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「Catch up Premier League」~Match week 9~ 2023.10.21-10.23

目次

リバプール【4位】×エバートン【16位】

二度試合を動かしたディアス

 低迷が続くエバートンだが、ここにきてスカッドが充実。内容的にも充実した勝利で前向きな形で臨むことができるマージーサイドダービーだ。

 直近の勢いをそのままにリバプールに襲い掛かるエバートン。ハイプレス+キャルバート=ルーウィンの掛け合わせはなかなかに暴力的であり、リバプールは面食らう立ち上がりだったといえるだろう。

 リバプールはアレクサンダー=アーノルドがインサイドに絞る3-2型のいつも変形でエバートンのプレスの基準をずらしにかかっていく。いつもと異なるグラフェンベルフの登用は3分のような細かい崩しに起用の意義を見ることができる。

 基本的には保持のリバプール、速攻のエバートンという構図なのだが、リバプールも速攻の破壊力には自信があるチーム。どちらかのチームが速攻のスイッチを押すと、試合はカウンターから一気にスピードアップしていく。

 リバプールの個人のターンスキルが重要となるポゼッションは間延びしやすいエバートン相手には相性がいいようにも思えたが、遅れそうなタイミングでも寄せ切るエバートンの圧力はなかなかのもの。ひっかけて危ないロストにつながるシーンもしばしばである。

 そんな中でリバプール視点一番勝負ができていたディアスのマッチアップから試合は動く。1on1の対応における2回の警告でエバートンは数的不利に追い込まれることとなる。

 しばらくはガーナーをSBにおいていく形でオープンな打ち合いを継続していたエバートンだが、ハーフタイムの交代で5-3-1に変更し、くっきりと守備色を前面に押し出す交代を敢行。リバプールに保持での解決を押し付けていく。

 リバプールはシンプルなミドルと対角目がけたアレクサンダー=アーノルドのクロスからチャンスを作っていく。さらにパワープレーのシフトとしてツィミカスに代えてヌニェスを投入し、前線のパワーを増していく。

 エバートンはオナナを起点にカウンターからワンチャンスを狙う。コナテのファウルは2枚目の警告を提示されても文句は言えないだろう。態度は違えど、カードなしの判定に文句を言い続けたダイチと黙ってコナテを下げたクロップのこのプレーに対する見解はそう遠くないのかもしれない。

 リバプールは徐々にWGから押し下げていく展開を増やしていく。ディアスとパターソンのマッチアップは一度目のタックルこそノーファウルで見逃されたが、二度目のハンドは見逃してもらえず。サラーのPKが重い扉をこじ開けて見せる。

 エバートンはダンジュマの投入から反撃を狙う。だがさすがにこの撃ち合いはリバプールが優勢。カウンターからシュートを浴びせ続けると、後半追加タイムにサラーが2点目を奪って試合は決着。奮闘したエバートンだが、ヤングの退場によるプラン変更が痛かった。

ひとこと

 11人×11人でどうなるのか。シンプルに行く末が気になっただけにヤングの退場はもったいなかった。

試合結果

2023.10.21
プレミアリーグ 第9節
リバプール 2-0 エバートン
アンフィールド
【得点者】
LIV:75′(PK) 90+7′ サラー
主審:クレイグ・ポーソン

ブレントフォード【15位】×バーンリー【18位】

後半は兆しが見えるもロバーツの退場で白旗

 立ち上がりにいきなりチャンスを掴んだのはブレントフォード。ムベウモのラインブレイクから決定機を迎えるが、これはオフサイド。さらにはセットプレーからファーに構えていたアイエルのアクロバティックでネットを揺らすがこちらもオフサイド。ムベウモを中心にチャンスを作っていくが、先制点を決めきれない。

 一方のバーンリーはいつのように後方から人数をかけたビルドアップを敢行。しかしながら、なかなか後ろの重たさが取りきれず。前線の負荷は相変わらずで前節に引き続き抜擢されたオドベールがなんとか時間を作ろうとしていた姿が印象的だった。

