キーファクターになったデ・パウルの退場
ポゼッションからスタートするのはセルティック。アトレティコは2トップがサイドに誘導をしつつ、IHがプレスをスタートしたら一気に同サイドへの圧力を高める形でボールを奪い取りに行く。後ろには5バックを残した状態であり、リスクヘッジも万全。セルティックはこのアトレティコのブロックを壊さなければいけないスタートとなった。
骨の折れる作業のように思えたが、案外あっさりセルティックは先制ゴールをゲット。キーになったのは古橋。サイドに流れて相手のマークを乱すと、オライリーとのパス交換から再びボックス内に侵入。サウール、ガラン、エルモソの間に入り込むフリーランから相手の守備の陣形に穴を開けてオブラクとの1on1を制した。旗手にアクシデントこそあったものの、スコアの推移としては理想的なスタートといっていいだろう。
失点以降、アトレティコはプレスを強めながら勝負に出ていく。しかしながらセルティックはこのプレスに冷静に対応。サイドから裏を取る前田を逃げ道として、アトレティコの守備に対抗する。
このサイドからの加速で裏を取りボックス内にスペースを作るというアクションは両チームの攻撃の仕上げの共通項といえる部分。アトレティコもWBから深さを作り、高さで優位があるわけではないインサイドにスペースを作る侵入にトライする。
PKを得た場面もこの文脈。デ・パウルとのワンツーで侵入したモリーナを慌ててテイラーが倒してしまったシーンがきっかけ。大外からのラインの押し下げがキーポイントとなった。
しかしながらセルティックは再びリードを手にする。左サイドにポジションを移した前田から一気にラインを押し下げると、仕上げはパルマ。日本人選手がまたしても崩しの切り札となり、セルティックはリードでハーフタイムを迎える。
後半、アトレティコは早々に同点に。交代で入ったジョレンテのキャリーから相手のバックラインにちょっかいをかけると最後はモラタ。セルティックはプレスから店じまいがやや中途半端になってしまい、後手に回ったブロックのズレを修正できずにズルズル失点の場面を迎えてしまった。
セルティックの5-3-2シフトからアトレティコはイケイケで勝負を仕掛ける。セルティックからすれば、人数は減っても裏抜けからチャンスを作れるという算段だったのだろう。前田は十分に貢献を果たしていたが、それでもアトレティコの攻撃の圧力は徐々にセルティック陣内を侵食していく。
それだけにデ・パウルの退場は試合を大きく分けるファクターとなった。これにより試合は一気に鎮静化。数的不利の分、アトレティコはプレッシャーをかけることができないまま試合終了。セルティックはアトレティコ相手に勝ち点1をももぎ取ることに成功した。
ひとこと
セルティック・パークの圧力はさすがである。
試合結果
2023.10.25
UEFAチャンピオンズリーグ
Group E 第3節
セルティック 2-2 アトレティコ・マドリー
セルティック・パーク
【得点者】
CEL:4‘ 古橋亨梧, 28‘ パルマ
AMA:25’ グリーズマン, 53‘ モラタ
主審:フェリックス・ツバイヤー