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「手札勝負を仕掛ける」~2023.10.24 UEFAチャンピオンズリーグ グループB 第3節 セビージャ×アーセナル プレビュー

目次

Fixture

UEFAチャンピオンズリーグ グループB 第3節
2023.10.24
セビージャ
×
アーセナル
@エスタディオ・ラモン・サンチェス・ピスファン

予習

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予想スタメン

展望

新生セビージャの特徴は?

 2007年にグループステージで同居。共にホームチームが3得点を決めて1勝ずつを挙げている。これが両チームのCLでの対戦成績だ。

 ラ・リーガでは開幕から連敗スタートを切ってしまった昨季のEL王者のセビージャ。一時期状態は持ち直したようにも見えたが、ラージョ戦でのドローという結果を持ってメンディリバルは解任。ここ1年で3回目の監督交代が行われることとなった。

 新監督として就任したのはウルグアイ代表を率いてカタールW杯に臨んだディエゴ・アロンソ。選手時代から数えて17年ぶりにスペインで職に就くこととなった。クラブチームの監督としては欧州に初上陸することとなる。

 初戦の相手はマドリーだったため、これをスタンダートとしていいかは難しいところ。だが、これしか参考資料がないのでこの試合をベースにセビージャの戦い方を考えていきたい。

 ここまでのセビージャのスタッツを見てみると、今季ここまではリーグ戦で14得点13失点。ボトムハーフとしては悪い数字ではない。戦績としては接戦をことごとくものに出来ずに勝ち点を伸ばせなかった側面が大きいといえるだろう。

 特に得点の部分は個人のスキルに依存する部分が大きい。終点はエン=ネシリ、ルケバキオ、もしくは交代で入ってくるラファ・ミルを目がけたクロス。ルケバキオはサイドで起用されるため、崩すサイドとクロスを受けるサイドに明確に分かれるのがセビージャの特徴でもある。

 オカンポス、スソ、ラメラ、オリベルといった面々はいずれもテクニシャンぞろいで豪華な面々といえるが、2列目に何とかしてもらう攻撃が一本槍になっても平気なくらい破壊力があるかといわれると微妙なところ。唯一、オカンポスが調子のいいフェーズ(マドリー戦では一時期の存在感のなさから復活したように見える)に入っていれば、託してもいいのかな?という気持ちにさせられるイメージである。

 2列目はどの選手も止まりながらボールを持つことができる。なので周りはできればもう少し合わせる動きをしていきたいところ。トップ下に入った選手が崩しのサイドに流れることはあったが、オフザボールで抜け出すアクションには乏しく、枚数がいる分フリーになりやすいという域を出なかったように思える。ちなみにSBは左右のどちらもどの選手も高い位置での攻撃参加は積極的。マドリー戦はベンチ外だったが、ペドロサはこの点で存在感を発揮している。縦の2人の関係性は悪くはない。横の関係性をもう少し広げていきたい。

 従来の4-2-3-1から変更し、マドリー戦で採用した4-3-3は中盤がサイドのサポートをするという点ではナチュラルに選手が配置されているシステムでもある。さすがにまだ熟成はされていなかったが、枚数をかけた滑らかな崩しから兆しが見えるシーンもあった。サイドのサポートとボックス内の突撃をIHから両方行っていたジブリル・ソウは新政権におけるキーマンになるかもしれない。アーセナルからすればボックス内に遅れて飛び込む彼の対応は要注意だ。

 押し込むことができればセットプレーも大きな得点源だ。セルヒオ・ラモスを筆頭にグデリやバデなど高さは十分。エン=ネシリ1枚だけでも十分にやり切れるだけに、CBも加わると空中戦は各チームを脅かす怖さがある。当然アーセナル相手でももちろん火を噴く可能性がある。

 非保持においては高い位置からプレッシングにしっかりトライすることもあるが、その分、やや縦に間延びするケースも見られる。最近は少しずつサイドに追いやるようにして、保持側を狭いスペースに閉じ込める意識は見られている。

 特にディエゴ・アロンソが就任したマドリー戦は全体のスライドの意識が高く、DFとMFのラインが揃ってボールサイドに寄っていた。サイドの高い位置からなるべくボールを奪い返して攻勢に出たいということだろう。ミドルゾーンを維持しながらマドリーの保持に対しても堂々たる振る舞いを見せていたのが印象的だった。

 サイドへの追い込みからのミドルプレスの精度向上と、サイド攻撃の連携の向上。ざっくりとこの2つが新生セビージャの飛躍のポイントになるだろう。

次の手を迫る駆け引きをしたい

 グループBは第2節を終えて本命不在の大接戦になっている。ホームで勝ち、アウェイで引き分ければ突破できるのが今のCLのフォーマットだが、アウェイで負けてしまった分の勝ち点はどこかで稼ぎたいところである。当然だがセビージャとの連戦は突破を分ける重要な180分となる。

 基本的にはセットプレーはまず減らしたいので、アーセナルはまずセットプレーを避けるように押し込みながらボールポゼッションするのがベター。もちろん、カウンターは脅威ではあるが、スピードスターや1人で陣地回復ができる選手がいるわけではない。きっちりと押し込んで、腰を入れてサイド攻略を行うのがベターだろう。

 悩ましいのはトランジッション時の中盤の構造である。チェルシー戦ではインバートのSBがジンチェンコ、アンカー役がジョルジーニョだったが、このフィルターでは耐久性に難があるのは確かだろう。ライスを前に送るという前提であるならばトーマスはアンカーには据えたいところ。

 冨安のスタメン起用は難しいところだが、ライスがIHであればハヴァーツやヴィエイラよりも低い位置でのボールタッチは増えるだろうから、SBのプレーエリアは外寄りになる。それならば冨安よりもジンチェンコの方がいいようには思う。ただし、セビージャのSHはPA内への侵入から空中戦でのシュートを狙ってくるので絞ってのクロス対応を重視するのであれば冨安が先発という線もあるだろう。

 サカとマルティネッリに関してはチェルシーに比べるとマッチアップ相手がタフではないだろうから、序盤戦はまずはボールを預けるアクションをしてみていいと思う。エリア内を集中して守らせるとセビージャのバックラインは高さがあるため、大外からのハーフスペースの裏抜けや、カウンターでサイドの裏を取るなど横に守る範囲を広げて揺さぶりたいところだ。

 あと、狙いをつけることができるのはボールサイドと逆側の3センターの脇。ボールサイドに圧縮を仕掛けてくる分、逆側のアンカーの脇は空きやすい。サカやウーデゴールの大外からの横ドリブルから逆サイドへの展開を覗きつつ、隙があればアンカー脇を狙うパスはやっていきたい。

 セビージャは監督交代を経て、より締まったチームになったように思えた。短期的なものかどうかはわからないが、マドリー戦での勝ち点奪取を経て、チームは自信を深めているだろう。

 それでもアーセナルからすれば付け入るスキは十分にある。仮に相手が同サイド圧縮からのカウンターを準備してくるのであれば、それを打ち破りセビージャに「次はどうする?」と駆け引きをする展開に持ち込みたい。できて日が浅いチームはやはり手札には不安がある。CLは手札のコンペティション。90分の手札の数で相手を上回り、難しい一戦を制して再浮上の兆しを掴みたいところだ。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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