Fixture
プレミアリーグ 第1節
2022.8.5
クリスタル・パレス(昨季12位/11勝15分12敗/勝ち点48/得点50 失点46)
×
アーセナル(昨年5位/22勝3分13敗/勝ち点69/得点61 失点48)
@セルハースト・パーク
戦績
過去の対戦成績
過去10回の対戦でクリスタル・パレスの2勝、アーセナルの3勝、引き分けが5つ。
セルハースト・パークでの対戦成績
過去10戦でクリスタル・パレスの2勝、アーセナルの5勝、引き分けが3つ。
Head-to-head from BBC sport
スカッド情報
【Crystal Palace】
・ミカエル・オリーズ(足)、ジェームズ・マッカーサー(鼠蹊部)は欠場。
・ジェームス・トムキンスは筋肉系の負傷。ジャック・バトランドとサム・ジョンストンも欠場。
【Arsenal】
・鼠蹊部に問題を抱えているエミール・スミス・ロウは欠場の見込み。
・キーラン・ティアニー、冨安健洋、ファビオ・ヴィエイラは負傷から復帰でアルテタは「彼らの多くが起用可能」と述べた。
・ウィリアム・サリバにはアーセナルデビューの可能性。シティからやってきたオレクサンドル・ジンチェンコとガブリエル・ジェズスにもデビューの可能性がある。
Match facts from BBC sport
【Crystal Palace】
【Arsenal】
予想スタメン
展望
■乱数を与えてくれた中盤の穴をいかに埋めるか
アーセナルの開幕戦の相手となったのはクリスタル・パレス。昨シーズン、リーグ戦で勝てなかった難敵である。特にセルハースト・パークでの激突となった後半戦はよく覚えている人も多いだろう。21-22のアーセナルの後期3連敗の1敗目となってしまったあの一戦ではコンディション差が歴然。はっきり言って歯が立たなかったことをよく覚えている。
その何とも情けない記憶を刻んでしまった舞台が今年の開幕戦のスタジアム。そして、この試合が今季のプレミアリーグのオープニングマッチである。
今季のクリスタル・パレスは真ん中よりも後方を中心に堅実な補強を行っている印象だ。昨年はグエーイとアンデルセンという今やパレスの顔に成長したCBコンビを手に入れたが、今年も期待できる選手を獲得しているといっていいだろう。
目玉となるのはアンカーに入るドゥクレだ。アーセナルともリンクされたランスのMFはリーグアンでは多くのインターセプトを記録するフィルタータイプの選手である。クヤテ、ヒューズ、ミリボイェヴィッチと1年を通してイマイチ安定しなかったパレスの中盤事情にぴったりな選手といえるだろう。
柱としての活躍が期待される選手で、すでにプレシーズンでもデビュー済み。コンディションに問題がなければ、開幕戦はスタメンで出てくるはずである。
バックラインにはバイエルンからクリス・リチャーズを獲得。昨季ローンで所属していたホッフェンハイムでは3バックの左CBを主戦場としていたよう。まだ起用法は見えないが、今季もメガクラブから引き取った逸材を開花させられればヴィエラのブリーダーとしての評価も高まることだろう。
GKにはすでにプレミアファンにはおなじみのジョンストンを補強。グアイタと正GKを争う選手が入団したことになる。
前線はそもそもタレント揃い。目立った退団選手もなし。補強の必要性は低く見送られた印象だ。問題となるのは中盤。チェルシーからのレンタルでやってきたギャラガーの穴である。この穴が埋まるかどうかが序盤戦のポイントになるはずだ。
昨季のパレスの基本的なフォーメーションは4-3-3もしくは4-2-3-1で、保持においてはこれが3-2-5に変化する。大外とハーフスペースを併用したサイド攻撃が彼らの特徴である。アーセナルとしてはサイドを圧縮するように守るのはあまり得意ではないので、今季も彼らが同じ形で来るのであれば、パレスのサイドの連携は要警戒。特にハーフスペースに走り込む選手をどのように塞ぐかは気にする必要がある。
昨シーズンのパレスは非常にしっかりした型があったチームであった。だが、この3-2-5への変化はポジションバランスが良好な一方で、やや杓子定規で決め手に欠けることも多い。そうした中で組み立てからフィニッシュまであらゆるレイヤーに顏を出すことができるギャラガーは「乱数」として、チームにアクセントを与えることができる存在だった。プレーエリアが広く、ボールに関わりながらダイナミズムを与え続ける存在がいなくなった今、パレスは再びシステマティックゆえの凝り固まった状態に直面する可能性がある。
チームの形の中でプラスアルファを作っていた存在がいなくなったとすれば、新しい仕組みが望まれるのは自然なこと。昨シーズンは前評判を覆す、整理整頓されたサッカーを披露したヴィエラ。そんな彼の次の一手がどのようなものになるのかが、今季のクリスタル・パレスの注目ポイントになるだろう。
■スコアラーとして覚醒のチャンスがあるのならば
プレシーズンのアーセナルは絶好調。正直、自分はあまりプレシーズンに熱心なタイプではないのだが、勝手知ったるチェルシーに出来の差を見せつけて結果を出したり、セビージャ戦で見られたゴールのバリエーションの豊富さを見れば期待に胸が膨らむのも無理なないだろう。
アーセナルファンがこれほどわくわくした状態で開幕戦を迎えるのは非常に久しぶりのことのように思う。少なくとも近年ではあまり記憶にない。
今季のアーセナルが求められることを一言で言い表せば「型を発展させること」だろう。クリスタル・パレスほどではないにせよ、昨季のアーセナルもどちらかといえばシステマティックで型にはめながら誰がどこでプレーするのかを決めながらのサッカーをやっていた。
もちろん、それは悪いことではない。だが、今季のアーセナルはそれを発展させる段階に来ているといってもいいだろう。誰がどこを決めてボールを動かすだけでなく、味方がここにいるのならば、自分はここにいる。そうした全体のバランスを見た配置を全員ができるようになる。この選手だから外にいなきゃとか、そうしたことを少しずつ減らしていきたい。
加えて、より相手を動かすことも意識していきたいところ。自分が動けば相手がどこまでついてくるのか?そうしたことを試合の中で読み取りながら相手に穴を空けていく仕掛けを施していきたい。ポゼッション型のチームとしてボールをにぎりながら支配的なスタイルを志向するのならば、必須のスキルといってもいいだろう。自分たちの立ち位置を守るだけでなく、相手に揺さぶりをかけるフェーズに進んでいきたい。
どちらかといえば、均質的な形で変数を増やしていきたいと思っているのだけども、例外はある。それはストライカー。ジェズスは苦手なことも少なく、オールラウンダーであることは知っている。だが、スコアラーとして覚醒するのであれば、それを目指すに越したことはない。プレシーズンではすでに多くのゴールを決めている。ゴールにこだわるシーズンと位置付けるのも面白いだろう。9番の成否はシーズンの行方をにぎるのは明らか。ジェズスはゴール前に意識を強める形でシーズンに入ってほしいというのが個人的な願望だ。
上で述べたようにパレスは形を再び作り直す序盤戦になるだろう。アーセナルはその一歩先である、作った型から余白を生み出す段階に進みたい。目標をそこに置くのであれば難所のセルハースト・パークであれど、開幕から勝ちを追い求める試合になるはずだ。