前半と全く異なる後半を制した福岡が逆転勝利
どちらのチームもロングキックが多いスタート。福岡が左右に降りつつ前線にロングボールを当てると、柏もそれに対抗するように縦に早く進んでいく。普通であれば、こうした流れは10分もすれば落ち着くのだが、この試合はずっとバタバタしながら交互に攻めていく。
そうした中で主導権を握ったのは柏。縦に早く刺していく過程で前線が前を向いてのスピードアップの機会を増やしていく。ロングボールについてもバリエーションが豊か。細谷が降りて受ける動きを囮として背後を山田が狙う形から独走しての決定機を迎える。
押し込む柏はCKから先制点をゲット。ゴール前を高い選手で固める福岡に対して、ファーで待ち構えるジエゴがゴールを叩き込む。
失点後、福岡はプレスを強めてさらに試合をアップテンポな方向に誘導する。そんな福岡の強気の姿勢に対して、柏は福岡の3バックの背後を狙う形で攻略を狙ったため、試合は非常に落ち着かない展開に。とにかくボールホルダーをひたすら捕まえる。
非保持側は1人目がずらされれば、すぐについていく。4-4-2の柏と3-4-3の福岡という噛み合わない陣形だからこそ、フリーの選手が生まれてどんどんボールを縦につけていく現象が起きている感じ。40分にようやく柏がボールを繋ぎながらの落ち着いてパスワークをするシーンが起きるが、それまではJリーグの中でもあまり例を見ないくらい忙しい展開だった。
後半、さすがに試合はトーンダウン。ボールを持たれる側がプレスを弱めることで、ボールを持つ側が急ぐことがなくなり、ようやく落ち着いて展開を迎えることになる。
落ち着いた流れの中でチャンスを迎えたのは福岡。サイドからボールを運び、柏の守備をサイド側に呼び込むと、中央に斜めにパスを刺して加速。仕上げとなったのは山岸、紺野、金森の3トップの連携。福岡の同点ゴールが典型例で、降りた金森のポストから山岸→紺野と繋いで一気にゴールを陥れる。柏のCHはフィルターになれず、金森のポストを自由に許してしまった。
追いつかれた柏は保持から5-4-1のブロックをなんとかしたいところ。柏は縦に刺すパスのタッチがやや乱れてしまう傾向にあり、なかなかスペースをこじ開けられない。ということでCBがボールを持ち運ぶところからズレを作ろうとするが、これが仇に。犬飼の持ち上がりを潰した福岡はカウンターを発動し、再び3トップからのファストブレイクで柏のゴールを陥れる。紺野はこの日2得点目である。
これ以降、柏は福岡の5-4-1をポゼッションから動かし、福岡はカウンターから隙を狙うという形で盤面は整理された感がある。次のゴールを手にして試合を決めたのは福岡。紺野のスルーパスをきっかけに抜け出した金森がリードを広げて完全決着となる。紺野のパスカットにトライした結果、金森の前にボールを落とす処理ミスをした犬飼にとっては厄日として言いようがない。
終盤はリスクをかけて攻めていく柏だったが、最後まで福岡のゴールをこじ開けることはできず。終盤は福岡の3トップを軸とした連携に沈み、逆転負けを喫した。
ひとこと
前半は強度勝負、後半は盤面をずらせるかどうか勝負という2つの違う顔がある試合だった。前半を優勢に進めた柏だが、後半で後手を踏んだ部分が高くついてしまった。
試合結果
2023.9.23
J1 第28節
柏レイソル 1-3 アビスパ福岡
三協フロンテア柏スタジアム
【得点者】
柏:13‘ ジエゴ
福岡:54′ 56′ 紺野和也, 65′ 金森健志
主審:西村雄一