バーンリー【19位】×ルートン・タウン【18位】
上げ続けた山なりクロスのいく末
降格圏に位置しながらも逆転残留に向けて少しずつ明るい材料の見えてきた両チームの一戦。重要なシックスポインターである。
縦に速いアバウトな展開でスタートした立ち上がり。両チームともにプレスの意識は高いが、保持側がミスマッチを生かして後方からの繋ぎでボールを動かすことでこのプレスを回避していた印象である。
しばらくすると、ボールを持ちながら押し込むようになったのはルートン。幅を使った攻撃からWBにフリーでボールを渡してクロスのお膳立てをする。前節チェルシーを追い込んだ得点パターンからルートンは得点を狙う。
しかしながら、バーンリーのサイドの寄せは非常にタイト。特にダウティーに対してのプレスは厳しく、チェルシー戦のような鋭いクロスを許さない。山なりのクロスであれば十分に跳ね返すことができるバーンリー。サイドに人を集めてのスライドでクロスを上げさせないことと、バックラインの押し上げでバイタルからのミドルを許さないことの両立は見事。素晴らしい精度の4-4-2のブロック守備だった。
ブロック守備で手応えがあったバーンリーは押し込むフェーズでも違いを見せる。サイドに流れるフォスターとインサイドに入り込むグズムンドソンの列交換はルートンにとっては厄介。バーンリーのSHは幅を取るスタイルの選手が多いが、インサイドでのプレーが多いグズムンドソンは異色の存在感を放っていた。
先制点を奪ったのは上手にハイプレスを誘ったバーンリー。降りる前線にすかさず縦パスを入れたトラフォードにより、オドベールの1on1の形を作ることに成功。ここの仕掛けから最後はアムドゥニが仕留めて先制する。
後半も前半と同じくクロスから反撃に出るルートン。前半に比べると、逆サイドに流れるタウンゼントなどポジションを乱しながらフリーでクロスを上げるための工夫が施されている後半となった。
しかしながら、バーンリーのサイドの封鎖は後半も見事。大外で追い越す関係性を作ったルートンの変化も悪くはなかったが、バーンリーのブロック守備がギリギリ踏みとどまっていた印象だ。
ロバーツの投入で5バック+ロングカウンターへの割り切りを早々に見せたコンパニ。押し込むルートンは必死に解決策を探すが、なかなかゴールまで辿り着けず。
しかしながら、ルートンは後半追加タイムに同点に。左サイドのダウティーのクロスをモリスが合わせてゴール。バーンリーからすれば、ダウティーにはこのシーンも山なりのクロスを上げさせたし、十分にインサイドに対応できる時間を与えたと思う。が、飛び出したトラフォードはアデバヨにブロック。ファウルは取られることもなかった。
終盤まで上手く試合を制御しながら土壇場で失点を許したバーンリー。ルートンからすれば1ポイントをなんとか掬い上げた一戦となった。
ひとこと
バーンリー、惜しかった。アデバヨのあのプレーは個人的にはファウル判定が妥当かなと思ったが。
試合結果
2024.1.12
プレミアリーグ 第21節
バーンリー 1-1 ルートン・タウン
ターフ・ムーア
【得点者】
BUR:36‘ アムドゥニ
LUT:90+2′ モリス
主審:トニー・ハリントン
チェルシー【10位】×フラム【13位】
2試合連続の冷や汗逃げ切り劇
両チームの2024年のリーグ初戦はウェスト・ロンドン・ダービーでの開幕。ボールを持ったのはチェルシー。アンカーを管理してくるフラムの4-4-2の2トップに対して、カイセドの横に誰かを置く形で対抗。クロースのように最終ライン付近まで降りてくるエンソをメインに、ギャラガーやパルマーといった面々がアンカーのサポートに出てくる。
フラムはこのチェルシーのポゼッションに対してプレスに出ていけるかが高い位置でプレーできるかのポイント。パリーニャのボールハントが間に合う範囲であれば、高い位置からボールを奪ってのカウンターも視野に入る流れだった。ただし、CBの縦パスへの迎撃はリバプール戦に比べると処理が怪しく、チェルシーがチャンスを迎えることもしばしばだった。