 右サイドから抜け出すフォスターの加速からトレゾールが決定機を迎えるなど、少しずつ前線の噛み合わせは良くなっている感じはするバーンリー。2トップの連携もほんのり良くなっており、この日はベンチだったコレオジョがいなくともチャンスを作れる予感はするように。しかしながら、前線に運んでそうした好機を迎えること自体が少なく押し込まれてしまう展開が続く。

 押し込むブレントフォードは左右のクロスから空中戦を軸に決定機を作り続ける。トラフォードは大忙しの展開だ。アシストを最終的に決めたのは右サイドでチャンスメーカーに徹していたムベウモ。ウィサの動き出しに合わせる技ありのクロスからようやくゴールをこじ開ける。

 その直後もブレントフォードはウィサとのプレスの連携からモペイが決定機を迎えるが、これはゴールラインの手前でクリア。追加点こそ逃すが引き続きペースを握っていたのはブレントフォードの方だった。

 だが、後半はバーンリーが勝負に打って出る。左サイドに交代で入ったコレオジョを軸に攻め立てていく。53分手前にはトラフォードから相手のプレスの裏をかくような奥につけるフィードが見られるなど、ビルドアップの可能性も感じる場面もあった。

 ブレントフォードは前線に起点を作れずに苦戦。ペースとしてはバーンリーが主導権を握った後半と言えるだろう。しかし、そんな展開を覆したのはまたしてもムベウモ。右足で相手を黙らせる一撃をお見舞いし、2点のリードを奪う。

 前線を交代してからはカウンターから反撃の気配も見えたバーンリー。だが、ロバーツの退場で万事休す。ラーセンのインアウトでCB投入をしたコンパニは完全に白旗を上げた状態だろう。

 ブレントフォードは逃げるバーンリーの背中を刺すようにゴドスが3点目をゲット。トドメの一撃を決めて3点差をつけての完勝だった。

ひとこと

 もちろん、バーンリーはしんどいはしんどいんだけど前線の連携の向上とかトラフォードのパントとかほんのり良化のニオイはした気がする。

試合結果

2023.10.21
プレミアリーグ 第9節
ブレントフォード 3-0 バーンリー
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:25′ ウィサ, 62′ ムベウモ, 87′ ゴドス
主審:ジョシュ・スミス

ボーンマス【19位】×ウォルバーハンプトン【14位】

同点劇以降はホームチームに見せ場なし

 なんとか初勝利を挙げて未勝利組を脱出したいボーンマス。この試合では昨季の持ち味を思い出したかのようにパスワークから積極的にピッチを横断するような形を披露する。横断した先に待っているのはWG。出口となったタヴァニアの仕掛けからボーンマスはゴールに迫っていく。

 一方のウルブスも右サイドを軸に攻撃を設計。ドハーティの空中戦を軸としてサイドに起点を作り、ネトで勝負をかける。正直、そこまでサポートができている状態ではないのだが、今のネトにはやり切ってしまうクオリティがある。バックラインからシンプルにドハーティを狙えばそれなりにチャンスができる状態だったし、ここの空中戦に競り負けてしまうとボーンマスはズルズルとラインを下がってしまう状況だった。

 右サイドを軸としたWG勝負の様相を呈していたこの一戦。結果を出したのはボーンマス。右のハーフスペースを抜けたビリングから折り返したクロスをソランケが技ありのゴールで沈めてゴール。ニアに抜けるタヴァニアがいい囮となっており、チームでの崩しと個人技が組み合わさった素晴らしいゴールと言えるだろう。

 失点後もエンジンがかからないウルブス。ボーンマスは引き続き右サイドを軸とした崩しを徹底し主導権を握り続けた前半だった。

 しかし、後半はウルブスが反撃に打って出る。前半のウルブスの攻撃において右のサイドを使った攻撃以外に効いていたのは、ボールサイドと逆側のCHの背後を取る形。後半早々にウルブスはこのエリアを制圧したスピードアップ。あっさりとクーニャが仕留めて試合を振り出しに戻す。

 相手にペースが流れていき焦りが見えるボーンマス。あまりにも愚かなファン・ヒチャンへの頭突きをかましたクックが退場で10人になると、ここから勢いは完全にウルブス側に。

