第1節 イタリア戦(A)
■イタリアの新星、ド派手なご挨拶
グループステージはスペインと同居。他の2チームはやや力が落ちると見られるが、一つミスを犯すと計算が狂うのが2強が同居する組分けの怖さ。ドイツはロシア大会で韓国に敗れてGS最下位で姿を消している。GSから油断はならない。
一方のW杯のイタリアはそのドイツを下回る戦績だ。EUROでは優勝を収めたものの、北マケドニアに不覚をとってしまった今大会のW杯予選ではすでに敗退。2大会連続のW杯不出場がすでに決まっている。つまり、この一戦は2年後のEUROに向けた再構築のための戦い。両者のこの試合の位置付けは微妙に異なる。
立ち上がりからボールを持ったのはアウェイのドイツ。広く距離をとるCBに加えて、縦関係を作るCHのキミッヒとゴレツカが自由度の高いポジションをとり、イタリアのプレスの的を絞らせない。イタリア側はCBは完全に放置、落ちていくキミッヒにもほとんど興味を示さず、中央は撤退してコンパクトさを優先にする構えである。
ドイツは2列目がグッと横幅を狭く取る傾向が強かった。左のサネは大外とハーフスペースが半々くらいであったが、右のグナブリーは常にイタリアの2列目の背後に陣取り『プレスに行ったらそこからボール受けるけどいい?』とイタリアに対して脅しをちらつかせていた。
イタリアは下がって受け気味の形ではあったが、ペッレグリーニとポリターノに徐々に迷いが出てくる。ドイツのCBが幅をとるため、自身に向かってくるようにボールをキャリーするからである。
ドイツは保持におけるSBの高さを左右非対称に設定することが多かった。左のケーラーは低い位置をとる一方で、右のヘンリヒスは高い位置をとる。これはそのまま先に挙げた同サイドのWGのプレースタイルと一致する。大外を駆け上がってくるヘンリヒスがいる右はグナブリーが絞るけど、左はサネが外に張ることもある!といった具合である。
イタリアにとって面倒だったのはトップにいるヴェルナー。イタリアの最終ラインがライン間を狙うドイツの2列目に対して迎撃体制に入ってラインを上げた瞬間に裏に抜けてくるからである。25分のヘンリヒス→ヴェルナー→ミュラーの流れなどは最終ライン裏を狙うヴェルナーを活用した好例だ。
ただ、ドイツの狙いはあくまでも真ん中。ライン間の2列目に楔を入れて前を向く形を作ることこそ、ドイツの攻撃のメインディッシュという感じだった。
一方のイタリアは押し込まれる展開になったが、攻撃の形を作ることができている。主役になったのはスカマッカ。リュディガー、ズーレという屈強なDFに対しても問題なく背負ってポストを行うことができる。キープ力も秀逸でヒールも使いこなすスカマッカにとっては味方の攻め上がる時間を作るのはお手のもの。彼の存在がイタリアの陣地回復を大いに助けた。
相手陣まで押し込むことができたら、ドイツにも隙がある。即時奪回が刺さればドイツは強力ではあるが、撤退守備においてはハイプレスほどの精度はないように見える。少なくともイタリアにとっては攻め込む隙があったと言えるだろう。主役になったのはフラッテージ。大外に張り出すポリターノが作った時間でカットインするスペースを生み出し、前半の終盤には反撃の旗手として存在感を振るった。
守備に関しても徐々にライン間を閉める意識が高まったイタリア。時間を経過するごとに慣れていっている感じは流石にイタリア代表という感じである。ライン間を閉められた上に強烈な対人に晒される機会が増えたドイツはやや苦しい展開に。イタリアはスカマッカのポストで時間をもらった2列目が躍動。ピッチを横切るパスをスピーディに繰り出しながら攻撃の時間を増やしていく。
ややフラットな展開になったところで先手を奪ったのはイタリア。決め手になったのはこの試合が代表デビューになった18歳のニョントだ。ポリターノに代わって右サイドに入ると、いきなり対面のケーラーを出し抜いてエリアにラストパス。これをペッレグリーニが決めて先手を奪う。デビューから5分でドイツ相手にアシスト。これ以上ないド派手な代表デビューである。