ボールを奪うとフラムは左右のサイドから攻め込む。右サイドは大外に開くウィルソンを経由してペレイラのハーフスペースの裏抜けからチャンスメイク。左サイドはウィリアンをロビンソンが追い越す定番の形。27分の左サイドの連携からファーのウィルソンまでクロスが届いた瞬間が前半の最も大きなフラムの決定的なチャンスだった。ペドロヴィッチに止められたけども。
チェルシーはボール保持では苦戦。むしろ、即時奪回からのカウンターに出ていく方が得点の可能性を感じることができた前半だった。特にしんどそうだったのは左サイド。エンソは低い位置への意識が高く、コルウィルも攻め上がることができない。スターリングは1on1の形を作ってもチャンスに繋げることができない。パルマーが縦パスを引き出すために中央に顔を出し(外ではグストが上がる)ていた右サイドの方が可能性を感じる。
そんな右サイドにスターリングが顔を出したところからチェルシーは先制。縦パスを受けたスターリングをディオプが慌てて倒してしまいPKを献上。前半終了間際でチェルシーがリードを掴む。
後半は前半と陸続きの内容。バックラインからボールを繋ぐチェルシーに対して、フラムがそれを跳ね返す構図は後半も続いていく。左右に動くブロヤは右サイドのローテに入るなど、前半よりも行動範囲を広げた印象。ボールの預けどころとして地味ながらも機能していた。
トランジッションでもチェルシーは優位。ウィリアンのタックルをかわしながらカウンターに出ていくエンソ、積極的なタックルでカウンターの起点になったギャラガーなどは強度の面でチェルシーを支えていた。
フラムは攻撃に出ている場面でもカウンターを完結できずにさらにピンチを招いてしまう。ボックス内での守備の精度でなんとか踏ん張っている時間が続く。チェルシーは右サイドにマドゥエケを投入し、カウンターの起点として試合を仕留めにかかるが、なかなか決定打となる2点目を決めることができない。
流れが変わったのは72分のフラムのカウンター。チェルシーはうまく外に追い出すように守れたかと思われたが、逆サイドのヒメネスまで苦し紛れのクロスが届いたところから流れが変化。これ以降、ウィリアン、ペレイラ、ヒメネスの3枚からカウンターでチャンス構築ができるように。
ここからフラムが主導権を握る終盤戦に。パリーニャに代わって入ったルキッチが試合に入れなかったのは残念だったが、ボックス内の空中戦を中心にチェルシーを脅かすことに。
ルートン戦に続き1点リードを冷や汗をかきながら守る展開になったチェルシー。しかしながら、この修羅場を凌ぎきりなんとか連勝を達成した。
ひとこと
終盤でカウンターの精度が上がるフラムのベテラン勢、ちょっと意味がわからなかった。
試合結果
2024.1.13
プレミアリーグ 第21節
チェルシー 1-0 フラム
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:45+4′(PK) パルマー
主審:アンソニー・テイラー
ニューカッスル【9位】×マンチェスター・シティ【3位】
途中交代選手がスリリングな逆転劇を演出
直近のリーグ戦で3連敗と負けが込んでいるニューカッスル。スカッドも怪我人だらけのこのタイミングでホームに迎えるのはマンチェスター・シティである。
というわけで普通ではいられないニューカッスルはオールコートマンツーを選択。高い位置からボールを奪いにいく。シティもこのアップテンポに非保持でもお付き合い。その結果、オフサイドディレイの裏抜けからエデルソンが負傷交代とするというやるせない展開となってしまった。
交代で入ったオルテガはロブパスを落とすのは上手いが、ショートパスでの組み立てと矢のようなフィードはエデルソンほどではないという感じ。ハーランドがいない状況もオールコートマンツー攻略には不安が残る一因である。
しかしながら、WGのインサイド集結(おそらく、エデルソンの負傷時にグアルディオラがドクと話し込んでいたのはこの件だろう)と大きく動くベルナルドによって、ニューカッスルのハイプレスのターゲットをぼやかすことに成功。インサイドに入り込むドクから大外を独走するウォーカーからの折り返しをベルナルドがおしゃれに仕留めて先制する。
