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「意義の証明」~2022.7.2 J1 第19節 セレッソ大阪×川崎フロンターレ プレビュー

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第19節
2022.7.2
セレッソ大阪(7位/7勝6分5敗/勝ち点27/得点25/失点19)
×
川崎フロンターレ(3位/10勝4分4敗/勝ち点34/得点26/失点20)
@ヨドコウ桜スタジアム

戦績

近年の対戦成績

   直近5年でC大阪の7勝、川崎の5勝、引き分けが1つ。

C大阪ホームでの戦績

    直近10回の対戦でC大阪の4勝、川崎の4勝、引き分けが2つ。

Head-to-head

<Head-to-head>
・直近5試合で川崎はC大阪に4勝。
・しかし、4月の対戦でC大阪は対川崎戦の連敗を4で止めた
・直近2試合の対戦はいずれもアウェイチームが1-4で勝利している。
・リーグ戦の対戦においてどちらも無得点で終わったのは2017年4月が最後。

 近年でいえば川崎はC大阪に4連勝を決めており相性が抜群の相手。しかし、今年の前半の対戦ではそれはもうコテンパンにやられている。もっとも、川崎はその4連勝以前はC大阪との公式戦で6試合勝ちなしを記録している。前回の大敗はむしろ嫌な思い出を思い出した!という川崎ファンも多いだろう。

 しかしながら、このカードは直近の試合はいずれもアウェイチームが勝利。直近ではホームチームはあまり勝てていない。川崎はC大阪ホームでは2連勝中である。

 もう1つの特徴は撃ち合いであること。リーグ戦でどちらかが無得点に終わったのは5年前にさかのぼる。以降の10試合は両チームともクリーンシートがなく、どちらも得点を決めている試合ばかりだ。派手なゴールショーが目立つ傾向にある。

スカッド情報

【セレッソ大阪】

・丸橋祐介は左膝骨軟骨損傷により長期離脱中。
・山中亮輔は右内転筋損傷により離脱中。
・清水戦で負傷した清武弘嗣は左足リスフラン靭帯損傷により6週間の離脱が決定。
・喜田陽は左腓骨骨折により離脱中。

【川崎フロンターレ】

・離脱中の登里享平、ジェジエウはトレーニングには合流済み。
・知念慶は札幌戦で負傷交代以降、ベンチ入りがない。
・山根視来は前節負傷交代。

予想スタメン

Match facts

【セレッソ大阪】

<C大阪のMatch facts>
・直近9試合の公式戦で7勝。
・しかし、リーグ戦は直近2試合勝ちがない。
・今季のホームでのリーグでの敗戦は全て完封負け。
・今季トップハーフのチームには1勝のみ(D3,L4)
・清武弘嗣が欠場したリーグ戦は直近5試合で1勝のみ。
・勝てば小菊監督は鬼木監督が率いる川崎にダブルを達成する最初の日本人指揮官になる。

 5月21日に大阪ダービーを制してからチームは勢いに乗って公式戦6連勝の快進撃。チームは一気にトップハーフに食い込んできた。

 しかしながら直近2試合のリーグ戦では共に勝ちを取れず。特にトップハーフの相手には弱く、勝利した相手はほとんど格下相手。唯一の例外はもちろん、等々力の川崎戦である。

 ホームでの敗戦は全て完封負けというデータをこの試合における「クリーンシートが出づらい」という傾向とかけ合わせれば、少なくとも勝ち点1は取れることになる。仮に勝利をすれば小菊監督はユン・ジョンファン、オリベイラに続き、鬼木フロンターレ相手にダブルを達成した3人目の監督になる。日本人としては初めてだ。

 不安要素になるのは清水戦で負傷した清武の不在。リーグ戦直近5試合の彼の不在の試合はわずかに1勝。あまり勝てていない。しかし、この1勝は等々力の川崎戦。4月の勝利はあらゆるジンクスに逆らいまくっている1勝なのである。

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch facts>
・リーグ戦直近5試合で1勝のみ。
・アウェーゲームは2試合連続無得点。
・直近4試合のアウェイゲームで1失点のみ
・リーグにおいてシーズンダブルを食らえば4年ぶりのこと。
・直近10試合の谷口彰悟が先発したリーグ戦の失点は5。
・レアンドロ・ダミアンが今季唯一決めているアウェイでのゴールは大阪で決めたもの。

