Fixture
プレミアリーグ 第32節
2022.4.9
アーセナル(5位/17勝3分9敗/勝ち点54/得点44 失点34)
×
ブライトン(13位/7勝10分13敗/勝ち点34/得点26 失点36)
@エミレーツ・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
直近10試合の対戦でアーセナルの4勝、ブライトンの3勝、引き分けが3つ。
アーセナルホームでの対戦
過去9試合の対戦はアーセナルの6勝、ブライトンの1勝、引き分けが2つ。
Head-to-head from BBC sport
スカッド情報
【Arsenal】
・トーマス・パーティは腿の負傷で欠場。
・冨安健洋とキーラン・ティアニーも長期離脱。
【Brighton】
・6週間離脱したアダム・ウェブスターに復帰の可能性。
・病気からモゼス・カイセドは復帰予定。一方でヤクブ・モデルは長期離脱の見込み。
Match facts from BBC sport
【Arsenal】
【Brighton】
予想スタメン
展望
■ワイドプレイヤーが背負う重荷
序盤戦は好調な入りだった。課題だった得点力も克服し、トップ4争いも視野に入る位置で素晴らしい滑り出しだった。だが、寒さが厳しくになるにつれて徐々に順位は低下。気づけば中位をさまようシーズンになっている。
残留争いにはさすがに巻き込まれないだろうし、本来は巻き込まれないだけでも上出来。だが、直近7試合でわずか1得点というのは深刻。3月の月間MVPがプレミアではなくアジア最終予選で2得点を挙げたレンタル中の三笘というのが苦しい現状を物語っている。
前節で連敗は止めたものの、相手は最下位のノリッジ。しかも無得点のスコアレスドローなのだからいささか物足りなさはぬぐえない。
試合内容を見てみると、特に配置のバランスがぶっ壊れてしまっているような感覚はない。サイドには人数をかけられているし、エリア内にもクロスを待ち受ける人はいる。
だけども、これはあくまで配置の話。動きを付けてみてみると少し印象は変わってくる。具体的にはサイドからの崩しにおいてのオフザボールの動きが乏しくなっていることが見て取れる。そのため、サイド攻撃に動きがなくなり相手の最終ラインを動かせなくなっている。
これにより、敵のDFラインに難しいクロス対応を強いる場面が減少。サイド攻撃は出来ているが、相手の最終ラインを揺さぶるような重心を崩しながらのサイド攻撃ができていないのがボール保持が機能しなくなった原因の1つである。
その結果、割を食っているのがサイドから仕掛けの役割を担う選手たち。ククレジャ、マーチ、ランプティといった選手たちはいずれも大外から仕掛けることができるワイドプレイヤーではあるが、止まった状態ですべてを解決できるほどプレミアで図抜けた存在とはいえない。
そのため、周囲のサポートもなく突破を求められる状況になってしまうと、機能性が低下してしまう。彼らにとっては過剰な負担になっているといわざるを得ない。
この保持での不具合をリカバリーできる要素がないのが彼らの悩みである。高い位置からのプレッシングで攻撃の機会を確保することも難しいし、カウンター対応で粘り切れる機動力があるわけでもない。もちろん、少ないチャンスをゴールに変えてくれるストライカーもいない。魔法は使えないのである。
ならば、負荷を下げるには本来の持ち味である保持におけるオフザボールの動きを復活させるしかない。それがブライトンがワイドプレイヤーの重荷を取り除いてあげられる現状唯一の手段といっていいだろう。
■下地はできているはず
ブライトンほどではないがアーセナルもいい流れに乗れているとは言い難い。最大のトピックはここに来てじわじわと増え始めている怪我人である。長期の離脱となっている冨安に加えて、ティアニーが膝の手術を行い、シーズンいっぱいの離脱がほぼ確定。トーマスも少なくとも数週間の離脱は避けられない。古傷なのだから無理はさせられないはずで、今季戻れるかどうかといったところだろう。
もともと少数精鋭で押し切る冬の移籍市場を見送ったアーセナル。したがって、ロコンガやタヴァレスという今年の頭に課題を露呈した新戦力に期待がかかる状況になっている。
ロコンガに関しては個人的には明るい展望がないわけではない。以前出場した時に比べると右サイドのサカやウーデゴールを中心にサポートが期待できる状況。トーマスのパフォーマンスが好転したのは彼自身のパスワークだけでなく、周囲が彼に前を向かせることができるメカニズムを構築できたからというのも大きい。ビルドアップの仕組みは春先にかけてさらに整備されている。
序盤戦では前を向き、プレッシャーがない状況ではのびのびとしたパフォーマンスを披露したロコンガ。さすがにフィルター役としては物足りなさが残るのは避けられないとは思うが、保持で持ち味を出せる下地は整ってきたはずである。後は自分次第だ。
一方のタヴァレスにはより多くの課題が待ち受ける。ティアニーと比較して最も不安なのはクロス対応だ。強気に守備に出ていく右サイドのフォローのため、ガブリエウが右にスライドして強気のカバーに出ていくのはアーセナルの守備では日常茶飯事。それを可能していたのは絞ってクロスに対応できるティアニーの存在があってこそだ。無論、タヴァレスにティアニー水準の物をいきなり求めるのは酷。だが、パレス戦のように競ることすらできないというのは勘弁である。
保持においては時間が解決してくれる部分もあるだろう。試合勘も使えばついてくるはず。問題は早い時間での交代が続いている故のメンタル面である。まずは出場時間を延ばし、自信を取り戻しつつ攻撃の連携構築のチャンスを勝ち取りたい。そのためには最低限の守備のノルマをクリアする必要がある。
ここから増えるトップハーフとの対戦では、ロコンガのフィルター能力に不安があるCHからジャカを動かしたくはないはず。タヴァレスが定着するかどうかは中央の攻守の機能性担保にも大きくかかわってくるだろう。
もっとも問題は彼ら2人だけではない。前線や2列目、CBのパフォーマンスもパレス戦ではひどいものだった。フレームはしっかりしているけども、生きていないという状況はトンネルの中にいるブライトンと同じである。監督が笛吹いても踊らない状況では意味がない。
トーマスのような魔法が使える選手はいなくなってしまったが、それでもチームとしての下地は出来ているはず。同じく魔法を使えずに苦しんでいるブライトン相手にパフォーマンスを戻し、悪いニュースを吹き飛ばす3ポイントを何とか確保したいところだ。