裏抜けもやや単調になり、中盤もプレスの意欲を失いつつあったニューカッスル。先制ゴールによって一気に流れがシティに傾くこともありえた。しかしながら、自陣でのミスからシティがピンチを迎えると流れはニューカッスルに。ギマランイス起点のロングカウンターから最後はイサク。わずかなコースと一瞬のタイミングでのシュートチャンスを注文通りにゴールマウスに叩き込み、ニューカッスルは試合を振り出しに戻す。
さらに2分後にはゴードンがカウンターから追加点。ウォーカーの止める位置が低くなってしまい、ゴードンをシュートを打てる間合いに引き込んでしまったのはまずかった。
それでもライン間のフォーデンという攻め筋は生きているシティ。ここから左のドクにボールを当てるが、なかなかCK以上の結果を出すことができない。プレスとカウンターに専念しているニューカッスルはエネルギーが充実。時間の経過とともに上がる観衆に背中を押されて勢いは増すばかりだった。
ベンチに計算できる選手がいないニューカッスルはひとまず撤退することでシティにボールを押し付けていく。本来であればハイプレスで押し切りたいところだろうが、そうするためのガソリンは残っていないということだろう。コンパクトにライン間を閉じながらブロック守備を行う。それでも後半も無限にライン間を使われていたけども。
シティはロドリ→ウォーカーの大外からの加速など前半以上にゴールに迫る形を作り出すように。ただ、基本的にはカウンターの方が有望。ガス欠で成立しないニューカッスルのカウンターを刈り取る形で縦に速くゴールに向かう。ニューカッスルは命からがらCKに逃げる場面が増える。
60分付近からトランジッション色が強まるこの試合。前半ならばニューカッスルもありがたかっただろうが、スタミナが残っていない後半はただただシティに殴られるだけであった。
それでも自陣で踏ん張っているニューカッスルを前に降臨したのはデ・ブライネ。解放されていたライン間からあっさりと同点ゴールを奪うと、終了間際にはボブの決勝点をロブパスでアシスト。フィニッシャーとチャンスメーカーの両面で存在感を遺憾なく発揮したデ・ブライネにより、セント・ジェームズ・パークは沈黙。途中交代選手によって演出されたスリリングな逆転劇だった。
ひとこと
片道切符のプランだったニューカッスルにとってはもう追いつかれて以降は1ポイントを死守できるかどうかの戦いだった。それを潰したシティが素晴らしかった。
試合結果
2024.1.13
プレミアリーグ 第21節
ニューカッスル 2-3 マンチェスター・シティ
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:35′ イサク, 37′ ゴードン
Man City:26′ ベルナルド, 72′ デ・ブライネ, 90+1′ ボブ
主審:クリス・カバナフ
エバートン【17位】×アストンビラ【2位】
ド派手なスコアレスドロー
ホームのエバートンはやや後ろが迫ってきている警戒水域。対戦相手のビラは2位をキープしているものの、特にアウェイではなかなか成績が安定していない。
立ち上がりにペースを掴んだのはホームのエバートン。勢い十分のプレッシングからボールを刈り取り、奪い取ったら一気に縦に進んでいく。サイドの裏をとってクロスを上げる形でビラのボックス内を攻め立てていく。
少し気になるのはビラの右サイドの守備。10分のマイコレンコ→ダンジュマの縦パスのように、やたらと不自然にコースが空いている時があった。
アストンビラにとってはプレスに来るエバートンのスタンスはスペースを見つけやすいはずだが、序盤から苦戦ムード。キックオフから降り続ける雨の影響もあったかもしれない。
ようやく12分にワトキンスが抜け出すシーンが作れると(このシーンは押し込まれながらもエバートンがよく管理していたと思うが)、ここからペースを掴み縦パスを刺していけるように。17分にはセットプレーからモレノがネットを揺らすが、これはオフサイド判定で取り消しになる。
ビラが調子を掴んだのと同じくして、エバートンは単調なカウンターによりアストンビラの得意な守備パターンにハマることでペースを掴めずにいた。前半追加タイム付近のキャルバート=ルーウィンの抜け出しは千載一遇のチャンスだったが、キャルバート=ルーウィンとマルティネスの今季のパフォーマンスを象徴するように、マルティネスのセーブであっけなくチャンスは防がれる。前半はスコアレスでの折り返しとなった。
