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「Catch up E-1 Football Champion Ship」~2022.7.19-7.27 E-1フットボールチャンピオンシップ ハイライト

目次

招集メンバー

▼GK
1 大迫敬介(サンフレッチェ広島)
12 谷晃生(湘南ベルマーレ)
23 鈴木彩艶(浦和レッズ)

▼DF
19 佐々木翔(サンフレッチェ広島)
3 谷口彰悟(川崎フロンターレ)
2 山根視来(川崎フロンターレ)
5 畠中槙之輔(横浜F・マリノス)
25 小池龍太(横浜F・マリノス)
4 中谷進之介(名古屋グランパス)
22 荒木隼人(サンフレッチェ広島)
24 大南拓磨(柏レイソル)
13 杉岡大暉(湘南ベルマーレ)

▼MF/FW
18 水沼宏太(横浜F・マリノス)
10 武藤嘉紀(ヴィッセル神戸)
17 宮市亮(横浜F・マリノス)
15 橋本拳人(ヴィッセル神戸)
7 野津田岳人(サンフレッチェ広島)
14 脇坂泰斗(川崎フロンターレ)
9 西村拓真(横浜F・マリノス)
16 相馬勇紀(名古屋グランパス)
6 岩田智輝(横浜F・マリノス)
8 森島司(サンフレッチェ広島)
21 満田誠(サンフレッチェ広島)
11 町野修斗(湘南ベルマーレ)
20 細谷真大(柏レイソル)
26 藤田譲瑠チマ(横浜F・マリノス)

*武藤嘉紀(神戸)が不参加となり、代わって岩崎悠人(鳥栖)を招集(7/17)

第1戦 香港戦

■右サイドの復調後は寄せ付けず

 Aマッチデーではないため国内組前提で招集されたE-1の開幕戦。一大勢力となっている広島勢が日曜開催のリーグ戦の影響で実質起用不可という影響もあり、左のWGの相馬とGKの鈴木以外は神奈川県連合と化した代表がこの日のスタメンに名を連ねることとなった。

 立ち上がりは特に主審の笛が軽く、ファウルを取りやすい傾向が強い試合だった。より守備機会の多い香港がこれに適応できずにファウルを重ねた結果、与えられたFKを決めたのは相馬。神奈川県連合ではない唯一のFPである相馬のFKによっていきなり日本は先制する。

 この1点があれば問題なし!といいたい日本だったが、前半は比較的苦戦を強いられた。一度ボールを奪うと、ロングボールに逃げることなくショートパスをつないでいく香港に対して、日本はプレスからボールの取りどころを見つけられず。日本は左サイド側を中心に攻め込まれ、PA内に侵入されるシーンも散見されるようになった。

 こうした流れになった一因は多く見られたつなぎの局面のミスだろう。岩田、藤田などカウンター局面におけるパスの精度が低く、早い段階で香港の守備にひっかけてしまう場面もしばしば。先制点を取ったことで攻撃が安定する流れにはならなかった。

 とりわけ最終局面で気になったのは右サイドからのクロスの精度。ラストパスとして考えると質が低く、このサイドから良質なクロスが上がってこないことで日本の攻撃が停滞し、香港に下手な形でボールを奪われる頻度が高かった。

 逆にパスの精度が低い展開で目立ったのはトップ下に入った西村とCHに入った藤田。この2人の共通点は行動範囲が広く、相手にとってバグになりやすい存在であることだ。ボールサイドに寄りながらパスを受けて+1になる西村とパス交換から高い位置への取り直しを怠らず十分な推進力を持つ2人は、中央から攻撃を切り拓くアクセントになっていた。順番は前後するが、西村は長いレンジからのフィニッシャーとしても存在感を見せた。

 パスの不安定さで攻撃の停滞と香港へのカウンターの機会を与えていた日本。問題は自分たちの中にはらんでいる感が強く、そこさえ修正できればワンサイドゲームになる匂いもあった。そういう意味できっかけになったのは右サイドから上がってクロスが得点につながった2点目。技ありの町野のゴールを演出したのは、右サイドからの速度と精度が十分な山根のクロスだった。

 これで日本の右サイドは完全に生気を取り戻す。水沼と山根を軸に右サイドは崩しの切り札になり、ここからは質の高いクロスとサイドのフリーランを用いた3人での崩しが頻繁にみられるようになった。

 一方の左サイドは最後まで苦戦が続いていた。杉岡は逆サイドからのサイドチェンジを受けてオーバーラップするところまでは良いのだが、一度スピードを落とされてしまうと一気に持ち味が死んでしまう印象である。左サイドはその解決策を最後まで見つけることが出来なかったように思えた。

