Fixture
明治安田生命 J1リーグ 第31節
2023.10.29
柏レイソル(16位/6勝11分13敗/勝ち点29/得点28/失点42)
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川崎フロンターレ(9位/12勝6分12敗/勝ち点42/得点43/失点41)
@三協フロンテア柏スタジアム
戦績
近年の対戦成績
直近10回の対戦で川崎は7勝、引き分けが3つ。
柏ホームでの戦績
直近10戦で柏の4勝、川崎の3勝、引き分けが3つ。
Head-to-head
- リーグでの対戦において川崎は柏相手に11戦無敗(W8,D3)
- しかし、直近2回での日立台ではいずれもドローで決着。
- 柏が最後にホームの川崎とのリーグ戦に勝利したのは2015年7月。工藤壮人のゴールでの1-0での勝利。
- 10月の日立台でのリーグ戦は過去に2回。2012年と2017年でいずれも川崎は勝てていない。
スカッド情報
- 田中隼人、ブエノ、山本桜大は欠場の見込み。モハマドファルザン佐名にも欠場の可能性。
- 右下腿三頭筋肉離れで離脱中の大島僚太はランニングをスタート。
- 大南拓磨は1試合の出場停止。
- 佐々木旭は左ハムストリングの肉離れで離脱。
- 車屋紳太郎は左脛骨骨挫傷で離脱。
予想スタメン
Match facts
- 敗れればおよそ4か月ぶりのリーグ戦連敗。
- 直近7試合の公式戦のうち先制した5試合は全勝しており、先制された2試合は全敗。
- 今季のリーグ戦においてリードされた状態からの逆転勝ちがない(D4,L13)
- 細谷真大は直近4試合の先発した公式戦で4得点。
- リーグ戦において柏の28ゴールのうち、細谷は12ゴールを記録。個人の得点占有率としてリーグで最多の数字(42.9%)。
- しかし、細谷が日立台の公式戦で得点したのは7月8日の湘南戦が最後。以降は571分ノーゴールが続いている。
- 勝てば福岡戦に続いてのシーズンダブル達成。
- 10月のリーグ戦は4連勝中。
- 直近9試合の関東のチームとの公式戦で無敗(W8,D1)
- 直近2試合の柏との対戦はどちらも小林悠がゴールを決めている。
- 加入以降、大南拓磨がベンチに入らなかったリーグ戦は3試合すべて敗れている。
- 瀬川祐輔は今季途中出場から5ゴールを決めている。
- これより多いのはドウグラス・ヴィエイラ(8)とパトリック(6)だけ。
予習
第28節 福岡戦
第29節 札幌戦
第30節 浦和戦
展望
ムラが出るパフォーマンスの要因は?
前節は横浜FCと湘南が揃って勝利し、後方2チームとは1試合あれば帳消しにできる勝ち点差しか無くなってしまった柏。一時期は多少後方の差に余裕があるかと思われたが、1枚のババを巡る残留争いはまだ終息の気配はない。
井原レイソルのフォーメーションは4-4-2で一貫している。得意なのは縦に速い展開。全体をコンパクトに保つことができないだらっとした状況を作ることができれば、前線の機動力を生かして押し切れる力は十分にあるチームである。細谷、サヴィオを活用したカウンターはJにおいてはどのチームからも得点を奪うことができるポテンシャルを有していると言えるだろう。
札幌戦や福岡戦の前半はまさしくこの部分が生きた形。直線的な攻撃から相手の守備ブロックに侵入して一気に攻め切る形を作っていければペースを握ることは十分に可能である。
攻撃の形として新しく見られているのは福岡戦で見せた細谷を囮とした山田雄士の裏抜け。大駒をフェイクに使う有効打を打つことができれば、大駒もさらに威力を増すというのはサッカーあるあるである。このケミストリーは大事に育てていきたいところだ。
その一方でスローリーな展開から相手の守備ブロックを打開せよというオーダーになるとなかなか引き出しが見えない状況になる。福岡戦の後半のように保持のゆったりとしたターンを押し付けられると停滞感が出てくる。特に、インサイドへの縦パスを活用した攻略のパターンは硬直気味でこれといった形を作るのに苦しんでいる。SBのオーバーラップ、特に左のジエゴの攻め上がりを使うことができればサイド攻撃は厚みを増す感じがするが、そうした時間を作れるケースは稀だ。
