Fixture
明治安田生命 J1リーグ 第12節
2022.5.7
清水エスパルス(12位/2勝6分3敗/勝ち点12/得点13/失点14)
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川崎フロンターレ(2位/6勝2分2敗/勝ち点20/得点15/失点12)
@IAIスタジアム日本平
戦績
近年の対戦成績
直近5年の対戦で川崎の10勝、引き分けは3つ。(*:川崎ホーム扱いだが、日本平での試合)
清水ホームでの戦績
直近10試合の対戦で清水の1勝、川崎が7勝、引き分けは2つ。
Head-to-head
川崎にとっては近年の清水は相性抜群の相手。対戦成績で言えば7年ほど負けておらず、そのほとんどは勝利。大量得点で勝利している試合も珍しくない。昨年は3年ぶりのシーズンダブルも達成している。
川崎優位はホームアウェイは問わず、直近では日本平も好調。ただし、クリーンシートが続いている奇数年度とは異なり、偶数年度の成績は失点続きであまり良くはない。
ゴールデンウィークでの対戦は2015年以来。この試合はピーター・ウタカの大暴れで川崎守備陣を壊滅させた試合。清水としてはこの年の再現をして、前節に続いての大勝を期待したいところだが。
スカッド情報
【清水エスパルス】
・負傷者は軒並み復帰を果たしている。
【川崎フロンターレ】
・ジェジエウは長期の離脱中。
・大島僚太は右足の負傷、登里享平は右ふくらはぎの負傷で離脱。
・広州戦で途中交代したチャナティップはヒラメ筋の肉離れで離脱。
予想スタメン
Match facts
【清水エスパルス】
前評判は高いとは言えなかった清水だが、勝ち切れずとも負けはしない粘り強いチームになっている。直近5試合での失点の数を見てもチームとしてまずは守ることから入れているのかもしれない。ホームゲームは現在3試合ドロー決着であり、なんとも言えない感じではあるけども、負けていないのは心強い。
勝敗を決めている大きな要素は現在の順位。彼らより順位が低いチームには負けていないし、上のチームには勝てていないと傾向はくっきりしている。
鈴木唯人は今季得点を取るのにこだわっている印象。シュート数は現在リーグで4番目に多く、すでにキャリアハイに並ぶ得点数。アンダー世代における代表歴も積み重ねており、頼もしさは増していると言っていいだろう。
川崎にとっては蔚山色のあるオ・セフンとの再会になる。川崎に負けないチームからやってきたセフンがユニフォームの色を変えても再び川崎の前に立ちはだかることができるのだろうか。
【川崎フロンターレ】
残念ながらACLから敗退となった川崎はここから国内のコンペティションで立て直しを図ることになる。とはいえ、例年と異なり、今年は国内でも苦戦傾向。アウェイゲームは5戦でわずかに2勝のみ。ホームアウェイ問わずに無双していた昨シーズンの姿は見る影もない。
スタッツで見ても実質得点はほぼ半減し、失点は倍増している。ぎりぎりの戦いを強いられている証拠でもある。直近5試合のリーグ戦ではクリーンシートでなければ勝てておらず、得点力不足は顕著だ。
それでもACL明けの成績は6連勝中と良好。昨年も集中開催明けの対戦は清水であり、日本平で勝利を挙げている。2017年以降、ACL帰りの清水との対戦は多く、そのいずれも川崎が勝利を挙げている。川崎にとっては国際大会帰りの相手としてのお馴染みの清水の胸を借りて、ここから巻き返しを果たしたいところ。ACLでも存在感があったダミアンの得点で勝利でリスタートを図りたい。
予習
第9節 鳥栖戦
第10節 広島戦
第11節 湘南戦
展望
■改善が見られる保持の局面
直近3試合の清水をチェックしたが、率直にいえば昨シーズンよりもいい印象を持った。特に向上したと感じたのはボール保持の局面である。
バックラインのプレッシング耐性に関してはどこまで向上したかと言われれば怪しい部分はあるが、目を向けたいのは中盤よりも前の部分。昨シーズンまでは攻撃の出口が原輝綺のクロスに偏っていたが、その部分が解消したように思う。
まず、目についたのは原の逆サイドのSBに入る山原である。昨季まではこのポジションに入ることが多かったのは片山。非常に器用なタイプであるものの、大外で幅を取りながらクロスでどうこうするタイプというよりは、自身がターゲットとなってクロスに飛び込むことで持ち味を出してくるタイプである。
山原はむしろ原と似ていて大外を駆け上がりながらクロスを上げることができるタイプ。彼の起用により、清水のサイド攻撃は左右偏重がやや解消したように思う。片山も実力者ではあるが、今の清水にはSBとしては彼の方がフィットしているように思える。
