Fixture
明治安田生命 J1リーグ 第15節
2022.5.25
川崎フロンターレ(1位/9勝3分2敗/勝ち点30/得点20/失点12)
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湘南ベルマーレ(17位/2勝4分8敗/勝ち点10/得点9/失点21)
@等々力陸上競技場
戦績
近年の対戦成績
直近10回の対戦で川崎は6勝、引き分けは4つ。
川崎ホームでの戦績
直近10試合の対戦で川崎が6勝、湘南が2勝、引き分けは2つ。
Head-to-head
直近の成績は川崎が優勢。公式戦では11戦連続で湘南相手に敗戦を喫していない。
ただし、その内容は川崎にとっては楽なものではない。最近の試合では湘南が先制する試合も多く、川崎は勝ち点を獲るのに手を焼いている。
等々力では4連勝中とここでも川崎にとって都合のいいデータはある。しかし、水曜日開催のこのカードは相性が悪い。最後に敗れた2013年の等々力でのリーグ戦も水曜開催。現在継続中の11戦無敗の中の引き分けの2つも水曜日に開催された試合だ。川崎にとっては勝てばJ1では初めての水曜日の湘南戦の勝利となる。
スカッド情報
【川崎フロンターレ】
・ジェジエウは長期の離脱中。
・大島僚太は右足の負傷、登里享平は右ふくらはぎの負傷で離脱。
・広州戦で途中交代したチャナティップはヒラメ筋の肉離れで離脱。
・谷口彰悟は鳥栖戦の退場により出場停止。
【湘南ベルマーレ】
・田中聡は神戸戦で脳震盪により負傷交代している。
・岡本拓也は左膝半月板損傷、軟骨損傷で離脱中。
・高橋諒は左ヒラメ筋の肉離れでこちらも離脱中。
予想スタメン
Match facts
【川崎フロンターレ】
昨年、福岡のアウェイゲームでの敗戦以来続いていたリーグ戦の連続得点試合は25でストップ。記録が終わるときは九州でなのだろうか。同じ九州勢の鳥栖にシャットアウトされてしまった。
しかし、5試合連続というクラブ記録のリーグ戦無失点記録は続いている。等々力でも今季6試合中4試合が完封と最終ラインは頼もしい。
その一方で谷口はこの試合出場停止。DOGSOで出場停止し、谷口を欠いた過去の2回のリーグ戦はいずれも勝利を収めている(2019年広島戦(2-1)、2020年G大阪戦(5-0)。今季リーグ戦未だ無失点という驚異的なパフォーマンスを見せる車屋を軸になんとかこの苦境を乗り換えたい。
【湘南ベルマーレ】
公式戦は連勝中。勝てば久しぶりのリーグ戦での連勝となる。
ネックなのはやはり上位との対戦成績だろう。現在のテーブルでトップ5にいるチーム相手には全敗。なかなか結果を出せていない。課題になるのは後半の立ち上がり。失点の41%が集約される15分間をどのようにしのぐかがポイントになる。
得点でいえば神戸戦で2得点と勢いに乗っている町野と、今季は右のCBで出場している山本に期待がかかるはず。隠れた川崎キラーの山本にまた泣かされるのは避けなければいけない。
予習
第12節 福岡戦
第13節 横浜FM戦
第14節 神戸戦
展望
■走力を軸とした戦い方
昨年に引き続き、今年も厳しい戦いを強いられている湘南。現在17位で今年も残留争いに悩まされる可能性が高いシーズンになっている。やはり、最大の課題は得点力だろう。J1で唯一の一桁得点という結果ではなかなか順位が上がってこないのは不思議ではない。
湘南といえばトレードマークとして思い浮かべる人が多いのは高い位置からのハイプレッシング。しかし、今季の彼らはそこまで前から来るチームではない。ベースとなる5-3-2のうち、2トップに入る選手はアンカーを受け渡しながら相手のCBにプレッシャーをかけてくるスタイルのチームである。
スイッチ役になるのはむしろ中盤の選手。中盤から相手を捕まえに行ったところで攻撃を食い止め、CBやGKにマイナスのパスを受けさせた時点でプレスの強度を上げてCBに一気にプレスに行くのが理想形である。