しかし、ドイツも同じく右サイドを切り裂いて同点に。決めたのはエリアに詰めたキミッヒだった。以降の試合はドイツペースに。イタリアのWGが保持のアクセント型になったこと、マンマークで相手を捕まえ続けた中盤に疲弊が見られたこと、そして交代選手のテスト色が強かったことなど、イタリアが勝利とは違う方向に舵を切ったことも関係あるだろう。
それでもイタリアはゴールを破らせることを許さず。テストしながらも要所を締めたイタリアがドイツに勝利を持って行かせない意地を見せた。
試合結果
2022.6.4
UEFAネーションズリーグ
グループA3 第1節
イタリア 1-1 ドイツ
スタディオ・レナト・ダッラーラ
【得点者】
ITA:70′ ペッレグリーニ
GER:73′ キミッヒ
主審:スルジャン・ヨバノビッチ
第2節 イングランド戦(H)
■3バックのドイツの狙いは
この試合のドイツは3バックを採用。イングランドの4-4-2に立ち向かうこととなった。
基本的には保持で仕掛けを見せたのはフォーメーションを変えてきたドイツだった。ドイツの攻めの方針として大きいところは2列目にライン間で前を向いてもらうことであることは間違いない。前節のイタリア戦ではサネとグナブリーの両SHがこの役割をこなしていたが、この試合でもムジアラが執拗にライン間を狙っていた。
だけども、この試合のドイツの3バック化はそれ以外のボールの動かし方を作ることに目的があったように思う。その中心になるのは左のCBに入ったシュロッターベック。フライブルク→ドルトムントへの移籍が発表されたレフティーは配球力が自慢の様子。この若いCBをビルドアップで活用することが3バック採用の意義の1つだろう。
左サイドから無理なくイングランドの1stプレスラインを越えるシュロッターベック。イングランドからすると、彼をマークするためには右のSHに入ったサカが出ていくのが自然な感じもするが、ドイツは同サイドのWBであるラウム(確か、こちらも代表初出場)が高い位置を取るため、迷いなくシュロッターベックを捕まえに行くことができない。
よって、ここを見るのはCHにフィリップスに代わって入ったベリンガム。しかし、背後を空ければ間のムジアラが受けるスペースが空いてしまう。というわけでイングランドはここでも解決策を見出すことが出来ず。
逆にシュロッターベックはとてもイキイキしていた。大外のラウムはもちろん、その1つ奥には裏を取ることができるハフェルツもいる。そして対角のパスも蹴ることができる。自在だった。
時には右のWBのホフマンも逆サイドまで顔を出すことも。左に比べると右は仕上げのサイドだ。時に定点攻撃にこだわりすぎてシステマティックさに傾倒しすぎていると批判されていたレーヴ政権と比べると、ハフェルツやホフマンのような動的な要素はアクセントになっているように見える。
守備においてはドイツは4-4-2を採用。右のWBであるホフマンはSHに留まることで、イングランドの組み立てにかみ合わせる形を作る。
イングランドの保持は縦に速く進むやり方の方があっているように見えた。4分のスターリングのポストからのつなぎのように、前方のタメに対して後ろからどんどん追い越していく選手が出てくるやり方がこのイングランドにはベターなように見えた。
2列目は得点力もあるし、CHも前のタメに合わせて抜け出すのは得意である。先述の4分の場面でケインのポストに抜け出したのはライスであった。
その一方で、ドイツを押し込む定点攻撃になると一気にパターンが単調になる。WGへのサポートのやり方が確立されておらず、大外からサカとスターリングがカットインしてシュートに持って行くくらいしか型がなかった。右のサカからの攻撃はある程度は形にはなっていたが、得点の脅威を与えられるところまで行っていたかは微妙なところである。
