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「Catch up FIFA Women`s World Cup 2023」~2023.7.26 Group C 第2節 日本×コスタリカ ハイライト~

目次

両サイドのスキを見逃さず電光石火の2得点


 性別は違えど1年ぶりにW杯のGSで激突する日本とコスタリカ。ドイツとスペインと同居していたということもあり、彼らのベタ引きスタイルは非常に印象的なものとなった。 

 だが、女子のコスタリカ代表は男子ほど極端にベタ引きで戦うわけではなさそうであった。CBが幅を取り、挟まれたGKはビルドアップにも参加。日本は田中美南をスイッチ役としたプレスからシャドーが呼応する形で前線から追い回していくが、コスタリカがきっちりと幅を取ったこともあり、なかなかプレスでひっかけることができなかった。

 コスタリカはパスワークから後方でフリーマンにボールを回すことはできていたが、ある程度引き込んでからはロングボールで一気に前進するというスタイル。チンチージャと縦関係になるサラスを中心に前線のターゲットにボールを送るが、日本のバックラインはこのロングボールに十分に対抗。前線に収めどころを作ることができなかった。

 翻って日本の攻撃がうまくいくかどうかはWBの上がる時間を作れるかどうかにかかっている。コスタリカは非保持に回るとサリスを中盤に回す形で、コンパクトな4-4-1-1のブロックを構築。狭いライン間を閉じながら日本の中央に起点を作らせないようにする。

 それでもサリスからマークをされていないCHはフリーになる日本は内外を自由に使いながら、徐々にコスタリカの陣内を攻略していく。キーマンだったのはCFの田中美南。彼女が相手のDFラインの前から逃げなかったことで、コスタリカの陣形を少しずつ縦に伸ばすことができていた。

 その田中美南のポストこそWBをサイドから押し上げるメソッドに。先制点もこの形から。田中のポストを受けた左サイドに送られたボールから日本は猶本が先制点をゲット。コスタリカからすると強引なインターセプトを失敗したRSBのコトのプレー失敗が大きく響く失点だった。

 コスタリカのサイドでの後手に回った対応は逆サイドでも。正対すらままならない状況から反転で相手を外すことができた藤野が独力でコスタリカの左を破壊しあっという間に追加点。コスタリカはGKとDF共にシュートをまずは切る対応を優先することができなかった。

 反撃に出たいコスタリカは前からのプレスを積極的に解禁。日本の攻撃の起点になっていたWBの出口を早めにふさいでいたあたりはザンビアとは格の違いを感じさせた部分はある。

 しかしながら、WBを使ってザンビアのSHを低い位置に引き出した日本にとって、後方に残されたザンビアの4-3ブロックは非常に攻略しやすいもの。ライン間で受けるスペースは残されているし、前線は裏に抜ける動きを欠かさない。重心が上がり、カウンターからチャンスがないわけではなかったが、エネルギーに見合った見返りがあったかどうかは微妙なところである。

 後半、日本はハイプレスから敵陣を強襲。2点のリードを得てなお高い位置からの守備でコスタリカ相手に主導権を握っていく。

日本が作り出したプレッシングの波は5分ほど抑えることができたコスタリカだが、ゆったりとボールを持つフェーズになっても不利な状況を覆せたわけではない。ロングボールでの制空権が握れずに苦しむ流れは相変わらず。この辺りは日本の3バックの強固さが際立ち続けたといっていいだろう。

保持においても日本はポイントを絞りながら攻略。特に狙い目だったのは不安定だったコスタリカの右サイド。構造的にというよりもデュエルを軸に制していく感じがあった。サイドに流れて裏に抜ける植木や1on1から相手を置いていくことができる杉田からチャンスを継続的に作り出していく。

 追加点こそ奪えなかったが、後半も主導権をがっちりと握って離さなかった日本。コスタリカを完勝で下し、スペインとの連勝対決の最終節に挑むこととなる。

ひとこと

 相手の弱いところを絞って壊すまでのスピードがこの日本はとても早い。実行役となる前線の選手もさることながら、3バックやCHが狙いを絞って配球ができていることが大きな助けになっている。

試合結果

2023.7.26
FIFA Women’s World Cup グループC 第2節
日本 2-0 コスタリカ
ウエストパック・スタジアム
【得点者】
日本:25′ 猶本光, 27′ 藤野あおば
主審:エカテリーナ・コロレヴァ

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