 後半戦の滑り出しは得意なはずのセットプレーで追いつかれてのドローゲーム。夏になっても今年の川崎はなかなか波に乗れない。特に不振が際立つのはアウェイゲームだ。直近2試合で無得点。昨シーズンは年間を通して無得点は2回だったが、5月末の3連戦だけで既にこれを越えてしまっている。

 もっとも、アウェイでは基本的にはロースコアであり、堅い展開になりやすいのも確か。谷口がいれば直近の失点数は安定している。その谷口がいて最後に大量失点を重ねたのがホームのC大阪戦である。仮にアウェイでも敗れれば川崎はチームとしては4年ぶりに特定チーム相手のダブルを食らうことになる。ちなみにその時の相手もC大阪だ。

 関西シリーズが得意なダミアンにはそろそろ得点に目覚めてほしいところ。最後のリーグ戦の得点はまだACLに行く前の柏戦である。得点王の巻き返しを昨年も得点を決めた相性のいいからヨドコウから始めることができるだろうか。

予習

第16節 湘南戦

第17節 広島戦

第18節 清水戦

展望

■C大阪が直面するジレンマ

 この両チームが前回対戦したのが4月。上の項でも繰り返しているようにC大阪が大勝した試合である。川崎ファンにとっては苦い思い出だし、C大阪ファンにとっては称賛するにしても今はいなくなってしまった乾に触れざるを得ない!という誰得な展開になってしまうので、この試合を掘り下げるのはやめましょう。

 C大阪の保持はメンバーによらず、形を大事にする傾向がある。まずはCBが大きく幅を取り、ライン間にはアンカーが落ちる。C大阪は4-4-2が基本線なのでアンカーといってもCHが縦関係を形成する形である。最終ライン近くまで下りる役割は原川か鈴木が行うことが多い。

 もう片方のCHを務めるのは奥埜である。彼とトップ下の清武、そしてSHが内側にポジションを取り、楔を受けるべく待ち受けている。

 大外はSBのもの。彼らからのクロスはC大阪がアタッキングサードに侵入するためのメインの手段となる。クロスに対しては逆サイドのSHも絞りながら侵入する。SHはパトリッキ、毎熊、為田など前線への抜け出しやクロスへの飛び込みなどオフザボールが得意な選手が多く、大外からのクロスには常に枚数が用意されているのが特徴である。奥埜も前線に飛び込むことができる。

 よって、彼らの保持の大まかな流れを述べると、CB+アンカー+GKから相手のMFの背後にいる選手(できれば前をむいたときに展開力が最もある清武が望ましい)にボールを入れてサイドに展開し、クロスを上げてフィニッシュという流れである。

 しかしながら、今のC大阪がこのモデルを実現するのには障害がある。それは多くの怪我人。左のSBは山中と丸橋というクロスにおいてはリーグ屈指の2人が共に離脱。大外を駆け上がってのクロスを上げる専門家を2人も書いている状態ならばクロスの精度に影響がないわけがない。

 さらにSHの持ち味がいずれも独力での突破型ではないこともクロスを上げるまでの工程においては難しさを増す。乾のように幅を取りながら1枚、2枚剥がせる選手が欲しいというのが正直なところ。WGが張って仕事ができる選手ならば、SBの不在もカバーしやすいのだが。

 それならば、よりアタッキングサードでいい形を!となる。が、この形が実現できる清武がいない。そもそもいないのに一度中央に楔を入れる意味は薄い気もする。ジンヒョンを使いながら大外を経由することもできるはできる。サイドに出たボールから敵陣に迫る工程は正直未知数ではあるけども。

 よって、C大阪は多くの離脱者により、枚数をかけたクロスへの飛び込みという最終目標に対してのプロセスの再構築を余儀なくされている状態といっていいだろう。

 守備においてはプレスのスイッチがサイドにあるのが大きな特徴だ。SHが出ていくことで2列目や後方がそれに連動し、ラインを上げる。2トップは無理に相手を追いかけまわすことはしないが、サイドに相手を追いやることが出来た際は横のパスコースを切る動きはサボらない。