大まかには試合はその調子で進んでいた。そして後半に先制点を奪ったのはドイツ。右サイドからキミッヒがボールを持ったところで、ハーフスペースを抜け出したホフマンにラストパス。大外を走ったクロスターマンが影のMVPだろう。イングランドはこの動きでだいぶ外に引っ張られた。
ドイツはここからメンバー交代で攻勢を強める。ただし、ライン間を大事にする流れは変わっていない。ライン間を仕留めるムジアラに代わってヴェルナーが入るのならば、ミュラーがライン間の仕事を増やすというように、役割をこまめに調整している。
イングランドは終始ボールをどこに追い込みたいかがわかりにくい守備だった。しいて言えばSHが絞ったポジションを取ってセカンドボールを拾う形をつくってはいたが、なかなかチャンスを作れない。
ケインは周りにプレスを促していたが、ドイツはそれをあざ笑うかのように裏に抜けるボールをポンポン繰り出していた。トップをヴェルナー、サイドをハフェルツにしたのはこうした陣地回復の手段を残していたからだろう。
しかし、イングランドは土壇場で追いつく。グリーリッシュが入った左サイドから押し込む糸口を見つけると、やや偶発的なボールの流れからシュロッターベックがケインを倒してPK献上。これを仕留めてイングランドは同点に。
内容もスコアもギリギリのところで踏みとどまったイングランドがドイツから勝ち点3を取り上げて見せた。
試合結果
2022.6.7
UEFAネーションズリーグ
グループA3 第2節
ドイツ 1-1 イングランド
アリアンツ・アレナ
【得点者】
GER:50’ ホフマン
ENG:88‘(PK) ケイン
主審:デル・セーロ・グランデ
第3節 ハンガリー戦(A)
■あらゆる抵抗でドローに持ち込んだハンガリー
ハンガリーはドイツとかみ合うような3-4-3を採用。ただしこれはドイツ対策というよりは彼らの普段がたまたまドイツとかみ合わせやすいものであるという方が正しいだろう。
両チームがかみ合う同士の一戦は保持でどうズレを作るか考えるところからスタートする。ハンガリーはシャドーのショボスライが下がった位置を取るのがトリガーになる。CHの位置まで下りてくるショボスライには対面のケーラーが行ききらなかったため、比較的フリーでボールを持つことができた。
その勢いのまま先制したのはハンガリーである。オーバーラップで駆け上がった右サイドのフィオラからサライに当てて最後は逆サイドのWBのナジが決めて先制する。フィオラはこのシーン以外にもオーバーラップで存在感を示した。
ドイツとしてはプレスの方針はまず内側を閉じることだったのだが、ハンガリーは大外からのクロスでこじ開ける。ドイツの警戒が薄くなっているポジションからチャンスを作りネットを揺らしたハンガリーであった。
ハンガリーは非保持においては無理にプレスをハメにいかずにコンパクトに。ドイツ同様に内を閉じる意識が強い守り方を見せる。ライン間のドイツの選手にはDFラインから人が出ていって完全につぶして見せるなど厳しい対応が多かった。
であれば、ドイツは一気に裏に流して攻略。シュロッターベックの長いボールに抜け出したホフマンのゴールで同点に。以降は内側を使いたい風にボールをライン間に入れてはいたが、ハンガリーの守りは強固。なかなかズレを作り出すことができない。
後半はドイツは移動を強化。左サイドはゴレツカを中心に動きを増やしながら敵陣のゴールに迫っていく。ボールをもつ時間が長くなっていたドイツ。展開はドイツ優勢に流れる。
だが、ハンガリーも負けていない。後半はボールを持つと前半以上にポゼッションから攻め込む落ち着きを見せていた。全体的に長いキックとかクロスを見ていると非常にボール扱いがうまいチームなのだなと思わされる。
60分からはプレス強化を行うハンガリー。5-4-1で守りながらも全体のラインを上げることでなんとか勝ち点を獲りたいということだろう。ミドルゾーンにラインを上げて踏ん張っていた。撤退時の空中戦も安定しており、やはりハンガリーは好チームである。