軒並み走力が高い選手が多いのも相変わらず。こうした負荷の高いやり方を90分間やり切れる陣容は十分に整っている。それが湘南の強みである。
保持においては左サイドを軸にすることが多い。ホルダーを追い越す動きやハーフスペースへの突撃、そして後方から3バックの攻め上がりなど、こちらも走力を活かしたフルコースの攻撃のメニューとなっている。際立つのはタリク。今季は特にオフザボールの動きがさえていて、相手のDFラインをあざ笑うような抜け出しが増えている。川崎からすれば要注意だ。
基本的にはショートパスや自陣深い位置からつなぐことの多いスタイルではあるが、ウェリントンという逃げ場があるのも特徴。いざというときは彼に渕当てることができれば、下手な形で失うことは少ない。リスクヘッジである。
2トップの関係性はウェリントンの周りを相棒が縦横無尽に動き回ることでサポートするというスタンス。サイドの攻撃においては以前よりはむやみに2トップに放り込むのは避ける方針で、クロスを前に一工夫をかけようとすることが多くなった。どちらの方がいいかは何ともだが、攻撃の回数が伸びてこないのはこうした試行錯誤によるものだろう。
■引き出すステップを踏むこと
川崎からすると狙い目になるのは湘南のプレス。彼らの食いつきの良さを逆に利用することである。湘南のプレスは食いつきがいいものの、ボールをどこに追い込む、どこで刈り取るかの共通認識が甘くなることが多い。
そのため、プレスが連動せずに、単発のクロスを重ね打ちしてくるような守り方になりやすい。その結果、引き起こされることはライン間のスペース管理の甘さ。枚数が多い中盤では顕著で、ライン間に縦パスを入れられることで一気にプレスを裏返されることが多い。
特に苦手なのはピッチを横断されるようにパスをつながれる形。その結果、守りが薄いサイドに展開を許し、相手に攻略の糸口を見出すことを許してしまうこともしばしばだ。ローテ的には難しいかもしれないが、横に揺さぶることができるシミッチは効きそうな相手である。
攻略するにはまず湘南の中盤を引き出す必要がある。だが、アンカー受け渡し型を継続してくるならば、問題なく自陣からのつなぎでIHを引き出して来れるだろう。CBが山村、車屋とボールを運びながら動かせるコンビであることはこの部分ではいい方向に転がる可能性がある。
IHを引っ張り出す役割は内側のプレーにチャレンジすることが多い佐々木にチャレンジしてもらっても面白いかもしれない。いずれにしても、一つ相手を動かすことができれば穴は見えてくるはず。自分たちが使いたいところにこだわるというよりは相手の空けた穴に対して、突いていくアプローチで挑みたいところ。
川崎の守備時においてはやはり湘南のフリーランが脅威。特に家長が先発すればワイドのCBまで攻めあがってくる湘南に対しては、数的不利の後手を踏む可能性はある。特にハーフスペースの抜け出しを許してしまうと、いいクロスへの準備は完全に整ってしまう。
厚みをもってサイド攻略に挑まれた場合はCBの役割をどこまでにするかが川崎の悩みどころである。谷口に比べると行動範囲に限界のある山村や、空中戦に怪しい部分がある車屋がクロスを上げさせないことと上げられた先のクロス対応のどちらを重点的にケアするかはシビアである。
一方で湘南のサイド攻撃を跳ね返した後は川崎のチャンスになる。特に杉岡のサイドは積極的に攻めあがる分、戻りが遅くなりがち。カウンターは右サイドで起点を崩して簡潔に。前節のように数的優位のカウンターを仕留められないなんてことは繰り返してはいけない。
カウンターにしても保持からのゆったりとした攻撃においても相手の動きを利用するのは同じ。メインとしては自陣の保持からの崩し。湘南のブロックから人を引き出すことで、守備を脆くするアプローチから始めたいところである。