後半、引き続きボールを持つ側となったアストンビラ。ラングレのキャリーやディアビのハーフスペースの裏抜けなど、細かいアクセントをつけることができていた。
エバートンがなんとか踏ん張っていたのはカウンター対応のところ。ガーナー、ブランスウェイトと冷静な対応でピックフォードを過度な危険に晒すことなく、なんとか踏ん張ることができるように。
終盤はオープン合戦の様相を呈した両チーム。左サイドを軸にビラがクロスからチャンスメイクを行う。サイドからのクロスに2トップの一角として入ったデュランが合わせるシーンが出てくるが、なかなかネットを揺らすことができない。
ビラがチャンスをフイにしていると、オープン合戦という状況に徐々にエバートンが乗っかり始める。中盤が間伸びしたまっさりとした展開において、少しずつエバートンにもチャンスが巡ってくるようになった。
最後のオープン合戦でのシュートの撃ち合いはスコアが入らないまま試合は終了。終盤のオープンなチャンスを活かせずの痛み分けに終わった。
ひとこと
かなりド派手なスコアレスドロー。
試合結果
2024.1.14
プレミアリーグ 第21節
エバートン 0-0 アストンビラ
グディソン・パーク
主審:デビッド・クート
マンチェスター・ユナイテッド【8位】×トッテナム【5位】
オープンな展開を押し切る決め手が不在
離脱者の帰還とAFCON、アジアカップへの送り出しに伴う新しい離脱者の両方が目立つメンバーとなった両チーム。ともに苦しいやりくりではあるが、なんとかメンバーを揃えてきた。
序盤はアップテンポなスタート。ハイプレスを基軸にこのプランを扇動しているのはユナイテッドの方だったと言えるだろう。その甲斐あって3分には先制ゴールをゲット。オナナの素早いリスタートをベースに右サイドから左サイドに横断するようにボールを動かし、最後はこぼれたところをホイルンドが押し込んで先制。ヴィカーリオを撃ち抜く豪快なニアへのショットでユナイテッドが先行する。
この先制点以降も、ユナイテッドはファストブレイクからの素早い攻め上がりと逆サイドへの横断を組み合わせた形で前進。ガルナチョやラッシュフォードがトッテナムのSBに対して優位をとれたことで横断の効果はさらに増すこととなった。
トッテナムは少しサイドの崩しの甘さや低い位置でのビルドアップにおける盤面の整理ができていなかった印象。悪くはないが、ユナイテッドに比べれば少しボックス攻略の設計図はぼやけていたかもしれない。
しかし、トッテナムはセットプレーから同点。ごちゃっとしたところからリシャルリソンが仕留めて早い段階で追いつくことに成功する。
それ以降は後方の盤面を整えることで少しずつ安定した前進を見せるトッテナム。ユナイテッドの2トップの誘導を外す形でCBが持ち上がりを見せているあたり、後方からの押し上げが非常にクリーンになっていた。
少しずつトッテナムがペースを引き戻していたが、ユナイテッドはプレス&横断の流れで展開を強引に取り戻す。この形でやり切ったユナイテッドは40分にラッシュフォードのゴールで勝ち越し。前半をリードで折り返す。
リードを奪っているユナイテッドは後半も強気のプレッシングを継続。トッテナムはこのプレスを真っ向からひっくり返す形で一気に前進。中盤に差し込まれたスキップへのパスから大きく縦に運ぶ。左サイドにタメを作ると、ここに飛び込んだベンタンクールがシュートを決めて試合を振り出しに戻す。
以降もプレスを続けるユナイテッドだったが、トッテナムのプレス回避が上回る。ラッシュフォードが逃がしたポロが自由に右サイドを動き回り、サイド攻略の起点になっていた。
だらっとトッテナムの優位が続く後半だったが、70分以降に前半と同じく展開はフラットに変化。前線の交代カードが少ない両チームのスカッド事情に起因する停滞感でどちらのものでもない時間帯が流れる。ヴェルナー→ヒルがトッテナム唯一の前線の交代カードだったが、後半頭の押し込める時間帯はヒルのように止まれる選手が欲しかったし、70分以降の差し込みあいとなる展開ならば、直線的に走り込めるヴェルナーの方がベターのように思えた。少し展開と選手のキャラクターがミスマッチだったように思う。
