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「入れ替えた分だけ変化」~2019.1.13 アジアカップ グループステージ 第2節 日本×オマーン レビュー

 アジアカップも第2戦目。日本が2戦目に戦う相手はオマーン。割とオマーンとは戦っているイメージはあったけど、公式戦で最後に対戦したのは2012年だった。親善試合は2016年にやっているけど。FIFAランクは82位で、これはウズベキスタンより高い順位。昨年1月に開催されたガルフカップ(ペルシア諸島各国が参加するカップ戦)の決勝ではザッケローニのUAEを下し、中東王者の称号も手にしている。そんな大会あったんだね。アジアカップの参加は4回目だが、過去にグループステージ突破の経験もない。ついでに言えば日本に勝ったこともない。
 監督はJリーグでも指揮経験のあるファーベーク。オランダ仕込みのサイドアタックでオマーンを中東王者に導いている。大黒柱であるGKアル・ハブシは負傷欠場なのが残念。見てみたかったぜ。以上がSoccerKing仕込みのオマーン情報。
 
 トルクメニスタンに勝利した日本だが、課題は多い試合運びだった。特に前半はトルクメニスタンが圧縮していた中央に特攻し、カウンターを浴びるシーンが頻発。相手の精度に助けられたシーンも目立った。今節は前の試合であまり機能していなかったボランチに発熱していた遠藤が復帰。そして攻撃での依存度が高い大迫も欠場。代わりに入った北川航也は存在感をアピールする大きなチャンスを得ることになった。

 スタメンはこちら。

画像1

目次

【前半】
レイヤー間移動で縦に揺さぶる日本

 前節はCHとCBでボックスを作るタイプのビルドアップだったが、この日の日本のビルドアップはCH1枚が最終ラインに落ちる形。主に遠藤が落ちるパターンが多かった。オマーンのブロックは4-4-2で迎え撃つ形であり、日本は数的優位。日本のビルドアップ隊はゆったりボールを回すことができていた。主に横に揺さぶってオマーンの2人のプレス隊の脇から前に進む。最終ラインからのパスの供給先は主に2か所。積極的な裏抜けを見せる南野とワイドに張る堂安だ。前者はラインコントロールの駆け引きを実施。オマーンのDF-MF間を広げるフリーランを続けていた。後者はワイドからドリブルでカットイン。対面相手に苦戦したトルクメニスタン戦とは異なり、開始直後にドリブルで決定的なチャンスメイクをしていた。オマーンは2列目の4人が日本のSBやCH、南野が降りたり上がったりするレイヤー間を移動する動きについていくかの判断が個々にゆだねられており、日本はオマーンの選手が動いて開けたスペースを利用して前進することができた。オマーンの2列目をおびき寄せて、選手間のスペースを開けさせることで、日本は南野と堂安以外の前進の手段も得ていた。
 PKを獲得したシーンは典型で中盤に降りた南野が、上がりながらオマーンのCHを引き付けてスペースメイク。最後はDFを出し抜いてGKとの1対1に持ち込んだ。

画像2

 オマーンはCBがタッチライン付近まで開くビルドアップ。中盤は最終ラインまでは降りてこず、台形のような形のビルドアップになった。前進の仕方は、前線へのロングボールがメイン。ただ吉田と冨安相手にボールを収めることは難しく、前進には苦労していた。日本のミスからみでシュートチャンスはあったが、再現性のある形でのチャンスメイクにはなかなか至らないという展開になった。

 オマーンが流れの中で作ったチャンスの中で印象的だったのは44分のシーン。スローインから日本のCHがスライドしたスペースを利用された場面。頻度は高くはなかったが、抜けられて逆サイドへの展開を許してシュートまでいかれてしまった。柴崎の対応が中途半端になってしまったか。

 前半の日本で印象的だったのはその柴崎のパートナーを務めた遠藤だろう。カウンターの芽を摘んで、そのまま縦にキーパスを出したり、最終ラインからビルドアップのボールを引き出したりなど、存在感はかなり高かった。24分の原口のロストをリカバリーしたシーンは非常にレベルの高いプレーだったと思う。

【後半】
やり方を変えない両チーム

 後半も流れとしては同じスタートに。オマーンは前線からのプレスよりもややFWが後ろ目に位置し、MFとの距離を詰めているように見えた。特に右サイドはタイトに。堂安と酒井は前向かせないぜ!って感じ。これにより、前半よりは日本は間のスペースでボールを持つ機会は減っていった。最終ラインは相変わらず余裕をもってボールを持てるので、最終ラインから長いボールが出る機会が増えた。ただ、日本の前線には大迫は不在であり、交代で入ってきた武藤も含め、ボールを収めることに長けているタイプの選手はいないので、前半よりもボールの行き来が多い展開になった。

 オマーンの意識が高まったと感じたのはロングボールからのセカンドを拾う部分。ロングボールは収められないけど、その先を拾う!みたいな。それだったら交代選手はMFかな?と思ったけど、オマーンは2トップに変更後、FWを入れ替える方策を取ったので、割と競り合いの主導権の方もあきらめてなかったのかなと思ったり。

 ボールの行き来が多くなる展開で効果的だったのは伊東純也を日本は終盤に投入。しかしながら、割と追いつかれる場面もあったので、交代出場でオマーンのバックスも足速いんだなと。

 日本もオマーンもこの試合を通して大まかな形やテンポを変えずに戦っていたと思う。リードして時間は経過していても、ドリブルでつっかけてネガトラ食らう場面は割とあったし。南野だけはプレーを完結させることを前提にしてたプレーに終始していたように思う。そういう意味では大迫と並んで、彼もまたこの代表に不可欠な存在なのだろうと思う。

 日本も攻められず、オマーンも攻められず。試合はそのまま1-0で日本の勝利で幕を閉じた。

まとめ

 オマーンとしてはどこから前進したいのかわかりにくいところ。ロングボールは収まらず、サイドでも優位性を出せずに終わってしまった。サイドの浅いところからのアーリークロスのパターンもあったけど、有効打になったのは前後半合わせて2,3回くらいだったと思う。前半に比べれば後半の日本への対応は進んでおり、そこは改善を感じたけど、点を取るための明確な武器が不足していたように感じた。

 オマーン以上にテンポが変わらなかったのは日本。ボランチのネガトラ時の対応はトルクメニスタン戦よりは良くなったように思うけど、やり方を変えたというよりは、単純に遠藤が入ったことで改善としたという要素が大きいのではないか。大まかにはウルグアイ戦やベネズエラ戦での戦い方を中島抜きでやってるような印象。MF-DF間でパスを複数つないで、最終局面を攻略!みたいな。大迫と中島が不在の分、この試合はそこのクオリティは落ちていた。南野と北川は割と裏への意識が強くて、DF-MF間を広げるのに貢献していたようには見えたけども。良くも悪くもきっちり選手が入れ替わった分だけの変化に終始したように思う。

 ウズベキスタン戦の次はどこと当たっても強豪っぽい感じになってしまった日本。この日本の強さを測れるのはノックアウトラウンドに入ってからだろう。例えば伊東や北川、武藤を生かしてもっとスピードに舵を切るとか。そうなるとボランチがトランジッションに耐えられるかとかは気になるところだけど。ウズベキスタン戦はメンバー代わるようなので、そこでモデルチェンジの要素が出てくると面白いかもしれない。

試合結果
アジアカップ グループステージ 第2節
日本 1-0 オマーン
ザイード・スポーツシティ・スタジアム
【得点者】
28′ 原口(PK)
主審: モフド・アミル・イズワン・ビン・ヤーコブ

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