そうなるとドイツはハイクロスに終始。ハンガリーは問題なくこれを跳ね返して見せる。今のドイツはあまりパワープレーに向いていないチームというのもあるけども。
試合はそのまま終了してドローの痛み分け。ドイツ相手に見事に渡り合ったハンガリーが貴重な勝ち点1を手にすることとなった。
試合結果
2022.6.11
UEFAネーションズリーグ
グループA3 第3節
ハンガリー 1-1 ドイツ
プスカシュ・アレナ
【得点者】
HUN:6‘ ナジ
GER:9’ ホフマン
主審:ホセ・マリア・サンチェス
第4節 イタリア戦(H)
■加速を食い止められず圧巻のゴールショーに
1stラウンドではタイスコアに終わったイタリアとドイツ。リマッチとなったこの試合でより強気な姿勢を見せたのはアウェイのイタリアの方だった。高い位置からのプレッシングでドイツの自由を奪おうとする。
しかしながら、このプレスはドイツにとっては許容範囲。ハイプレスはいなし、ボールを落ち着いて持てる状況を作る。10分もすれば試合は安定してドイツのポゼッションとなる。
イタリアがプレスをかけにくくなった背景にはドイツのLSBに入ったラウムがいる。彼が高い位置を取ることを無視できないので、イタリアは右WGのポリターノが低い位置まで下がる必要が出てくる。これによって、前プレの圧力が下がってしまうのである。
ドイツの左サイドはSBのラウムが大外で高い位置を取ることもあり、SHのサネはいつも通りライン間を狙う動きで、イタリアのMFラインの背後を突くような立ち位置を取る。右サイドは大外はミュラーとホフマンが代わる代わる使う形である。彼らは大外に張ることよりも、神出鬼没に大外とエリア内に入り込んでいく動きをミックスして使うところが強みだ。
プレスがかからないならば、イタリアは保持で巻き返しを図りたいところ。トップのラスパドーリはドイツ戦でパフォーマンスしたスカマッカと同様にポストプレーが強みで、彼のところから左右にボールを付けてのサイド攻略が保持のメインルート。もしかするとイタリアはCFにポストプレーを主軸として前進していく現代では減少傾向にあるチームの1つなのかもしれない。
ラスパドーリのポストは背負ってポジションをとるというよりはフリーになって素早くボールを回すというスカマッカとは少し毛色が違うもの。より、軽くて速いイメージだ。エリア内でもズーレの背後を取ったりなど存在感はあったが、フィジカル的な無理が効かない分、攻撃機会を担保できるわけではなかった。
というわけで試合はドイツの保持一辺倒になっていく。この試合では左サイドの関係性が良好。深さを取るヴェルナーとラウムでラインを下げてのクロスが有効。先制点のキミッヒのゴールも左サイドから。いざとなればギュンドアンは攻め上がりを自重できるのが有能である。イタリアのマンマークのプレス壊しにも彼が降りてくることで解決した部分が大きいので、とても有能である。
ドイツは前半のうちにバストーニが献上したPKを得て2点目。前半のうちにリードを広げる。
後半のイタリアはハイプレスの強度アップと5-3-2の採用で覚悟を決めたマンマークを行う。しかしながら、このマンマークを耐え凌ぐとサイドで深さを作ることからミュラーが追加点をゲット。悪い流れを払拭する。
ドイツはこの3点目と直後にあったノイアーの神セーブで試合を完全に決めたといっていいだろう。ここからさらに2得点を積み上げる。まさしくサンドバック状態のイタリアに次々とゴールをぶちこみ続けた。イタリアはカウンター迎撃の際にはまずボールを止めたいところだったが、ホルダーをなかなか捕まえられなかったのが痛恨。ドイツの加速を食い止めることが出来なかった。
終盤にはイタリアが2点を返すが、焼け石に水だろう。ニョントが前回のドイツ戦に続いて活躍したことだけが救いだろうか。試合はドイツの圧勝。ホームで圧巻の5得点のゴールショーを披露した。
