許容されたオープンな展開で激しい撃ち合いに
2週間にわたるリメンバランスデイのトリを飾る一戦はチェルシーとシティの激突。チェルシーにとってはトッテナムに続く上位喰いのミッションに2週連続で挑むことになる。
立ち上がりのプレーはこの試合の激しさを表していたものと言っていいだろう。ハイプレスに出て行ったシティに対して、ポゼッションからチェルシーがこれを回避。
チェルシーは左サイドで上下に動きながらフリーになっているエンソを起点に逆サイドに流すと、ボールを引き取りに降りたパルマーから前進していく。割とテンプレートのような形でゴールに迫る武器を整理できていた印象である。
非保持のチェルシーは人を見ていくスタイルではあるが、シティに比べるとミドルゾーンからの加速に警戒しているぶん、バックラインへのプレスの強度に甘さはあった。シティの保持は中央が封鎖されている分、外循環に傾倒。ディアスが大外のレーンに立つなど、シティがお得意の移動でのマンツー外しは全く何もなかったわけではないが、直線的な動きをチームとして好んでいたため、ハーランドやフォーデンが目立つ一方でロドリやベルナルドといったまずは構造で動かそう!派閥はあまり存在感がない状況だった。
縦に速い攻撃の応酬にも足の長いパスを駆使してついていくチェルシー。ほぼ完璧なゲームプランかと思われたが、ククレジャがPA内でハーランドを倒してPKを献上。これを決められて先行を許してしまうことに。
しかしながら、セットプレーから同点弾をゲットしたチェルシー。ニアに入り込む動きでチェルシーが早々に追いついてみせる。さらには勝ち越しゴールもすぐさまゲット。右サイドのスムーズな前進から加速し、最後はスターリング。この試合の頭から見られていた加速から勝ち越してみせる。
それだけに前半終了間際の失点は痛恨。セットプレーの二次攻撃でアカンジをシウバが浮かしてしまい、試合は同点でハーフタイムを迎えることになる。
後半も高い位置からボールを奪いにいくチェルシー。シティはこれをひっくり返す形で右サイドからのカウンターで勝ち越し。スターリングのゴールよろしく右サイドから奥行きを作り、ハーランドは自分もマーカーもボールも全てゴールに押し込んで見せた。
シティのリードで試合は落ち着くかと思われたが、試合はまだまだここから二転三転していく。次に光を放ったのは交代で入ったムドリク。左サイドからの突破でロドリを引きつけると、ギャラガーがロドリが開けたスペースからミドルで強襲。このこぼれ球をジャクソンが押し込んで再び試合は振り出しに。後半のシティはロドリやグバルディオルなど受けに回ると不安定な守備陣のパフォーマンスがやや目につく。
しかしながら、ロドリはクラッチシューターとしてその存在感を遺憾なく発揮。何度もみた80分以降のミドルシュートでシティに今日も勝ち越しゴールをもたらしてみせる。
だが、試合はこれで終わらず。チェルシーは終了間際にPKを獲得。中盤のパスワークでコバチッチを振り回して作った穴をディザジ→スターリングで使うと、PA内でボールを受けたブロヤに慌ててディアスがアプローチ。このタックルが軸足を刈り取るものになってしまった。シティのバックスのらしくなさは最後まで尾を引くこととなった。
プレッシャーのかかる場面でキッカーとしての勤めを果たしたパルマーにより、チェルシーはこの日3回目の同点弾をゲット。壮絶な撃ち合いは4-4のドローで幕をとじた。
ひとこと
シティのバックスのキレキレ感のなさとリードを奪った時のポゼッションでのいなしフェーズのなさは結構気になる。
試合結果
2023.11.12
プレミアリーグ 第12節
チェルシー 4-4 マンチェスター・シティ
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:29′ チアゴ・シウバ, 37′ スターリング, 67’ ジャクソン, 90+5′(PK) パルマー
Man City25′(PK) 47′ ハーランド, 45+1′ アカンジ, 86′ ロドリ
主審:アンソニー・テイラー