 後方の選手を削り、前線にはアタッカーを揃えるウルブス。撤退型の守備を組むボーンマスに対して、カライジッチのような高さのあるアタッカーを並べて得点を狙う。

 しかし、ウルブスが見つけた解決策は高さではない。自陣から始めたビルドアップをカライジッチがプレスで仕留める。ビリングからボールを奪うと、ファン・ヒチャンの連携で抜け出してなんとか88分に勝ち越しゴールをゲットする。

 いい入りではあったが相手にペースが流れて以降は勝ててないチームらしい脆さを見せたボーンマス。未勝利は今節も継続。オニールは自らを解任した古巣に勝利を挙げることとなった。 

ひとこと

 悪くないチームが結果に引っ張られる沼に少しずつボーンマスが引っ張られている感じがする。

試合結果

2023.10.21
プレミアリーグ 第9節
ボーンマス 1-2 ウォルバーハンプトン
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:17′ ソランケ
WOL:47′ クーニャ, 88′ カライジッチ
主審:ポール・ティアニー

ノッティンガム・フォレスト【13位】×ルートン・タウン【17位】

元スパーズ勢に明暗くっきりの追撃弾

 下位が離れている今季のプレミアリーグ。フォレストとしては年間通して残留争いに巻き込まれずに過ごしたいところである。そのためにはきっちりとルートンを叩きたいところだろう。

 アウェイに乗り込んだルートンは4-4-2で積極的なダイレクトな前線への放り込みを敢行。強気で前線にボールをつけていく。

 2トップはそれなりに収まる状態。高さ的にミスマッチがあるムリージョにとっては難しい展開となった。ファウルを稼ぎながら少しずつチャンスを作っているルートンの立ち上がりであった。

 一方のフォレストのボール保持は自陣の深い位置からのビルドアップ。高さによるミスマッチに苦しんだムリージョだが、こちらに関しては得意分野。ルートンのアンカーを受け渡しながら対抗する守備に対して、自分がオープンになったら容赦なく前に運びながら相手のズレをついていく。ズレをついていくのはギブス=ホワイト。右からインサイドに絞る動きで縦パスを引き出していく。

 ムリージョのボール運び以外にもフォレストはファストブレイクからのチャンスメイクを敢行。ルートンの放り込みが完結しなかった流れをひっくり返す形で手早く反撃をしていく。先発に抜擢されたエランガにとってはまるで終盤のようなオープンな展開は助かる流れだったはず。ファストブレイクでは左サイドが主役となった。

 どちらもゴールを決められなかった前半だったが、後半早々に試合は動く。カウンターから見事なゴールを生み出したのはフォレスト。サンガレ、ウッド、エランガとつなぎ最後はウッド。流れるようなカウンターを作り出したのは前半に苦戦したムリージョのロングボール処理からというのも趣深い。

 先制後も手数をかけた攻撃で勝負をかけるフォレスト。反撃の勢いを失いつつあったルートンをほぼ自陣で釘付けにして、押し込んでいく。左サイドからのクロスに合わせて追加点を決めたのはまたしてもウッド。2点のリードを奪う。

 盤石と思われたフォレスト。余裕を見せた交代がやや停滞を生んでいたのはやや気掛かりだが、2点のリードがあれば心配はないように見えた。

 だが、ルートンはセットプレーから追撃弾をゲット。タウンゼントの左足のボールは明らかにショートだったが、ニアにいたオーリエが処理を誤り失点に直結。元スパーズの両者に名案が分かれる結果となった。

 この失点でやたらとバタつくようになったフォレストのバックライン。ボリーに代わってバックラインに入ったワローもバタバタ。ロングボールでアデバヨに競り負けてしまい、後半追加タイムに同点ゴールを許してしまう。

 ウッドはその後にこの日3回目のネットを揺らすがこれはオフサイド。ヒーローにはなれず、ルートンに2点のリードを溶かされてしまう結末となった。

ひとこと

 いや、もったいないな!!とはいえ、ミスはきっちり咎めてくるあたりがプレミアリーグの厳しさ。

試合結果

2023.10.21
プレミアリーグ 第9節
ノッティンガム・フォレスト 2-2 ルートン・タウン
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:48′ 76′ ウッド
LUT:83′ オグベネ, 90+2′ アデバヨ
主審:サム・バロット

