MENU
カテゴリー

「Catch up AFC Champions League」~2023.11.28 グループI 第5節 川崎フロンターレ×ジョホール・ダルル・タクジム ハイライトレビュー

目次

右サイドを軸に圧巻のゴールショーで首位通過を決める

 悲願のグループステージ突破確定まではあと1ポイント。川崎は今季の等々力ラストゲームで来季のノックアウトラウンドの出場権を何としても確保しなくてはならない。

 立ち上がりの川崎はロングキックからの様子見。ジョホールの中盤のマークがタイトであることと、前線のダミアンへの長いボールは鹿島戦よりも明らかに使えそうであることを確認してのスタートとなった。

 基本的には川崎がボールを持つ流れであるが、余計なパスミスで流れを止めてしまうことが多かった立ち上がりだった。ジョホールの2列目は献身的なプレスでの挟み込みを行っており、こうしたパスミスはジョホールの攻撃に繋がる。ただ、またジョホールもそのカウンターにおいては細かいミスで流れを掴み切れないのだが。

 ジョホールからプレッシャーのかからないCBからボールを持つ時間が増えてくる川崎。この日の川崎のCB陣は自身にマークが付いていないことがわかると積極的に持ち上がることを心がけていた。8分に生まれた家長の先制ゴールはまさしくこの意識が起点となったもの。右サイドでボールを持った大南が山根とのワンツーでエリアに侵入し、ファーサイドへのラストパスを決めてみせた。

 得点後はゆったりとボールを持つ川崎。15分になると徐々にCBにボールを持たれることを嫌がったフォレスティエリが大南にプレッシャーをかけるようになる。だが、彼のプレスの強度はチーム内に共有されておらず。川崎はパスワークでこれをいなした結果、フォレスティエリの裏をとった山根のオーバーラップがさらに刺さる展開になる。

 ジョホールはボールを持つとGKを活用しながら横に揺さぶりつつ隙を窺っていく流れ。家長の背後につけるパスをたまに送ることもできていたが、川崎のCHはその度に決死のスライドで同サイドからの脱出を許さない。そもそもWGはSBをケアする頻度が高かったので、頭を越されるということにもマルシーニョと家長は注意を払っていた。

 ボールをつけても中盤が外に追いやるようにしてジョホールにチャンスを作らせない川崎。ヘベレチの右サイドに流れてからの一連とポストプレーの落としから放ったベルグソンのミドルの2つが明確なジョホールのチャンスと言える前半だった。30分からはボールを持つ時間が増えるジョホールだったが、大南の警告を引き出した以外は大きい収穫は得られなかった。

 40分を過ぎると川崎は反撃。主役となったのは左右のWGである。左のマルシーニョは突破、右の家長は裏抜けから決定的なチャンスを作る。前半終了間際のマルシーニョの裏抜けがチャンスとしては最もクリティカルだっただろうか。それでもいずれのチャンスも川崎は決めることができず、前半は1点のリードで止まりハーフタイムを迎える。

 後半、リードしている川崎は厳しいマンツーをベースにジョホールのポゼッションを阻害するスタート。敵陣でのプレータイムを多く過ごす立ち上がりとなる。

 崩しのキーになったのは右サイド。立ち上がりの山根の侵入を皮切りに後半は数え切れないほどのチャンスを作りだす。大外に広げる→横パスを折り返す→縦パスを差し込むというメガニズムが非常に効果的。特に縦パスの受け手が裏抜けする場合、横パスを挟んで相手のバックラインの足を止めることで裏抜けの効果をより引き出していた。幅をきっちりとり、相手の足を止めて、縦パスのコースを作って抜け出すアクションを作る。パスが通るのにはそれなりに理由があるのだ。

 この右サイドの崩しをベースに後半の川崎は得点を量産。家長→ダミアンの2点目を皮切りに右サイドを重点的に攻めながら得点を重ねていく。3点目を決めたのはファーサイドのマルシーニョ。山根の綺麗なクロスかららしくないヘッドでネットを揺らす。

 選手を大幅に入れ替えても川崎の勢いは止まらない。4点目はらしいゴール。遠野のクロスをヘディングで押し込めず、ジャンピングボレーを決める小林。アシストを消された遠野以外は全員ハッピーなゴールでさらに突き放す。

 仕上げの5点目はこの日の中でも屈指の美しいゴール。相変わらず右サイドで深さを作ると、その深さをシミッチの縦パスで活用。宮代のダイナミックな落としから山根がこちらも豪快なミドルを決めてゴールショーのトリを飾る。

 1ポイント確保というミッションを右サイドを軸としたゴールショーで大幅に上回って達成した川崎。5連勝で見事昨年のリベンジを果たす首位通過を決めてみせた。

ひとこと

 いうことなし。立ち上がりから状況に応じた仕掛けができていたし、今のチームでもっともムラがあるCBからの持ち上がりを活用した保持からの崩しでこじ開けたというのも大きい。崩しにいくところときっちり休むところの両面を後方からのボール保持で使い分けることができたことはチームとしての自信につながるだろう。

試合結果

2023.11.28
AFC Champions League
グループI 第5節
川崎フロンターレ 5-0 ジョホール・ダルル・タクジム
等々力陸上競技場
【得点者】
川崎:8‘ 家長昭博, 50′ レアンドロ・ダミアン, 60′ マルシーニョ, 69′ 小林悠, 88′ 山根視来
主審:モハメド・アブドゥル・ハッサン

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次