試合結果
2022.6.14
UEFAネーションズリーグ
グループA3 第4節
ドイツ 5-2 イタリア
シュタディオン・イム・ボルシア・パルク
【得点者】
GER:10‘ キミッヒ, 45+4’(PK) ギュンドアン,58’ ミュラー, 68‘ 69’ ヴェルナー
ITA:78‘ ニョント, 90+4’ バストーニ
主審:イストバン・コヴァーチ
第5節 ハンガリー戦(H)
■90分間続けた中央のプロテクトでドイツを撃破
3連続の引き分けスタートからようやく前節初勝利を挙げたドイツ。ここからは連勝を重ねてライバルたちから勝ち点を奪いたいところである。
ボールを持ちながら試合を進めることが許されたドイツ。3-4-3のハンガリーはドイツのバックラインにボールを持たせることを許す形でスタートした。
ハンガリーが留意したのはまず中央を固めること。そして、ドイツのSBを逃さないことである。ドイツのボールの動かし方に対しては中盤は横にスライドする。そして、SBには左右対称ながらシャドーのショボスライとWBのフィオラでそれぞれホフマンとラウムをケアする。彼らが高い位置でボールを持てないとなるとドイツの大外の機能性は低下する。
SBが高い位置を取れないドイツは、手前で持つSBから裏の前線にボールを送る形を狙う。表への楔はハンガリーにがっちり咎められている感があったため、裏を狙うというアプローチは非常に素直。前線でもヴェルナーやサネなどこのやり方に適した選手が揃っている。
ドイツが支配的に成りきれなかったのはハンガリーのボール保持を思ったほど阻害できなかったからである。バックラインが深さを作り、4-1-4-1に変形するハンガリーのビルドアップをドイツは捕まえることができない。前線で捕まえられなかった選手を捕まえようとバックラインから選手が出てくると、今度はラインの裏を壊されてしまう。このあたりはスピード不足というスペックによる問題が大きい。
敵陣深くまで忍び込むことができたハンガリーはセットプレーから先制点をゲット。ニアに入り込んだサライがスーパーゴールをゲット。ハンガリーが貴重な得点から先手を奪う。
ドイツはサライへのロングボールを咎めることができない。クリーンにボールを奪うことができないドイツはずるずる陣形を下げられてしまっている。SBが高い位置を取れない展開を解決できないドイツは後半頭に配置変更。3-4-3にシフトチェンジしてWBを押し上げる形を狙っていく。
だが、ハンガリーのベースポジションは3-4-3。シャドーが下がり、CBにはボールを持たせる形でサイドを食い止めることと中央の封鎖という2つの優先事項は変わらない。
結局ドイツはトップの縦への奥行きを使うという前半と同じところに行き着いた感がある。左サイドのラウムも大外から裏に抜けることが増加し、このサイドからクロスを上げる頻度が増えるように。ドイツはエリア内にようやく迫ることができるようになる。
そこに立ちはだかったのはグラーチ。勢いのあるミドルをことごとくセーブし、ドイツに同点弾を許さない。中央のプロテクトの堅さが落ちなかったのもハンガリーにとっては大きい。中盤に穴を開けずに90分戦い抜いたこの試合のハンガリーのパフォーマンスは素晴らしいものだった。
前半のセットプレーを守り切ったハンガリー。ドイツにこのリーグ初めての黒星をつけることに成功した。
試合結果
2022.9.23
UEFAネーションズリーグ
グループA3 第5節
ドイツ 0-1 ハンガリー
レッドブル・アレナ
【得点者】
HUN:17‘ サライ
主審:スラブコ・ブンチッチ
第6節 イングランド戦(A)
■サカとマウントの投入がイングランド反撃の合図
欧州列強の試合は彼らの現状を知りたくて見ているだけなので、ネーションズリーグのレギュレーションは正直よくわかっていない。が、どうやら今回の2チームは共にすでに決勝リーグ進出への望みは絶たれているらしく、このコンペティションに限った意味では消化試合的な扱いになった。とはいえ、ワールドカップにはもうほとんど準備期間はない。有意義な試合にしたいところである。