アタッカーで言えば直近の試合で活躍したのは中山。右サイドから対面の杉岡を圧倒するパフォーマンスで清水の攻撃を牽引した。川崎でマッチアップが予測される佐々木にとっては試練になるはずである。
もう一つ、清水の攻撃で変わったのは中央のルートである。相手のブロックの間に入ってボールを受けながら真ん中を切り開いていくこと。これこそ、今季の清水の最大の特徴である。
特にこの部分で貢献度が高いのは鈴木唯人。ボールを受けてから自身で前に運んでシュートに持っていく形を作る意識が昨シーズンよりも明らかに強いように思える。彼以外にもDF-MF間に前を向く2列目の選手を作ることで、攻撃を加速させることができており、ブロックがガバガバな相手に対しては中央を攻略できるようになったのは大きな進歩である。
保持の局面に比べると、非保持の局面は昨シーズンの難の積み残しが残っている感じがする。特にバックラインが動かされると脆さがある。それを補うために、前線や中盤が前からプレスを行いながらDFラインの負荷を下げようとしている。
気がかりなのは怪我人の復帰状況。スカッドは揃いつつあるが、復帰明けの選手が多く、誰がどれくらいのフィットネスなのかどうかは読みきれない。特に大きなポイントになるのは松岡の状態だろう。直近の起用法を見れば途中交代から徐々にプレータイムを増やしていくフェーズである。
彼が出て来ればチームは攻守にスケールアップする。左右への展開力はもちろんのこと、守備の局面への貢献度も見逃せない。前へのプレスの意識が高まるチームではあるが、最終ラインが動かされやすい清水においては中盤が後ろのカバーリングも怠ることはできない。多いタスクをそつなくこなすことができる松岡のプレータイムは清水の完成度を大きく左右するファクターである。
■最終ラインと駆け引きする下準備
毎年ACL敗退後には勝利を飾ってはいるものの、川崎にとってはACL直後の難しい試合となる。やはり気がかりなのはコンディション。高温多湿の環境の中で中2日で6試合となれば、肉体的なダメージは大きい。それに加えて、当然敗退による精神的なダメージも加わってくる。チームとして心身ともにどのような状態であるかは気がかりだ。
それに加えて、敗戦の原因も重たい。例年のACL敗退と異なるのは、川崎のスタンスがACL向きではないからと個人的には考えている。詳しくは下の記事で!
むしろ、敗因の原因は自分達の目指すスタイルに十分な水準なものを提供しきれなかったことにあるように思う。リーグ戦での苦戦からもわかるように今年の川崎は国内、国外問わずに厳しい内容を突きつけられている。ACLを早々に抜けたからといって今のスカッドの問題点からは離れられるわけではないと考えるのが妥当だろう。
まずは前線の動き出しを生かすためのパスワークをする。清水戦で言えば、相手のSHを手前に引き出してSBを孤立させたい。SBに広いスペースをカバーさせることができれば、その裏を作ることができる。そのためにはまずは開くCBによって相手のSHを引き寄せることである。
そうなれば、清水はSB裏のカバーのためにCBが出てくる。そうなれば、今度はCHが最終ラインのカバーに入る。
このようなスライドの動きを強いるたびに清水のバックラインには負荷がかかる。清水の守備陣のこのスライドはそこまでスムーズではないし、横に相手を振ることができれば、手薄になったファーサイドにはチャンスが広がる。相手を動かすことで薄い部分を作り、どこから攻め手を作りたいかを見出したい。
清水は撤退守備においてラインを比較的動かされやすいチームである。川崎は横パスを使いながら清水の最終ラインを止めて、味方の抜け出しを有効活用したいところである。
清水の攻撃においては左右のクロスも怖いものの、やはり避けたいのは中央で前を向かれること。最も避けたいのはハイプレスに出ていったWG裏のカバーにIHが忙殺される影響で鈴木唯人が受けられるライン間のスペースが空いてしまうことである。
だが、清水の保持の弱みは拙いバックラインの足元。プレスを狙わないわけにはいかないだろう。安易にプレスラインを下げればOK!と言うわけではない。チームとしてどこまでプレスで綻びを作らないままに、相手の弱みを引きずり出せるかはポイントになるだろう。
スタッツのページでも紹介したが、ACL帰りの日本平は川崎にとってはおなじみになりつつある。清水には悪いが、日本平を再起の地として、再び国内タイトル獲得に向けてスタートを切りたいところである。