10人の45分を耐え凌いでの逃げ切り
立ち上がりから目立っていたのはチェルシーの激しいチェイシングのスタンスだ。前線のジャクソンが追い回す形はもちろんのこと、自陣に戻る形におけるギャラガーの挟みこみなど非常に精力的なプレスを行っている。ムドリクのタックルなどファウルになるようなものもあったが、彼らのスタンスをよく表しているといっていいだろう。
そんなチェルシーに対してブライトンはポゼッションから迎撃。全体的に前がかりな状況を利用して、レイオフを使って列移動するギルモアや、ムドリクの背後のスペースを使うように低い位置からボールを引き出すブオナノッテによって、ボールを前に進めていく。試合はこのようにブライトンがボール保持でチェルシーをいかに攻略するかの立ち上がりとなった。
チェルシーのプレスには問題なく対応できる様子だったブライトンだが、ボックス付近にボールが入ると「誰がやろうか?」という迷いが感じられる。とりあえずボールを預けられる三笘もマーチも不在のこの日の先発であると、最後の局面の崩しの軸がぼやけてしまうのはこの日の彼らの課題であった。
ボールを奪った後のチェルシーは直線的なスタイルに全く迷いがない形となっていた。スターリング、ムドリク、ジャクソンの3人の槍のような攻め筋から縦に速いアクションで反撃に打って出る。
ポゼッションのブライトン、カウンターのチェルシーとかなりはっきりしていたすみわけだったが、先制点はセットプレーから。アクロバティックな折り返しからエンソが先制ゴールをゲット。
さらにチェルシーは立て続けにセットプレーから追加点を決める。コルウィルのシュートはギリギリゴールラインを超えて4分ぶりに2得点目を挙げる。
チェルシーがスコア的に優位を積み上げていくが、ブライトンは前半のうちに反撃。左から右への横断で進撃すると、ミドルシュートを仕留めたのはアディングラ。コルウィルは間合いが遠く、シュートを防げる立ち位置をとることができていなかった。
さらに前半終了間際にはチェルシーにさらなる追い討ちが。対応の遅れたギャラガーがタックルで2枚目の警告を受けて退場。リトリートしての守備意識が悪い方に転がってしまった。
4-4-1で後半はボックス内に構えるチェルシー。ブライトンが一方的にボールを持つ展開が続いていく。押し込むフェーズが続くブライトンだが、決め手にかける状況も継続。見かねたデ・ゼルビは4枚替えで主力を投入する。
左サイドに三笘を入れたブライトンは同サイドでの仕掛けと逆サイドのSBの裏を狙ったクロスを使い分けながらゴールに迫っていく。確実に攻撃の中心になっている三笘だが、短い時間の仕掛けの割には少し威力が物足りないところがある。やはりコンディションが苦しい。
押し込まれるチェルシーはワンチャンスからムドリクがPKを奪取。両軍にとってこのPKは大きな1点だった。2点のセーフティリードを確保する。
後半追加タイムにジョアン・ペドロの追撃弾を決めるが、反撃もここまで。10人ながらも45分を凌ぎ切ったチェルシーが逃げ切り勝利を決めた。
ひとこと
ムドリクの3点目きっかけのPKはデカかった。大仕事。
試合結果
2023.12.3
プレミアリーグ 第14節
チェルシー 3-2 ブライトン
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:17‘ 65’(PK) エンソ, 21‘ コルウィル
BHA:43’ ブオナノッテ, 90+2‘ ジョアン・ペドロ
主審:クレイグ・ポーソン