マンチェスター・シティ【3位】×ブライトン【6位】

らしさが復活した三笘が追撃弾を演出するが・・・

 ロドリを欠いた国内の試合では3連敗。停滞したリーグ戦の原因となったロドリはこの試合から復帰となる。

 互いにマンツー気味に前がかりのプレスを仕掛けてくる両チーム。ブライトンも後方でハーランドに余らせて対応するのではなく、高い位置から相手を捕まえにいく。

 というわけで保持側がズレをいかに作れるか?という勝負になっていくこの試合。先に動いたのはシティだった。右サイドの高い位置をとるストーンズに誰がついていくのか?という命題を突きつけつつ、ドリブラーは対面の相手を剥がしては味方に時間を配る作業をせっせと行う。

 ドリブラーとして初めて味方に時間を配っていたのはこの試合ではフォーデンだが、頻度で言えば最も多かったのは左のドクだろう。初手で見る限り、対面のミルナーとはアジリティの部分ではミスマッチ。明らかにシティはアドバンテージが取れるマッチアップである。

 ブライトンはドリブラーに対しては近い位置にいるフォロー役が積極的に捕まえにいく。そのため、マンツー基準のような形ながら受け渡しの頻度がブライトンは徐々に多くなっていく。

 ドクが導き出した先制点も受け渡しから。ミルナーからマークを引き取ったグロスがドクに振り切られると、インサイドでグロスが埋めているはずの位置に入り込んだアルバレスがフリーでシュート。7分でシティが先制する。

 左はドク、右はストーンズという両サイドのズレからブライトンを追い込んでいくシティ。一方ブライトンはこのズレのポイント探しに苦戦。中央のCFへのポストを狙ったパスから左の三笘に展開するトライは見えるが、同サイドのフォロー役のエストゥピニャンの不在はこのような前に人数をいかに早く揃えられるか?という展開では非常に痛い。結局のところ、三笘が2人も3人もマークを請け負うことになり、ブライトンは活路を見出せない。

 むしろ、ブライトンは左のイゴールのところのプレスをシティに狙い撃ちされるように。ベルナルド、ロドリなどがマンツーの領域を超えて同サイドにプレスのヘルプに出ていくこともあり、こちらのサイドからのボール奪取を積極的に狙っていた。

 ブライトンはシティの圧力に屈して、左サイドのパス回しからハーランドにカウンターを沈められて失点。バレバがババを引いて地雷ポゼッションのトリを務めることに。

 ストーンズやロドリからの大きな展開で山ほどチャンスを作られていたドクにはアディングラをぶつけることでなんとか手当。だが、反撃のきっかけを見つけることができないままブライトンは2点のビハインドでハーフタイムを迎える。

 後半、ブライトンはハイプレスからテンポを奪いにいく。だが、シティはオルテガを使いながらの横へのパスワークを積極的に使いながらプレスを回避。

 しかし、ブライトンに攻め手がないわけではない。オルテガがインサイドに差してくるパスは前半同様引っ掛けることはできていたし、自陣からのパスワークも縦の関係性の構築を整備しながら、敵陣に迫る形を作る。

 前線では三笘の裏抜けが冴え渡るシーンも。降りるCFを囮に使った裏抜けは今季あまり見られなかったので個人的には少し安心した。

 やや気押されるシーンもあったシティだが、60分前後から少しずつ試合を掌握。再び押し込むシーンを作っていく。この日のシティのハイプレスには試合を引き戻すクオリティが十分にあった。ドクを中心に攻め立てるが、ブライトンは後半にフェルトマンを投入したことで問題なく対応できる状態に修正が完了していた。

 そんな中ブライトンはピンチをひっくり返す形で追撃弾をゲット。スティールの飛び出しての対応に対して、アルバレスが直接ゴールを狙うが、これを防いだダンクがそのまま繋いでカウンターの起点に。サイドでボールを引き取った三笘がウォーカーをおいていき、最後はファティが決めて1点差に迫る。

 シティはすかさずディアスを投入して最終ラインを固める。アカンジの退場にもアケが出てくるなど盤石のバックラインでブライトンの攻撃を迎え撃つ。ブライトンはマーチを怪我で失いながらも最後まで追い縋るが、ゴールを再び破ることはできず。シティが前半のアドバンテージを生かした逃げ切りで連敗ストップに成功した。

