モノトーンな展開でそれぞれの持ち味が出るが
ここまで勝ち点が1つもとれていないウニオン・ベルリン。CLだけでなく公式戦12連敗中でブンデスリーガ最下位となるなどここまで苦戦が続いている。それどころではないかもしれないが、突破の可能性をつなぐには勝利が必須の一戦となる。
ホームではボールを持つスタンスも見せていたウニオン・ベルリンだが、この試合においてボール保持はほぼナポリの一辺倒。2トップ脇からボールを前に進めながら外に循環させて勝負をかけていく。
サイド攻略のカラーとしては左右のテイストの違いが印象的だった。右サイドは縦横無尽に動き回るレシーバー役のディ・ロレンツォの動きが大きな影響を与えており、相手を外しながらパスを回していくイメージ。逆に左サイドはクワラツヘリアという止まった状態で対面の相手と正対しても崩すことができる選手がいる。そういう意味では左が静、右が動という崩しのイメージの大局観があった。
ナポリはポゼッション×ハイラインで敵陣から圧力をかけていくスタート。そうした支配的な振る舞いに付随するのはセットプレーのチャンス。ナタン、ラフマニの2人は空中戦で猛威を振るっていた。
ウニオン・ベルリンはカウンターに専念。ボールを奪ったら素早くフォファナとベッカーの2トップにボールを当てながら進んでいく。彼らの反転や加速してからのスピード感は非常に高いものがあり、スピードに乗せてしまうとナポリのDFは完全に後手を踏んでしまう。そういう意味ではこの試合で見せたウニオン・ベルリンの割り切りは悪いものではないといえるだろう。
しかしながら、先制点を奪ったのはナポリ。マリオ・ルイとクワラツヘリアで奥行きを作り、最後はポリターノ。前半のうちにナポリが先制点を奪い取る。
試合はこのゴールによって展開が動くことがないモノトーンなものだった。後半もボールを持つのはナポリ。サイドからボールを持ち運び、押し下げながら勝負を仕掛けていく。
というわけで後半もチャンスがあったウニオン・ベルリン。まさしく狙い通り!という形から2トップでロングカウンターを完結。フォファナのゴールで試合を振り出しに戻す。
攻撃の機会が多くなるナポリだが、やや強引さが目立ち一つ一つのパスがずれるなど雑さが目立つ展開。シュートへの意識は低くはなかったが、レノウの安定したセービングがナポリの攻撃をきっちり寸断していたのは大きかったといえるだろう。
80分以降はオープンな展開に。ナポリの支配感は消えたが、クワラツヘリアのスピードに乗ったプレーが増える状況と考えると、そこまで悪くはない盤面の変化ではあった。
だが、最終的に試合を決めるゴールは生まれず。ウニオン・ベルリンは内容的にも奮闘し、公式戦の連敗も止めたが、第4節にしてグループステージ敗退が決まることとなった。
ひとこと
最下位なのか。最下位って程弱い感じしないけどな。ウニオン・ベルリン。
試合結果
2023.11.8
UEFAチャンピオンズリーグ
Group C 第4節
ナポリ 1-1ウニオン・ベルリン
スタディオ・サン・パオロ
【得点者】
NAP:39′ ポリターノ
UNI:52′ フォファナ
主審:ダニー・マッケリー