Fixture
プレミアリーグ 第5節
2022.8.31
アーセナル(1位/4勝0分0敗/勝ち点12/得点11 失点3)
×
アストンビラ(15位/1勝0分3敗/勝ち点3/得点3 失点7)
@エミレーツ・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
直近10試合の対戦でアーセナルの7勝、アストンビラの3勝。
アーセナルホームでの対戦
直近10試合の対戦はアーセナルの7勝、アストンビラの3勝。
Head-to-head from BBC sport
スカッド情報
【Arsenal】
・トーマス・パーティは腿の負傷で欠場、モハメド・エルネニーはハムストリングの負傷で欠場。
【Aston Villa】
・フェリペ・コウチーニョ、タイラー・ミングスの起用に楽観的。
Match facts from BBC sport
【Arsenal】
【Aston Villa】
予想スタメン
展望
■カマラをバックラインに下げる意味づけが甘い
今季のアストンビラはなかなか苦しいシーズンになっていると言えるだろう。確かに予定外のことはいくつかあった。代表的な例はバックラインの怪我人である。鳴り物入りで加入したジエゴ・カルロスはシーズン序盤戦でいきなり長期離脱が確定。キャプテンを降ろされ、出番を減らされることが目されていたミングスはあっという間にスタメンに舞い戻った。
そのミングスも前節は病欠。コウチーニョも負傷交代している。今節は出場可能性があるようだが、怪我人の多さは気がかりである。ただ、そうした負傷者事情を差し引いても、チーム作りは順調とは言えないだろう。ジェラードの組み立ているチームの方向性はなかなか見えてこない。
基本システムは4-3-3もしくは4-3-1-2。前線の選手の組み合わせとキャラクター次第で前の形を変えるのは昨シーズンからお馴染みの仕様である。ボール保持においては新加入のカマラがアンカーに入る。彼がサリーをして2人のCBと組みながら3人でフラットな並びでビルドアップをすることが多い。
この組み立ての効果は正直難しいところ。バックラインでの保持の安定感は増えるかもしれないが、前進の役に立っているとはあまり言えないように思う。要するにアンカーが位置を下げる代わりに誰かが前に進める仕組みがセットになっていないのである。
例えば、CBが持ち上がるとか、カマラが下がることによって空いた中盤のスペースにIHが入り込みながら前進するとかそうした仕組みが見当たらない。バックラインからCBがボールを持ち運ぶ機会は限定的だし、IHにはそもそもビルドアップにおいてどれだけ役割を与えているかが不明瞭。カマラが列を下げているのが、単に後ろに重たくなっている感が否めない。
というわけでボールは必然的に外循環になる。しかしながら、外循環での前進もなかなか難しい。外で起点になれる選手は今の陣容で言えばベイリーだろう。しかしながら、彼が主戦場とする右サイドには前進の仕組みがあまりない。右サイドはどちらかというとビラはフィニッシュを放つサイドとして位置付けている。左で作って右で刺す傾向は今季のビラではさらに根強い。よって、右サイドは彼のタメを利用した前進はあまり多くは見られない。
左サイドはIHのラムジーやSBのディーニュなどサイドをサポートできる選手はいる。だが、外に流れて起点になれる選手はいない。よって、この役割はCFのワトキンスに託されることになる。彼やコウチーニョがサイドに流れることで左サイドの崩しを手助けする。
ただし、先ほども述べたようにショートパスをきっちり繋いでいくチームではないので、速く正確にフィードを蹴ることができるミングスが間に合うかどうかは重要なポイント。長い一発を装備できるかどうかで、ビラの左サイドの機能性は変わってくる。左で作って、右で刺すというメカニズムをうまく回せるかがビラの攻撃の重要なポイントになる。
守備においては4-3で後方で受ける形が基本。昨季まではIHがやたらと動き回りながら外に出ていくやや力づくのシステムではあったが、今季は前線の選手たちはより積極的に守備を行うように。
特にトップ下のコウチーニョは守備免除気味だった昨シーズンとは異なり、左右に流れながら相手のバックラインを閉じ込めるトライを行っている。前線の守備におけるタスクは増えたと言えるだろう。前からのプレスがタイトとは言えないが、意欲は増したと言える。
コースを限定して相手を閉じ込めることができればビラのカウンターが発動する。もちろん、4-3ブロックに対しても強引に縦にパスを入れようとすればカウンターは発動。ビラの守備が引き込んだところでロストすれば、ビルドアップではなかなかボールを入れられない2トップにもスムーズにボールを渡すことができる。
■消えるだけじゃ物足りない
アーセナルは何人かの欠場選手が噂されている。トーマス、エルネニーという2人の中盤は不在となり、週末も戻ってこない様子だ。前節欠場したジンチェンコもビラ戦での起用の可能性は低いよう。苦しいやりくりでのミッドウィークでの試合となる。
特に苦しいのはアンカーポジションだ。おそらくジャカと誰かがパートナーを組むことになるだろう。ジャカがポジションを下げながら手助けするとすればロコンガに今季初スタメンのチャンスもあるかもしれない。
前節のレビューでも述べたが、ロコンガに関しては自分がマークにつかれている時にふらふらとボールに近寄らずにキチンと消えることができることがいいところである。
しかしながら、不振に陥った昨シーズン終盤はそこから現れることができなかった。タイトなマークを背負いながらCBからボールを引き取り独力で前を向くなんていう難易度が高いプレーをやれとは言わないが、IHやSBなど前や横にボールが入った時のポジションの取り直しは必須。ボールを受けるために消えた後に現れるプレーは必要である。
トーマスはもちろん、エルネニーほどのフィルター能力も持ち合わせていないロコンガにとっては保持における役割は妥協はできない。エルネニーであれば最低限捌ければ許容だが、ロコンガは前を向いて左右に柔軟に展開する形は見せたいところである。周りの仕組みの整い方は昨シーズンと比べて段違いに整っている。その中で、ロコンガが自分の能力の活かし方を見つけられるかはとても重要だ。
ビラは4-3-3か4-3-1-2かは読みにくい。4-3-1-2であれば中央のマークがタイトな代わりにSBが前進する時間を与えてもらえる。このIHとの駆け引きはレスター戦やボーンマス戦でも経験済み。まずは相手を引き出して中盤に穴を開けたい。
ビラのCF+トップ下のプレスに対しては追い込まれないようにボールを回すこと。フラム戦のように横幅を使いながら慎重に前線からのプレスを外していきたい。まずはボール回しで前線を引き出して列を超える。こうして4-3ブロックと前線を引き離す。そして、IHをずらしながら敵陣で攻略を進めていく。アーセナルの描く青写真はこんな感じだろう。
非保持においてはやはりビラの左サイドの速い攻撃に対しての対応が求められる。ここまでアーセナルはバックラインのスライドもきっちりしているし、サリバが健在であればワトキンスとのロングボールはある程度やれるとは思う。だが、トーマスとエルネニーがいなければセカンドボールを拾えない事態はあり得そう。
よって、ラインを下げられたら跳ね返すたびにきっちりとラインを上げて陣形を押し込まれないようにするのが重要。長いボールに間延びせずに、コンパクトな陣形をキープできるかが跳ね返しのポイントだ。体力的にはきつい日程だが、ここは踏ん張りたいところである。