ひとこと

 マーチが1日でも早くピッチに戻って来れるように。

試合結果

2023.10.21
プレミアリーグ 第9節
マンチェスター・シティ 2-1 ブライトン
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:7′ アルバレス, 19′ ハーランド
BHA:73′ ファティ
主審:ロベルト・ジョーンズ

ニューカッスル【8位】×クリスタル・パレス【9位】

再三の右サイド攻めで大量得点に

 おそらく堅い展開になるのではないか?という戦前の想定は4分の先制ゴールで崩壊。ハイラインでペースを握ったニューカッスルが右サイドから華麗な連携で先制。大外のトリッピアーのダイレクトパスにマーフィーがハーフスペースに突撃する形で得点を決める。

 この右サイドの攻撃は得点後もガンガン。IHのロングスタッフも含めた右サイドの3人の関係性でパレスに優位を作っていく。逆にパレスはこの三角形の関係性に対してなかなか解決策を見つけることができなかった。この辺りは守備的SHとしてはプレミア最高峰のシュラップを欠いた影響とも言えるだろう。

 ニューカッスルは得点以降も高い位置からプレスを仕掛けてくる積極策。パレスは繋ぐアクションを続けながらポゼッションで抵抗策をとっていく。しかしながらミドルゾーン以降の加速が鈍く、なかなか敵陣に入っていくことができない。

 ボール保持でも非保持でも主導権を握るニューカッスル。右サイドから追加点をゲット。マーフィーからゴードンにボールをつなぎリードを広げる。パレスは完全に後手に回ってしまい、さらには直後に3失点目を喫してしまうことに。前半のうちにほぼ勝負を決めてしまった。

 後半もニューカッスルは変わらずに保持で試合を支配。パレスも前線の裏に絞りながらWGが走り込むシーンを作るなど少しずつ変化をつけて行ったり、あるいはヒューズがプレッシングで前列に移動したりなど積極策には出ていく。

 保持で少しずつ押し込む時間を作っていくパレス。シュートチャンスも作っているのだが、立ちはだかったのはポープ。セービングでパレスの壁となり、攻撃をシャットアウトする。

 押し込まれてしまうニューカッスルはカウンターを主戦場に反撃を出ていく。右サイドから裏を取る形からウィルソンに決定機が訪れるなどチャンスが出てくる。

 カウンターに活路を見出したニューカッスルが4点目をゲットしたのは66分。これで完全に試合は決着するととなった。

 堅い試合との前評判を覆したワンサイドゲームでの大量得点。ニューカッスルにとっては地力の強さを見せる一戦となった。

ひとこと

 いないと感じるシュラップの大きさ。

試合結果

2023.10.21
プレミアリーグ 第9節
ニューカッスル 4-0 クリスタル・パレス
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:4′ マーフィー, 44′ ゴードン, 45+2′ ロングスタッフ, 66′ ウィルソン
主審:ティム・ロビンソン

チェルシー【11位】×アーセナル【2位】

少ないチャンスを仕留めたアーセナルが1ポイントを掬い取る

 レビューはこちら。

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 立ち上がりの両チームの振る舞いはここまでのチーム状況は真逆。流れがよく入れたのは下位に沈むチェルシーで苦しんだのはアーセナルだった。

 もっとも、アーセナルからすれば重馬場のピッチコンディションは言い訳にはなるだろう。簡単にボールが止まるピッチに置いては普段のアーセナルの組み立てで見せるような小気味のいいパスワークは見せることはできない。

 チェルシーはそうした状況を利用しつつ、バックラインに対してプレスの駆け引きを敢行。中盤を幽閉しつつ、無理に出ていかずに陣形のズレを作らないチェルシーの守り方にアーセナルは苦戦。強引にWGにボールを預けた結果、サカとマルティネッリの負荷が高まる展開となった。

 特にサカとマッチアップしたククレジャは出色の出来といえるだろう。正対はもちろん、横ドリブルすらできないくらいの圧でサカの選択肢を削り取ったククレジャは前半におけるチェルシーのMVPの1人だ。