ドイツは前節チェックした4バックを継続して採用。イングランドは今節も5-2-3-である。落ち着いて保持が出来たのはアウェイのドイツ。イングランドは3トップが前から追い回す傾向が強い割にはWBの出足が悪かった。そのため、2CHの脇には広大なスペースが。ここにトップ下のムシアラなどが下がりながら受けることで前進することが出来ていた。
ドイツはそれを意識してかイングランドのシャドーの対面になるようにCBが広い位置を取る。きっちり相手を引き寄せてから攻略を開始していた。
イングランドの保持はドイツほど狙いが明確ではなかったといえるだろう。プレスをかけるタイミングを狙っていた感のあるドイツにはなかなかこれといった回答案を突きつけることができず。
チャンスを作りにはスターリングの個人技に拠るところが多く、カウンターもドイツほどスムーズではない。ちなみにボールを持たされたマグワイアが攻めあがって試行錯誤している様子はスールシャール時代のユナイテッドを思わせるものだった。
スコアレスで迎えた後半はよく展開が動く試合となった。前半の終盤はインサイドへの楔を強調して行っていったドイツは前線にヴェルナーを投入。裏への意識を高める形で反撃を狙う。
後半に躍動したのはサイドに流れたムシアラ。独力で相手を剥がすドリブルと受けるスキルの高さでイングランドを徐々に脅かしていく。決定的な働きとなったのはプレッシングだ。マグワイアのパスをひっかけてショートカウンターを発動すると、この対応でマグワイアがPKを献上。ギュンドアンがゴールを決めて先制する。
マグワイアは続く失点シーンでも高い位置からのパスミスからカウンターの起点に。ハフェルツのミドルまで至った経緯においても問題点がなかったわけではないので、彼1人の責任ではないだろうが、印象はあまりにも悪い。
暗雲立ち込めるムードを変えたのはマウントとサカという2人の交代選手。この試合のイングランドは両WBが上がる時間を作ることが出来たタイミングが一番いい攻撃ができるのだが、タメが効くサカの登場で同サイドのジェームズがさらに持ち味を引き出されることに。
さらにサカは横方向のドリブルを織り交ぜることでドイツの意識を外に向けることにも成功。これによって発生したギャップにマウントが入り込む形で相乗効果を産んでいた。
1点目はサカによってフリーになったジェームズのクロスをショーが押し込む形。さらにサカは右サイドからのカットインでマウントにスペースを捻出。受けたマウントは素晴らしいスーパーミドルを披露し、共に途中交代で入った意義を見せつけた。ドイツは左サイドのゴセンスとニャブリのユニットが後手に回り続けて、破壊されてしまったのが痛かった。
その後、シュロッターベックがPK献上してしまったドイツがイングランドに逆転を許してしまう。ケインは本当にPKがうまい。
逆転を許したドイツだが、終盤に左サイドの2人が面目躍如のプレー。ゴセンスからミュラーにつなぎ、ニャブリがエリアに入り込みミドルを打つと。ポープがボールを止めきれずにこぼしてしまい、これを押し込まれてしまう。難しい対応ではあったが、ストッパーとして存在感を見せるタイプなだけに何とかしたかったところだ。
なんとか追いつき面目躍如したドイツは一安心。とはいえ、後半の立て続けの失点はいただけない。ミスで失点を重ねたイングランドも似た反省が浮かぶ。共に本大会に向けて課題抽出が進んだ試合だったといえるだろう。
試合結果
2022.9.26
UEFAネーションズリーグ
グループA3 第6節
イングランド 3-3 ドイツ
ウェンブリー・スタジアム
【得点者】
ENG:71’ ショウ, 75‘ サカ, 82’(PK) ケイン
GEN:52‘(PK) ギュンドアン, 67’ 87‘ ハフェルツ
主審:ダニー・マッケリー