 右サイドを開拓した日本は大量の得点で前半を終える。後半は谷口→中谷を皮切りに交代選手を試す要素が強かった。が、交代選手たちがどこまでフィットしたかは微妙なところ。

 宮市、岩崎の両WGは前半の相馬や水沼とは異なり直線的な縦に速い動きを好むことが多く、チームとして重心を上げながら組み立てていきたそうな脇坂とは噛み合わせが悪かったように見えた。最もこのあたりはすり合わせの問題であるはず。即席チームであればぶち当たりうる懸念という感じだった。

 いずれにしても交代選手登場前に6-0とした香港にもう攻めあがる元気が残っていないのは明白。右サイドの懸念を解決した日本にとって香港は脅威として立ちはだかることはなかった。

試合結果
2022.7.19
E-1フットボールチャンピオンシップ 第1戦
日本 6-0 香港
県立カシマサッカースタジアム
【得点者】
日本:2‘ 55’ 相馬勇紀, 20‘ 57’ 町野修斗, 22‘ 40’ 西村拓真
主審:ハサン・アクラミ

第2戦 中国戦

■足りなかったスモールスペース攻略の手段

 カタールワールドカップの出場権をかけたアジア最終予選では専制守備からのカウンターでの反撃というスタンスを貫いた中国。しかしながら、ウー・レイ以外の選手がほとんど通用せず、頼みの帰化選手たちは衰えが目立ってしまったところに国内リーグの地盤沈下が重なったため、サウジアラビア、オーストラリア、日本といった同グループの強豪にはほとんど歯が立たなかった。

 この試合においても中国の基本線は5-4-1の撤退守備。ただし、中国も何もしないまま指をくわえて撤退するのは嫌だったようで、立ち上がりは高い位置からのプレッシングで日本を揺さぶる。

 日本はこれに対して、幅を使いながらいなすというよりはハイテンポの流れに乗っかりながら縦にボールを刺すという形で付き合った様相が強かった。逆に日本もプレッシングを強気でかけていくことで反撃。日本の右サイドは食いつきがよすぎたため、中国にいなされてしまう場面もなくはなかったが、基本的にはアップテンポな展開に乗っかる序盤戦を過ごした。

 10分もすれば中国のプレスは沈静化。CBまではプレッシャーをかけにいかず、横幅もナローに設定。縦横共にコンパクトな陣形を維持することを優先した。日本はこの動きにはだいぶ苦労した。そもそもこの日のバックラインは荒木、佐々木、中谷という顔ぶれ。大迫も含め、撤退守備に専念した相手にあれこれ保持で引き出しがあるタイプの選手ではない。

 最終ラインの中で唯一、高い位置での仕事ができる小池は押し込める時間帯には右サイドのハーフスペースを主戦場としてチャンスメイクに貢献できていた。同サイドの宮市との関係性も良好で、森島と佐々木という広島のWBを間引きされたような左サイドに比べれば連携は良好だったといっていいだろう。

 中国の5-4-1の専制守備ブロックを壊すにはどうしても人がひしめくPA内をなんとかする必要がある。そのためにはスモールスペースを攻略する武器がいくつか必要。この日のアタッカー陣の中でそれができそうだったのはライン間でのボールの引き出しと細かいボールタッチで相手を外せる脇坂とオープンスペース以外にもミクロな動き出しでもズレを作れる宮市の2人。この2人を軸に日本は中国のゴールに迫っていく。

 中央から右サイドを中心に押し込んでくる日本に対して、中国は割り切ったロングボールから反撃。しかしながら日本のこの日のバックラインはロングボールの迎撃には非常に向いているメンバーだったので、そこまで大きな問題にはならない質の物。80分のセットプレーを除けばあわやというシーンを作るのにも苦労していた印象だ。

 失点の心配は薄い日本だったが、保持において打開できる空気は薄い。5-4-1の中国のブロックに対しては徐々に日本のバックラインの保持における引き出しの少なさから苦しむ場面が目立つようになっていく。宮市や脇坂のように狭いスペースでも活躍できる選手たちもブロック攻略には重要だが、大外から抉ったり早い段階でクロスを入れたりなど少々のアクセントになるような動きもこの日の日本のレパートリーにはなかった。

 したがって、選手交代によって宮市や脇坂が下がると、狭いスペースを打開するための手法はむしろ削られていった印象だった。クロスへの強さを見せる町野の投入や大外に張れる相馬などがいることを踏まえれば、終盤はもう少しクロス攻勢に出てもいいはず。日本の選手がやたら被って決定機を生かせない場面は目についたが、裏を返せば中国の選手が競り合えていない証拠でもある。

