4バックで受けるチャンスタイムを活かせず
ミッドウィークに試合があったのはルートン。トッテナムは3週連続で日程面でアドバンテージがある相手と対戦することになる。
ルートンはこれまでの試合において、前から出ていって捕まえるのはいい流れを作る最低条件。しかしながら、この試合では微妙にトッテナムのバックラインの枚数と噛み合わないせいか、前から捕まえることができない。
結果的にトッテナムはウドジェに専念していたブラウンの裏を取る形で余ったリシャルリソンから決定機を連打。しかし、このいずれも決めることができず、早々の先制点を逃す。中央を割ったポロもまたゴールを決め切ることができず、トッテナムにとっては嫌な流れである。
とはいえ、ルートンも自陣からのバックパスミスから不要なピンチを招くなど苦しい展開。良かったことをあえて挙げるとするならば、カミンスキーがやたらとセーブを繰り返すことでリズムに乗れたことくらいだろう。
20分になるとルートンはプレスの連動が噛み合い、中盤からのプレスでカウンターを打てるように。CKを得ることができれば、モリスとマディソンのミスマッチが使えそうなので、ルートンはCKさえ取れれば得点の機会があるという感じだった。事実、前半終了間際のネットを揺らしたシーンは可能性があることを具体的に立証したと言えるだろう。おそらくはアデバヨのファウルでゴールは認められなかった。
時間は前後するが、30分からトッテナムはバックラインの噛み合わせを回避しながら空いている選手から運ぶことを徹底。これにより、再びルートンのプレスは連動しなくなり、トッテナムは押し込めるように。
セットプレーさえ回避できれば怖いシーンもなく、再びワンサイド攻勢のリズムを掴んだトッテナム。再び試合を支配するかと思いきや、前半終了間際にシミュレーションでビスマが退場。まさかの誤算でハーフタイムを迎えることになった。
後半、トッテナムは4-3-2と4-4-1のハーフ&ハーフのような形で組んでいく。ルートンは右サイドからトッテナムの4バックを引き寄せつつ、ファーサイドに余る選手を生かしてチャンスを作っていく。アデバヨが逃したチャンスは前半にリシャルリソンが逃したそれと全く同じものだった。
そうした中でセットプレーから先制したトッテナム。CKからマディソンがニアで揺さぶり、ファン・デ・フェンの技ありゴールをエスコートする。
先行したトッテナムだが、特に組み方を変えるつもりはない様子。左のファーサイドでアタッカーが浮くという状況は変わらず、ダウディーがこちらのサイドからシュートやクロスを上げていくことでチャンスメイク。セットプレーも含めて彼の左足にかかる期待は大きかった。
トッテナムは75分の交代で5バックにシフト。これでサイドでできたギャップができなくなる。トッテナムがバックラインのメンバーを固めていくのにつれて、前のメンバーを増やしていくが、どうも前のメンバーの連携がうまくいかず、闇雲にロングボールを放り込んではロストする。
クルゼフスキを軸に右サイドからの前進にフォーカスしていたトッテナムの方が皮肉なところ。終盤に投入されたバークリーはこの辺りの交通整理を任せられたのだろうが、期待からは程遠い出来だった。
10人で苦しみながら守り切ったトッテナム。45分の数的不利を乗り越えて、10月の代表ウィークに無敗でたどり着くことに成功した。
ひとこと
ルートンはトッテナムが4バックでチャンスをくれた75分までの間に追いつくしか手はなかったように思う。そこから先はダイレクトプレーの精度を色濃く感じてしまう出来で、数的優位の強みを感じる場面はほぼなかった。
試合結果
2023.10.7
プレミアリーグ 第8節
ルートン・タウン 0-1 トッテナム
ケニルワース・ロード
【得点者】
TOT:52′ ファン・デ・フェン
主審:ジョン・ブルックス