ユナイテッドは後半追加タイムにマクトミネイが前線の飛び込む形で決定機を迎えるが、このチャンスを生かすのに失敗。クラッチシューターとして活躍してきたマクトミネイはこの日のヒーローになることはできなかった。
試合はそのまま終了。オープンな展開に決め手を欠いた両チームの一戦は痛み分けで幕を閉じた。
ひとこと
少しずつ怪我人が戻ってきているのは好材料だが、クルゼフスキの病欠はトッテナムにとっては痛かったように思える。前線、勝利にはもう1枚分足りない感があったトッテナムであった。
試合結果
2024.1.14
プレミアリーグ 第21節
マンチェスター・ユナイテッド 2-2 トッテナム
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:3′ ホイルンド, 40′ ラッシュフォード
TOT:19′ リシャルリソン, 46′ ベンタンクール
主審:ジョン・ブルックス
アーセナル【4位】×クリスタル・パレス【14位】
困った時の味方とロングカウンターでゴールショーを演出
レビューはこちら。
リーグ戦では3試合勝ちがないアーセナル。2024年の初戦で悪い流れは断ち切りたいところである。
序盤戦はどちらも落ち着かない展開。それなりに保持の設計図は見られるのだが、手前の段階でのパスミスが多いせいで敵陣深くまで入り込むことができない。
流れの中からのチャンスができない時の味方といえばセットプレー。CKから先手を奪ったのはアーセナル。ファーに流れるガブリエウが対面のリチャーズに競り勝ち、先制ゴールを文字通り叩き込む。これ以降はビハインドを取り返すべくプレスに出てくるパレスに対して、アーセナルがプレスを回避しながら前進するシーンが目立つ。ライスとジンチェンコを捕まえる意識が強かったヒューズとレルマに対して、SBのホワイトを噛ませながら彼らの背後を狙う形で加速。アタッキングサードまで侵入するスキームを確立する。
アタッキングサードでの精度はあまり向上が見られなかった前半のアーセナル。しかしながら、困った時の味方であるセットプレーからさらに追加点。結果的にはヘンダーソンのオウンゴールとなったが、実質的にはこれもガブリエウのゴールと言っていいだろう。
パレスはマテタ、エゼから少しずつ反撃の隙を狙っていくが、アーセナルのバックラインの前に沈黙。セットプレーでの2点を跳ね返せないままハーフタイムを迎える。
後半の立ち上がりに押し込んだのはアーセナル。後方からの追い越す動きが増えるなど、オフザボールの動きが活性化。前半よりは期待感のある、押し込んでからの攻撃を見せていく。
パレスもエゼとマテタを軸とした攻撃が前半以上に刺さるように。サリバ、ホワイトといった右サイドを軸に押し下げるシーンが目立っていく。
アーセナルはプレスで跳ね返すのではなく、この攻勢を受け止めてロングカウンターに注力。そして、ラヤのリスタートから3点目をゲット。トロサールとジェズスの2人でカウンターを素早く完結して見せた。これ以外にもハヴァーツを目掛けたロングボールからチャンスを作るなど、ラヤを使った攻撃はかなりこの試合ではフィーリングが良かった。
これ以降もロングカウンターから交代選手を軸にパレスを押し切るアーセナル。まるでリプレイのような角度から後半追加タイムにファストブレイクから2点を決めたマルティネッリがゴールショーのトリを飾り、アーセナルはリーグ戦の未勝利を3で止めることに成功した。
ひとこと
パレスファンの抗議の弾幕を眺めるホジソン、あまりにも画になりすぎる。
試合結果
2024.1.20
プレミアリーグ 第21節
アーセナル 5-0 クリスタル・パレス
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:11‘ ガブリエウ, 37’ ヘンダーソン(OG), 59‘ トロサール, 90+4‘ 90+5’ マルティネッリ
主審:ポール・ティアニー
ブレントフォード【16位】×ノッティンガム・フォレスト【15位】
ストライカーが順々に覚醒した撃ち合い
ついにブレントフォードのメンバー表にはトニーの名前が。ムベウモの負傷、そしてウィサのAFCONによりカツカツもカツカツになっていたブレントフォードの前線には助かる以外の何者でもない復帰である。