 アーセナルの攻め手を封じることに成功したチェルシーはカウンターを軸にスピードアップしてゴールに迫る。特に大外のムドリクの背負うスキルを中心に設計されていたドリブラーを生かす形は秀逸。スピードに乗ったギャラガーを相手にジョルジーニョが後手に回るシーンがちらほらみられるようになった。

 ボックス内までその勢いを維持することに成功したチェルシーはサリバに先んじてクロスに飛び込んだムドリクがハンドを誘発してPKを獲得。これをパルマーが沈めてチェルシーが先制する。

 追いかけるアーセナルは後半、ジンチェンコ→冨安の交代を敢行。広い範囲を守れる冨安を中央に置き、ジョルジーニョを右サイドに出張させる形からチャンスを作っていく。

 しかし、このテコ入れした右サイドからカウンターを決める形でチェルシーは追加点をゲット。ラヤの癖を盗んだというムドリクのクロス性のボールはそのままゴールに収まり、チェルシーはリードを広げる。

 苦しくなったアーセナルだが、少しずつサイドの深い位置に入り込む攻撃は機能するように。カウンターからチェルシーが3点目を仕留められなかったことや、トップにジャクソンが入ってもなおアバウトな方向性にシフトチェンジしなかったことはアーセナルにとっては幸運だろう。

 繋ぎにこだわったチェルシーはパスミスから失点。サンチェスのパスミスを拾ったライスは距離があるところから無人のゴールに狙いすましたシュートを打ち込んで見せた。

 勢いに乗りたいアーセナルだが、交代で前線に入ったエンケティアとスミス・ロウがプレッシングで機能せずにブレーキに。それでも少ない機会を狙いすましたようにものにしたのがサカとトロサール。WGtoWGのクロスからの決定機を見事に仕留めて試合を振り出しに戻す。

 逃げ切り体制に入ったチェルシーと交代選手の活性化がうまくいかないアーセナルにそれ以降は得点を動かす力はなし。ロンドンの両雄の対戦は痛み分けで幕を閉じた。

ひとこと

 地獄の連戦が開幕したチェルシー。この内容のまま走り抜けられれば今の順位よりも高い位置に目標を設定する現実味が出てくる感じもする。

試合結果

2023.10.21
プレミアリーグ 第9節
チェルシー 2-2 アーセナル
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:15′(PK) パルマー, 48′ ムドリク
ARS:77′ ライス, 84′ トロサール
主審:クリス・カバナフ

シェフィールド・ユナイテッド【20位】×マンチェスター・ユナイテッド【10位】

マクトミネイがまたしても暴れた前半

 なかなか浮上のきっかけを掴めないブレイズ。今節の相手はこちらもなかなか浮上のきっかけを掴むことができないマン・ユナイテッドだ。

 流れとしては当然マン・ユナイテッドがボールを持つことが想定されている試合。しかしながら実際はあまりマン・ユナイテッドは立ち上がりから試合を支配できなかった。ブレイズはバックラインにプレスをかけにいかない代わりに、アンカー役のアムラバトを幽閉。外循環のボール回しを突きつける。

 マン・ユナイテッドはアントニーにとりあえずボールを預ける形からチャンスを作っていきたいところ。だが、なかなかこの右サイドからの定点攻撃が成立せずに苦戦する。

 さらにはブレイズの前進に対しての対応もマン・ユナイテッドは不十分だった。おりてボールを受けにいくブレイズのアクションに対してマン・ユナイテッドはほぼノーリアクション。つまり、ブレイズはラインを降りればフリーになる選手を簡単に作ることができる状況。特にアーチャーとマクバーニーは縦関係を作りつつ、後方からボールを引き出すことができていた。

 そのためボールを持つことができていたのはブレイズの方。アムラバトの周辺がガラ空きなことに気づいたマン・ユナイテッドはだんだんと降りる選手を追いかけるようになるが、出ていっても入れ替わられてしまうなど流れを変えることができない。

