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「Catch up UEFA Champions League」~2023.10.3 UEFAチャンピオンズリーグ グループB 第2節 RCランス×アーセナル~

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WG起点の攻撃が停滞感を生む

 7年ぶりとなるCL。ホームでの開幕戦は快勝でスタートしたアーセナル。連勝を迎えて乗り込むのはフランス。堅守で躍進したRCランスとの一戦に臨む。

 立ち上がりに勢いを持って試合に入れていたのはRCランスの方か。大きな展開でサイドに運び、WBから大外を抉りクロスを上げる。シンプルだが、前を向けば推進力がある選手が多いRCランスの特徴を活かしている形だし、ファーサイドを狙うクロスでアーセナルのDFを外すことができていたのもこの戦い方の説得力を増している。

 アーセナルもすぐに落ち着いてボール保持から反撃。立ち上がりはラヤを絡めない3-2スタイルが主体。ボーンマス戦のようにジンチェンコが切れ目で受けてボールを前に進めるシーンが目立った。前に運ぶジンチェンコから勝負の縦パスが入ればさらにいいのだが、ここはランスがカットしてカウンターに繋げていた。

 徐々に保持の時間を強めるアーセナルだが、推進力のあるカウンターからRCランスも十分に組めることを示せる展開に。そうした中でミスが出たのはRCランス。低い位置でのパス交換にミスが発生し、ボールを掻っ攫ったサカ→ジェズスのパスからアーセナルが先制する。

 この先制点で流れはアーセナルに。ウーデゴールが自陣に引きながら相手の中盤を吸引し、ラヤを絡めたビルドアップからアーセナルが空洞化した中盤を使いながら前進する場面が目立つように。失点をリカバリーしたいRCランスのプレスによる前後分断を活用し、アーセナルはしたたかにボールを前に進めていく。

 風向きが変わったのはこちらもやはり失点シーンだろう。CB化したラヤから冨安のパスをカットしたRCランス。ボールを預けられたワイがしなやかなボディコントロールからボールを落とすと、仕留めたのはトマソン。先制点のシーンでパスミスをしたアタッカーが面目躍如の同点弾を決める。

 アーセナルはラヤのCB化が裏目に出た格好。これに加えてサカが負傷してしまったことで高い位置でボールを預けられる選手が減ってしまう。ビルドアップはやや後ろに重いシーンが目立ち、前線の選手は後ろ向きなコントロールが増えてくる。

 そうなればRCランスの強気のプレスはむしろ収支がプラスになってくる。マイナスのパスに対してラインを上げることで、RCランスはアーセナルへのプレッシャーを強めていくように。

 苦しくなったアーセナルの保持。相手を背負ったジェズスに強引にロングボールを入れる場面も少しずつ出てくるようになり、リズムが少し悪くなったところで前半終了のホイッスル。1-1のタイスコアでハーフタイムを迎える。

 後半の頭はアーセナルが再びRCランスのプレスを引き寄せるところから脱出する形を作るスタート。ビルドアップからリズムを作り、敵陣に侵入していく。プレッシングにおいてもジェズスのボール奪取からチャンスを作るなど、いい入りを見せた。

 しかしながら、RCランスもそのジェズスに捕まったシーン以降は落ち着いたポゼッションでアーセナルのプレスをいなす。特にアーセナルの左サイドのユニットに対して一手先をいくパス回しをしていたのが印象的だった。中盤でのボール奪取も出てくるようになるなど、RCランスが試合の展開をフラットに戻すのにそこまで時間は掛からなかった。

 すると、勝ち越しゴールを決めたのはRCランス。やや後手を踏み始めていたアーセナルの左サイドからフランコフスキが裏をとると、マイナスのワイにアシスト。裏を取られてラインを下げた分、サリバのマークが外れてしまい、ワイにはシュートを振り抜くスペースができることとなった。

 反撃に出たいアーセナルだが、WGを起点とする攻撃を構築するのに苦戦。大外のネルソンとヴィエイラはインサイドに入り込むことができずにアーセナルはU字ポゼッションを展開することに。サポートランがあった右サイドのヴィエイラは彼自身の出来に責任を問うこともできるが、追い越すサポートが少なかった左サイドのネルソンはやや気の毒な感もあった。スミス・ロウが彼を切り離してエリア内に入っていく動きをするのが早計だったように思う。スミス・ロウがインサイドに入るのが早い影響でジェズスのサイドでのタスクは増える一方だった。

 RCランスはトロサールの時から左のWGには2枚つくことを徹底していたため、この形をアーセナルはなんとか利用したかったところ。その仕組みを構築できなかったのは残念だった。

 WGにボールを預けても戻されるだけであるならば、裏のランも後方からのサポートも乏しくなるのは当然。停滞感の増すアーセナルはセットプレーや偶発的に生まれたトランジッションから同点ゴールを狙うが、ボックス内のRCランスの守備をこじ開けることができず。

 結局試合はそのまま終了。RCランスが初勝利を挙げてグループ首位に浮上。グループBは全勝チームが不在の混戦ムードになることとなった。

ひとこと

 WG不在で突破力がなくなったことももちろん大変だが、ボールを預けてOKという信頼感がある選手がいなくなったことの影響そのものもなかなか甚大だなと思った。ボールを渡しても戻ってくるので、裏へのランや後方からの追い越しが少なくなるのは当然だし、突破力そのものの不足よりも、WGの消極的な選択を起点にさらに攻めづらい状況を作り出すという悪循環にチームがハマってしまったように見えた。

試合結果

2023.10.3
UEFAチャンピオンズリーグ
Group B 第2節
RCランス 2-1 アーセナル
スタッド・フェリックス・ボラール
【得点者】
RCL:25’ トマソン, 69′ ワイ
ARS:14‘ ジェズス
主審:マルコ・グイダ

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