福岡戦ではミスからの失点に繋がってしまったが、犬飼がボールを持ちながら空いているところを探す部分は必要なプレーではある。インサイドに一度差し込んでしまうと、それ以降はボールの落ち着かせどころが見つからずにバタバタしてしまうのはチームとしての課題だ。
ワンタッチでダイレクトにやり直しがないという状況であれば、個々のコントロールの質やその日のコンディションに大きく左右されがちなピーキーなプレーになるのは必然な感じはする。武器はあるが、それを活かすための土壌や展開が限られており、それがパフォーマンスのバラツキに繋がっているように思う。
非保持においてはアンカーを受け渡しながらの4-4-2がベースになる。縦方向は比較的コンパクトに保てる時間があるが、横のスライドに関しては少しスペースを埋める空気が希薄な部分がある。福岡戦での失点は片側サイドに寄せられてから、スペースがスカスカになった中央でヘアバンド3兄弟が躍動して自在な攻略を許してしまった。
最終ラインを含めて柏の守備はボールサイドでは強気のスライドを見せつつ、ボールサイドと逆側では規律が乱れてしまいがち。横方向の間延びはこうした傾向から生まれてくるものだろう。
逆にこの守備が機能するのはスライドや降りる選手への捕まえるアクションが効いている時。強気な初手が刺さる時と言い換えてもいいだろう。攻撃でのダイレクト思考、ワンタッチでのパスワークあたりなども含めて強気に出ていけた時の鋭さは十分にある。その一方でその鋭さの周辺の土台には脆さを感じる部分もある。それが今の柏なのではないだろうか。
WGは立ち位置を守る方向性で
川崎のこの試合におけるポイントはなんといってもCB。特に大南拓磨の不在をどのように埋めるかだろう。出場停止処分を喰らっているこの試合はもともと出れる見込みはなかったが、パトゥム戦で足首を負傷。この初見が本当で膝への影響がないのであれば、半年以上の長期離脱コースは避けられたということにはなるが、おそらく一定の期間は離脱することは間違いない。
期待されるのは入れ替わるようにスカッドに入ってきたジェジエウ。もちろん、フィットネスが整えば大南以上に防波堤としての能力の高さが機能することはすでに保証をされている。この部分では特に大きな心配をすることは必要ないだろう。
その一方でボール保持の観点ではコンディション以外の懸念点もある。柏の4-4-2プレスがアンカー監視型であるのであれば、片方のCBにはボールを持たせてOKというプランは使いやすい。ジェジエウにボールを持たせてしまおう!という解決策に辿り着く可能性はそれなりにある。
もちろん大南にも物足りない部分もあるが、ダミアンへのロングボールという保険の選択肢を作りながら、縦パスへのチャレンジも積極的にトライしているなど伸び代がちらほら見える。特に、高いラインからのインターセプトで奪った直後の1つ目のパスはすでにトランジッションにおける川崎の武器の一つとして位置付けて問題ないだろう。試合勘とゲーム体力に不安があるジェジエウがどこまでこの部分まで手が回るかはこの先を見据えての重要なポイントになる。
攻撃においては柏相手に広く横を使いながら攻めていきたいところ。そのためにはWGがボールサイドによるのではなく、立ち位置を守ることが第一ステップである。狭いスペースへの密集はボールホルダーへの局所的な寄せという柏の得意なパターンで解決できる。
それであれば両方のWGが立ち位置を守って柏の守備における横の間延びを誘発するようなアプローチを使っていきたい。柏に脆さはあるが、パトゥムのようないくらでも攻撃が可能な脆さは柏にはない。きっちりと脆さが顕在化するための種まきをしておきたい。広いスペースで中盤が勝負できれば勝利にはグッと近づくだろう。
リーグでのモチベーションでは柏には分があるが、大南が離脱した際のバランス再構築など川崎側にもテーマはある。ACLでのいい流れを途絶えさせないためにも結果は必要。ジェジエウの復帰を日立台で盛大に祝いたい。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)