 苦しい状況を救ったのは前節と同じくマクトミネイ。ボックス内でのダイナミックなシュートから先制点を導いてみせた。

 しかし、同じく失点に絡んでしまったのもマクトミネイ。右サイドからのクロス対応でハンドを取られてしまいPKを献上。これをマクバーニーが決めて試合は振り出しに戻る。

 この得点以降はマン・ユナイテッドがペースを握る。右サイドからのクロスを逆サイドの大外で待ち構えていたラッシュフォードが折り返すなど、今度は5バックで守っているはずのブレイズが怪しい場面が見えるようになっていく。

 迎えた後半、ブレイズは好調のマクバーニーが早々に負傷交代。暗雲が立ち込める。自陣からのビルドアップミスも多く、徐々にマン・ユナイテッドにチャンスを与えるようになっていく。

 両サイドを中心に積極的にせめていくマン・ユナイテッド。延々とボールを持つ時間が続いている中でブロック守備の攻略の解決策になったのはダロトのミドル。豪快な一撃でブレイズの守備を破壊する。

 これ以降は流れを取り返したいブレイズの間延びが目立つ展開に。こうなってしまうとマン・ユナイテッドがさらにチャンスを掴むことに。ガルナチョにとってはカウンターから結果を出したかったところだろう。

 結局、これ以降にスコアは動かず2-1で試合は決着。後半にペースを握ったマン・ユナイテッドが押し切りに成功し、勝ち点3を手にした。

ひとこと

 いい流れの時間でリードを奪っていたかっただけにやはりマクトミネイの先制点は大きかった気がする。

試合結果

2023.10.21
プレミアリーグ 第9節
シェフィールド・ユナイテッド 1-2 マンチェスター・ユナイテッド
ブラモール・レーン
【得点者】
SHU:34’(PK) マクバーニー
Man Utd:28‘ マクトミネイ, 77′ ダロト
主審:マイケル・オリバー

アストンビラ【5位】×ウェストハム【7位】

交代で宙に浮いた流れをワトキンスが引き戻す

 共にホームのユニフォームはえんじ色。トップハーフで上位勢に食い下がる実力派の両チームによる一戦だ。

 試合は保持のビラ、非保持のウェストハムという構図。先制攻撃を仕掛けたのはカウンターを軸とするウェストハム。右に流れるアントニオがパウ・トーレスを狙い撃ちしながらロングボールを引き出していく。サイドに流れると遅れて入ってくるソーチェクなどターゲットを目がけてクロスを入れていく。

 保持の時間が長いビラは落ち着きながら反撃に出る。カマラが右のDFラインに落ちるアクションとマッギンが中央に絞る変形から3-2-5でウェストハム相手にギャップを作っていく。

 ライン間でフリーの選手が作れればミドルゾーンから一気に加速していくアストンビラ。この点に関してのワトキンスとディアビの貢献度の高さは異常。特にボールを引き出すところからフィニッシュまで運び続けるディアビの存在はアストンビラにとっては厄介だっただろう。

 先制点もこの2人で押し下げる形からルイスのミドルで先制。ウェストハムはパケタがマークを外してしまったのが痛恨。アレオラは直前のシーンはセーブでルイスのミドルを止めて見せたが、2回目は同じようにはいかなかった。

 先行されたウェストハムだが、ボールの奪いどころが見つからずに苦戦。前にふらふらと出ていっては大外のSBに押し下げられるか、ワトキンスとディアビに強襲されるかのどちらかである。

 40分からようやくカウンターで主導権を握ることができたウェストハムだったが、ここも得点には結びつけられず。ビハインドで後半を迎えることとなった。

 後半もアストンビラが大外のSBから押し下げていくスタート。落ち着いた保持の中でビラに追加点が入る。パケタの自陣での安易なパスミスからウェストハムはPKを献上。これをルイスが仕留めて、さらにリードを広げていく。

 ウェストハムはボーウェンが何もにおいがしないところからのミドルで追撃弾をゲット。苦しい状況から流れをフラットに引き戻す。アストンビラはしばらく前に起点を作れない悪い流れをすごすこととなる。

 そうした中で命運を分けたのがウェストハムの交代の采配。クドゥスを入れたいのもわかるし、ほかの選手も代えにくいのはわかる。だが、クロス主体の攻撃が続く中で高さのあるソーチェクを削ってしまったのは結果的に裏目に出たと言えるだろう。これ以降、ウェストハムのクロス攻勢には陰りが出るように。