 よって、ハイクロスはもっと積極的に導入しても良かったように思えたが、特に大外にポイントを作ってクロス主体で壊していこう!という動きはなし。結局日本は最後まで中国のゴールを破ることが出来なかった。

試合結果
2022.7.24
E-1フットボールチャンピオンシップ 第2戦
日本 0-0 中国
豊田スタジアム
主審:ニボン・ガミニ

第3戦 韓国戦

■ハイラインに裏打ちされた支配力で圧倒

 E-1選手権のトリを飾るのは優勝決定戦となった日本×韓国のカード。中国に引き分けて勝ち点的には一歩後退している日本だが、直接対決に勝利すれば韓国の4連覇は阻止することができる。

 優勝条件がより厳しいという状況も手伝ってか、より高い位置からのプレッシングを立ち上がりから行っていたのは日本の方だった。西村と町野の2トップがバックラインにチェイシング。韓国のCBコンビがビルドアップで幅を取らないこともあり、アンカーの管理までは彼ら2人の受け渡しで十分賄うことが出来た。

 逆にバックラインでアウトナンバーを作ることができない韓国は苦戦。バックラインから出てくるボールはことごとくラインを上げる日本のDF陣に咎められる。このあたりはハイライン、ハイプレスを行える横浜FM所属選手を軸に選んだスタメンならではという感じ。無論、谷口や佐々木も普段のクラブと遜色ない高い位置からの潰しを行って見せた。中盤では藤田がU-23アジア選手権に続き、左右に顏を出しながらクラッシャーとして暗躍した。

 というわけで韓国のチャンスは散発的に。畠中、谷口に個人で入れ替われる場面か、保持で自由が与えられている小池の裏をトランジッションで狙う形の2つのパターンに前進は限定されることとなった。

 一方の日本もボールを奪ってからの前進のパターンがそこまで豊富だったわけではない。序盤は右サイドのフリーランが突破口に。水沼はサイドに流れながら韓国の左サイドの裏をトランジッションで狙うが、序盤はクロスの精度が合わないのは香港戦と同じ。それでも同門である小池とのレーンの棲み分けはスムーズであり、ハーフレーンと大外の分担は出来ていた。

 逆に左サイドは相馬が大外からの仕掛けを狙う形に。韓国の守備陣は手を焼いていたが、こちらもラストパスが刺さらない形に。相馬は西村と挟み込んでのプレスから決定機を生みだすなど、プレッシングから貢献度の高いパフォーマンスを見せていた。

 韓国はしばらくするとアンカーに入ったギョンウォンがサリーを行うように。日本の前からのプレッシングを外しに来る。サイドを押し上げて幅を取りながらのポゼッションができるようになった韓国は徐々に保持の時間を長くしていく。サイドに振られながらもバックラインに声をかけながら穴を空けまいと奮闘する水沼の姿は非常に印象的だった。

 後半になると日本がより支配的な展開に。前半よりもサイドに人数を賭けながらの崩しを重視し、きっちり押し込むことを重要視するように。西村や藤田など配置の上では中央に陣取る選手たちもサイドに流れる頻度を増やす。その代わりに小池や岩田が躊躇なく前線に飛び込んでいたのはさすがのマリノスクオリティである。

 先制点は支配的に入った後半の日本の流れがそのまま反映されたような形。小池で幅を取り、時間をもらった藤田がピンポイントで挙げたクロスの先にいたのは逆サイドの相馬だった。

 韓国は右サイドを軸にプレスを脱出しようと試みるが、前半以上に前がかりなプレッシングを敢行する日本のDF陣に苦戦。ウォンサングと佐々木のマッチアップは個人的には激熱であった。そんな佐々木がセットプレーから日本に追加点をもたらす。森保監督が長年信頼を寄せるDFがここで結果を出して見せた。

 しかしながらこの日のハイライトはやはり3点目だろう。右の大外に張った宮市(怪我、大丈夫?)を囮として小池が空いたスペースに侵入。広がったインサイドに躊躇なく藤田がパスを刺すと、西村が落としを走り込んだ小池に合わせる。マリノス勢がデコレートしたお立ち台にのぼったのは町野。大会通算3点目となるゴールは韓国の心を折るには十分なものだった。

 試合はそのまま終了。後半の支配力をことごとく得点に結びつけた日本が韓国を下し、2013年以来のE-1選手権優勝を決めた。

試合結果
2022.7.27
E-1フットボールチャンピオンシップ 第3戦
日本 3-0 韓国
豊田スタジアム
【得点者】
JPN:49‘ 相馬勇紀, 64’ 佐々木翔, 72‘ 町野修斗
主審:アクロフ・リスクラエフ

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