストイレブン

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