 ウェストハムがまごついているうちに強引に流れを引き戻したのがワトキンス。カウンターで角度のないところからニア天井を逆足でぶち抜く豪快なゴールで一気に主導権を引き込んでいく。

 このゴールは完全にウェストハムの心を折ることに。覇気のないウェストハム相手にアストンビラがさらにもう1点を追加する形で試合は決着。前半にチームを牽引したエースが後半にも大仕事を果たし、大きな勝ち点3を手にした。

ひとこと

 ソーチェク代えるならパケタだったかもなぁ。

試合結果

2023.10.22
プレミアリーグ 第9節
アストンビラ 4-1 ウェストハム
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:30′ 52′(PK) ルイス, 74′ ワトキンス, 89′ ベイリー
WHU:56′ ボーウェン
主審:デビッド・クート

トッテナム【1位】×フラム【12位】

悪夢を2回見たバッシー

 ともに白を基調する両チームによるロンドンダービー。ボールを持つターンになったのはホームのトッテナム。非保持に回ったフラムはトップの守備の基準をCHに置くなどある程度相手にボールを持たせる選択をした印象はある。

 立ち上がりのトッテナムで目立っていた保持のユニットは右サイド。止まることができるクルゼフスキがタメを作り、その隙にオーバーラップでポロが強襲を仕掛けていく形は有効。あわやPKと思しきシーンを作るなど、序盤から効いていた形である。

 逆に言えば、フラムはこの同サイドの縦関係を生かした形にトッテナムの保持のスキームを集約した感がある。2トップの脇から同サイドを縦に進んでいく形は許すが、インサイドにパスを差し込ませることは回避。この辺りはインサイドを固めたフラムの守備のプランが効いている部分だろう。

 トッテナムは保持でWGが時間を作ることができればチャンスができる状況。クルゼフスキがいる右サイドの方が有効打を打つことができていたのはリシャルリソンに比べてこの展開で求められるスキルがマッチしていたことが大きいだろう。

 フラムは堅い守備からセットプレーでチャンスを迎える。だが、パリーニャのヘッドはヴィカーリオがセーブ。同じノースロンドンのチームを打ち砕いた一撃をシャットアウトし流れを渡さない。

 危うい場面を凌いだトッテナムはプレッシングから先制点をゲット。ハイプレスからバッシーのパスミスを誘発し、ソンが仕留めて前半のうちに試合を動かす。以降もボール保持からサイドを抉りチャンスを作り出すトッテナムが優勢な展開が続く。

 後半も左サイドを深く侵入するトッテナムからスタート。ウドジェのオーバーラップが徐々に生きてきたように少しずつリシャルリソンはタメを作る役割に慣れてきた感がある。

 トッテナムの2トップはリードを得たこともあり、引く時間を作りながらスイッチを入れつつメリハリをつけたプレスを展開する。この辺りの手綱の引き締め方は見事。緩急をつけたプレスの餌食になったのはまたしてもバッシー。インサイドへの差し込みが失点に繋がってしまったのはこの日2回目である。

 前プレスを強めて反撃に出ていきたいフラムだが、保持に回ったトッテナムはプレス回避を落ち着いて実施。後方のパスワーク、そしてトップ下のマディソンでポゼッションをあっさりと落ち着かせてみせた。

 トッテナムが前線のメンバーを3枚入れ替えて控え組が出てきた後は流石に同じようにはいかず、フラムに攻め込まれるような場面は増えた。しかし、そこは織り込み済みだろう。勝ちと彼らのプレータイム確保を両立できればその時点で万々歳だろう。

 トッテナムは今節もしたたかに勝ち点3を確保。勝ち点で2位以下に差をつける単独首位に立つこととなった。

ひとこと

 ヴィカーリオがパリーニャのシュートを止めた時点でフラムの勝ち筋はだいぶ無くなった感があった。それくらいしか突破口がなかった感じ。

試合結果

2023.10.23
プレミアリーグ 第9節
トッテナム 2-0 フラム
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:36′ ソン, 54′ マディソン
主審:アンソニー・テイラー

今節のベストイレブン

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