Fixture
プレミアリーグ 第37節
2022.5.16
ニューカッスル(14位/11勝10分15敗/勝ち点43/得点40 失点61)
×
アーセナル(4位/21勝3分12敗/勝ち点66/得点56 失点45)
@セント・ジェームズ・パーク
戦績
過去の対戦成績
過去10回の対戦でニューカッスルの1勝、アーセナルの9勝。
ニューカッスルホームでの対戦成績
過去10戦でニューカッスルの1勝、アーセナルの7勝、引き分けが2つ。
Head-to-head from BBC sport
スカッド情報
【Newcastle】
・シティ戦でサブに入っていたキーラン・トリッピアーとカラム・ウィルソンにはスタメン復帰の可能性。
・ライアン・フレイザーにも復帰の可能性。
【Arsenal】
・ベン・ホワイトとガブリエウ・マガリャンイスは当日判断。
・ロブ・ホールディングは1試合の出場停止。
Match facts from BBC sport
【Newcastle】
【Arsenal】
予想スタメン
展望
■大きい変動を迎えたシーズンに
『プレミアリーグは3節あれば状況が一変する』というのは自分が勝手に唱えている言説である。手前味噌ではあるが、この言葉はかなり多くのサポーターの胸には刺さるのではないだろうか。ずっと勝ち続けているリバプールとシティのサポーターの耳には届かないかもしれないけども。
ただ、今年のプレミアリーグにおいていろんなことがあったという意味ではニューカッスルの右に出るクラブはいないだろう。降格候補だった年明けのことを思い出すファンはそういない(思い出したくもないはずだ)だろうし、スティーブ・ブルースが指揮を執っていたことははるか昔のことのようである。
関係ないが、サウジの皆様からのブルース支持声明からのスピード解任は今年のプレミアリーグの個人的ハイライトである。めっちゃ笑わせてもらった。あと、関係ないついでにもう1つだけどどこかの試合でお客さんが着ていたジョエリントン柄のアロハも笑った。どういう気持ちで作ったんだよこれ。
話は逸れたが、ニューカッスルはそうした色濃いエピソードもかすんでしまうくらいいろんなことがあったシーズンである。アーセナルとの前回対戦の時はエディ・ハウが指揮を執った初戦(厳密にはその前の試合であるブレントフォード戦から就任しているのだが、Covid-19の陽性反応でベンチに入らなかった)であった。
この試合はまだハウのニューカッスルにおける試行錯誤の初期段階といっていいだろう。ボーンマス時代からお馴染みだった4-4-2をテストしてみてはいるが、シェルビーとウィロックの2CHではプレミアの守備の強度には耐えられないと気づくまでのフェーズである。
そこからバランスを見出したのがアンカーにシェルビーを据える今日のニューカッスルである。運動量のあるIHでアンカーのシェルビーをプロテクトする形。サン=マクシマン、マーフィー、アルミロン、フレイザーなど豊富なサイドアタッカーを有しているだけに大きな左右への展開が可能なシェルビーは何としても生かしたかったのだろう。
秀逸だったのはIHにジョエリントンを抜擢したこと。MFとFWのハーフ&ハーフのような難しい仕事ではあったが、シェルビーを守りつつPA内に顔を出すという幅広いタスクをきちんとこなしたまじめな選手であった。今季最もコンスタントに活躍したニューカッスルの選手といっていいだろう。
そこから冬の移籍市場を経てスカッドはパワーアップ。最終ラインにはトリッピアー、ターゲット、バーンとプレミア経験者をずらりと並べる。前線には残留争い(1月の話なので)のライバルだったバーンリーからウッドを引き抜くというミニ・バイエルンムーブで相手チームの弱体化も図る。そして、鳴り物入りで迎えることになったのはギマランイス。アーセナルとのリンクも噂された有望株の一本釣りに成功した。
冬に移籍した彼らは今やスカッドの中心だ。両SBは瞬く間になじみ、攻守両面でフィット。トリッピアーは大きな怪我をしたが終盤になってスカッドに復帰している。セットプレーにおいても脅威であり、スタメンで出てくればアーセナルにとっては怖い存在になる。
IHの2人は多岐に渡る仕事をこなすことができるダイナミズムを有しているジョエリントンとギマランイスの2人。エリア内に入っていき得点を挙げる能力にも長けている彼ら2人のおかげで、WGがワイドに張ったままでもエリア内には十分に人数がいる状態が出来ている。
まだスカッド的には入れ替えの途上ではあるだろうが、現在の形としてはまとまってきたといっていいだろう。WGの突破力とMFのダイナミズム。それを支えるのがシェルビーというのが今のニューカッスルのスタイルだ。
■攻守でポイントとなれるのは
順位の上では欧州は見込めず、降格の心配のない『消化試合組』であるが、個人的にはニューカッスルがそうした低いモチベーションでこの試合に臨むとは考えにくい。なぜならば、彼らは来季の自分たちの居場所を勝ち取るために戦うという目的があるから。サボってしまえば夏にやってくる誰かにとってかわられてしまう。それが今のニューカッスルを取り巻く状況である。
加えて、チームは堅調に順位をあげてはいるのものの、ここまで上位勢になかなか目立った結果を残すことが出来ていない。『アーセナルのCL出場を阻んだ』というのは対外的にも注目を引くことになるだろう。ホーム最終戦という舞台装置も含め、モチベーションは十分にあると考えるのが妥当だ。
というわけでアーセナルにとっては難しい試合になる。ニューカッスルの得意な展開は言うまでもなくアタッカーのスピードを生かした速い攻撃だ。1人で行けるサン=マクシマンをはじめとしてIH、SBなど素早く攻め上がりに転じることができるチーム。
ケインはいないし、サン=マクシマンは球離れが悪いという欠点があるため、トッテナムほど難しい話ではないが、速い攻撃を食い止めてスローダウンさせるためには策を講じる必要があるだろう。というわけで冨安の起用法はまたしても問われることになる。単体で一番怖いサン=マクシマンに当てるのか、それともスカッド事情で中央に回るのか。アルテタの判断が問われる。
ニューカッスルの苦手な展開は無理にプレスに行かなくてはいけない展開。中盤にフィルター役はおらず、最終ラインがスピードに欠けるので、前から行かないといけない展開ではボロが出る。すなわち、ビハインドの展開にはあまり強くない。
ニューカッスルはシティ戦、トッテナム戦などは無理に追う機会が増えた影響でどんどん失点を重ねていった。ただし、逆転するだけの馬力は備えているのでリードしたとしてもきっちり仕留めなければいけない。アーセナルにとっては刺しきれなかったリーズ戦の二の舞は厳禁だ。
どんな状況においても大事だが、先制点はもちろん大事。ニューカッスルを得意ではないプレッシングの方向に追い込んでいきたい。
序盤における撤退守備に対しては中盤に穴を空けたいところ。具体的にはアンカー脇に立つIHをなんとかどかしたい。最も簡単なのはSBがWGの裏でボールを受けることである。
これが最もチームで得意なSBはもちろん冨安である。またしても冨安。冨安に何とかしてほしい部分が多すぎる。彼が引っ張れれば、シェルビーの脇は空く。この位置でウーデゴールが前を向くことができればアーセナルとしては攻略のチャンスができる。
命運を左右するのは冨安。攻守にポイントを作れる彼をどこでどのように使うのかはCL出場権確保に向けた大きな分かれ道になるだろう。