 強気でラインを上げるものの、一発で裏を取られるケースが少ないのはホルダーへのプレッシャーが強力だからだろう。このプレスが刺さるかどうかがC大阪が敵陣でのプレータイムを増やすためのポイントとなるはずだ。

■プレスのスイッチを利用する

 札幌戦、磐田戦の流れを仮に踏襲するとしたら、今の川崎は明らかに保持に特化すべきチームである。ということで保持のポイントから見ていくことにする。

 一般的に相手のプレスの狙いどころとなるのは動きの大きいところである。動きの大きい選手に周りが連動しないところがチーム全体で見た時の穴になりやすいからだ。

 C大阪でいえば明らかにSHである。このSH周りが狙い目である。SHが前にでていくのに後方の押し上げが連動するのが彼らの守備のパターンと述べた。そして、一発で裏を取られることが少ないというのも述べた。だが、SHの押し上げにSBや2列目が連動できず、ライン間を空けてしまうことは結構ある。

 このズレが川崎にとっての狙い目だ。ここに起点を作ることができれば、川崎は簡単にC大阪のMF-DFのライン間に侵入することができる。上の図のチャナティップの受け方は逆サイドの家長にとってはよりうってつけの役割だと思う。SHが出ていったスペースの2,3手先を狙えるボールの動かし方、人の配置の仕方ができるかどうかが大きなポイントになるだろう。

 しかし、懸念ももちろんある。SBがあっさりとSHのプレスに捕まってしまうことである。C大阪の守備の連動が川崎のパスワークを上回ってしまえば、プレスの餌食になる。磐田戦や札幌戦でもこのビルドアップが不安定でハイプレスにつかまることがしばしばあった。

 そして、C大阪は保持で自陣からつなぐ手段を再構築する必要があるスカッド。等々力での成功体験も考慮すれば、直近の試合よりもCFからハイプレスに注力し、川崎から時間を奪うことに専念してもおかしくはない。清水はこのプレスで毎熊にひっかけられて失点をしている。

 とはいえ、直近のメンバーでハイプレスに屈して負けるようならば、このやり方をする意味がない。強気なプレスに対してボール保持で屈するくらいならば、そもそも川崎が今の戦い方にこだわる必要があまりないように思える。

 よって、この試合で見せるべきものはこのやり方で進むための証明である。C大阪が等々力でやってきたようなプレスをしてきたとしても跳ね返して前進し、今進んでいる道が正しいものだと証明する必要がある。おそらくそれは見ている自分たち以上に、選手たちが堂々とプレーするために必要なものだと思う。

 仮に前進に成功したならば、次のフェースは中を空けること。手薄なサイドにヨニッチが出てくるパターンがこのチームは非常に多い。特に左サイドはヨニッチを引っ張り出しながらエリア内を弱体化させたいところである。仮に西尾が絞って対応するのだとしたら、その大外を回る山根のオーバーラップも重要になりそうだ。

 手早い攻撃でもC大阪のサイドは狙い目。C大阪のSHが前やエリア内への意識が強い分、トランジッションではサイドが手薄になりやすい。川崎にとってはカウンターでもサイドからボールを運ぶことは積極的に狙っていきたいところである。いずれにしてもMFの後方にポイントを作れるかどうかが川崎の保持における大きなポイントにはなりそうである。

 C大阪の保持はインサイドを固めると少し困り果ててしまう感がある。よって、インサイドを締めるのは有効である。加えてC大阪の守備陣は足元に不安はある。プレスには行きたいところ。

 だが、ジンヒョン→ワイドの選手への早いフィードでひっくり返されてしまうと、大島がアンカーであるならばリトリートは間に合わない可能性が高い。プレスの手綱を握るCFには非常に機微な判断が求められることになる。

 もう1つ、気になるのは左のSBの人選。対面のSHとの駆け引きを優先するのならば、橘田ではあるが、この試合のSBはクロス対応も重要な役割。ほぼ確実にミスマッチとなってしまう橘田をそのまますんなり使うのかどうかは気になるポイントである。保持から逆算すれば先発は橘田が濃厚そうだが。

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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