先制点でばたつかない王者の貫禄
基本的にはスロースターターの印象があるシティだが、今季は落ち着いた内容からリーグ戦では開幕5連勝。リーグテーブルの一番上を確保してCLの開幕に臨む。
ツルヴェナ・ズヴェズダはとりあえずシティのバックラインからボールを奪い取ることはあきらめた様子。その代わり、ロドリを含めた中盤とSBにはマンツーをつけながら時には6バックになることもいとわずにラインを下げていく。
シティからすればこうした展開は当然慣れっこだろう。人基準で後方に遊軍をおきながら守ってくるチームに対しては、ポジションの入れ替えから入るのがお決まりである。多くの場合はベルナルドの列落ちから動き出しがスタートするのであるが、この日は相手が相当に後ろ重心ということもあり、ロドリの列を上げるアクションが数多くみられることとなった。
ロドリのマーカーはブカリが多かったが、2トップの一角の彼がここまでラインを下げてしまうと、どうしても攻撃に出た時に後ろが重くなりすぎてしまう。というわけで誰かしら余っているだろう後方に受け渡したつもりが誰にもわたっていない!という状況から、ロドリはエリア内でスペースを享受するようになっている。
それ以外にも上下動するヌネス、降りてくるハーランドなど基準を乱す因子がたくさん。アルバレスは受けてからのターンのスピードで物理的においていくことでマーカーを外す力技を披露する。
敵陣に入ってからはサイドからのクロスで手早く攻めていくマンチェスター・シティ。ズヴェズダのクロス対応には難があったため、シティはサイドから次々と決定機を作っていく。
しかしながら、GKのグレイザーはファインセーブの数々を披露してゴールマウスに鍵をかける。そして攻撃陣はその守護神の奮闘に応えるようにワンチャンスをモノにする。高いシティの最終ラインを破ったブカリが独走から先制ゴールを奪う。
ホームでまさかの失点を与えたもののシティは落ち着き払っていた。ハーランドのポストから抜け出したアルバレスが早々にシュートを決めて47分にはスコアを振り出しに戻す。
こうした裏抜けのスピード感で裏を取るアクションは後半のシティの王道の攻略パターンとして定着した感があった。物理的なスピードで相手を置いてくるイメージがアルバレスの裏抜けだとすると、死角から入って相手の裏を取るのがウォーカー。枚数が多くオフサイドを取りにくい、ズヴェズダのバックラインの粗をついてシティはゴールに迫っていく。
そして、逆転弾となったのはセットプレー。これまで活躍していたグレイザーが空振りしてしまった結果、シュートが枠に入ってしまったというのはなかなか切ないところがある。
ズヴェズダは後半もハイライン裏抜け独走から二匹目のどじょうを狙っていくが、リベロとしてハイラインに対応するエデルソンが注意を払っている状況ではなかなかそういったチャンスは来ない。サイドから落ち着いた押し込みとスイッチを入れる裏へのランを織り交ぜるシティ相手に反撃のスキを見出すことができない。
最後の仕上げはロドリ。3点を手にしたシティが先制点にばたつくことなく王者の貫禄を見せた90分となった。
ひとこと
シティのバタつかなさは怖い。迫力がやばいというよりもなんか仙人みたいな強さ。
試合結果
2023.9.19
UEFAチャンピオンズリーグ
Group G 第1節
マンチェスター・シティ 3-1 ツルヴェナ・ズヴェズダ
シティ・オブ・マンチェスター・スタジアム
【得点者】
Man City:47’ 60’ アルバレス, 73‘ ロドリ
CRV:30’ ブカリ
主審:ジョアン・ピニェイロ