しかしながら、先に主導権を握ったのはフォレスト。高い位置からのプレスから敵陣で圧力をかけて押し込むと、ボールを奪った流れからダニーロが仕留めて3分で先制。相対的におとなしい流れになったブレントフォードに先制パンチをくらわせる。
失点で尻に火が付いた感があるブレントフォード。プレスの強めることによって少しずつ高い位置でのプレータイムを増やしていく。パス交換からダニーロをおいていく形で侵入したダムズゴーはファウルを奪うと、このFKを仕留めたのはトニー。フォレストの壁の薄いところを鋭い弾道で撃ち抜き、復帰後初ゴールをゲット。試合を振り出しに戻す。
以降もトニーは存在感抜群。ロングボールのターゲットとしてボールの預けどころとして機能するのはもちろんのこと、セットプレーからファーサイドに合わせる形で決定機を生み出すなどあらゆる局面で活躍。ギブス=ホワイト不在で前線に預けどころのないフォレストとは対照的だった。
前半の終盤はプレッシャーの弱いSBからボールを進めることでフォレストが前進。スペースがある中でタヴァレスがスイスイドリブルを行う。しかしながら、ここからゴールまでの道のりはなかなか開かず。試合は1-1のタイスコアで前半を折り返す。
後半もフォレストはボールを持ちながら押し込んでいくスタート。しかしながら、トニーが前半に引き続き存在感を発揮。右に流れながらロングボールの起点になり、左サイドからボックス内に飛び込むルイス-ポッターのチャンスメイクをする。
チャンスメーカーのトニーの存在によって押し込む機会を得たブレントフォード。セットプレーから勝ち越しゴールをゲット。ニアに入り込んだミーには誰もマークにいくことができず。あっさりとリードを奪う。
しかし、今度はウッドが躍動する番。セットプレーの流れから同点ゴールを奪うと、直後にクロスを華麗にポストし、マンガラのミドルをエスコートする。
このストライカーの覚醒の流れに乗ったのはモペイ。らしくない反転からの左足を振り抜くスーパーゴールで再びブレントフォードにリードをもたらす。
フォレストにはもう一度流れを引き戻す力は残っていなかった。縦に速い展開をブレントフォードがイケイケで行っていたため、速い攻撃を仕掛けられればチャンスをありそうだが、ギブス=ホワイトの不在が重石になりなかなか加速することができない。
最後の望みをかけたクロスも跳ね返されてしまったフォレスト。復活したトニーの大活躍でブレントフォードが久しぶりの勝利を挙げた。
ひとこと
トニー、ここから頑張って。
試合結果
2024.1.20
プレミアリーグ 第21節
ブレントフォード 3-2 ノッティンガム・フォレスト
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:19‘ トニー, 58′ ミー, 68′ モペイ
NFO:3‘ ダニーロ, 65′ ウッド
主審:ダレン・イングランド
シェフィールド・ユナイテッド【20位】×ウェストハム【6位】
10人で同点をもぎ取ったブレイズが勝ち点1を死守
もはや、勝ち点を拾っていくというよりはもぎ取っていくことをしなければ残留は難しくなっているブレイズ。そのために必要なのは得点。救世主候補のブレアトンはいきなり先発でのデビューとなった。
立ち上がりはアバウトに前に蹴っ飛ばす流れ。保持側は慎重にサイドの裏を取ることができればそこからクロスを上げていく算段だった。
注目のブレアトンは左サイドから先発。とはいえ、よりストライカー寄りの選手。保持時に絞ってプレーしたり、あるいは非保持で背後をブルックスに任せたりなど、この辺りは少し歪な対応に。ウェストハムはSHをSBが追い越す形でブレアトンの戻らないブレイズの左サイド側を突いてチャンスを作っていた。
加えて、ブレイズはバックスの対応が怪しい。バタバタとしたCBが被ってのピンチやソウザのパスミスなど、軽率なミスから簡単にウェストハムに決定的なチャンスを与えてしまう。
しかしながら、ウェストハムが盤石だったかと言われるとそういうわけではない。4-4-2気味だった分、中央の縦パスはスカスカ。ブレイズのポジトラのルートは割ときっちりと用意されており、反撃の算段は十分。惜しむらくはカウンターができそうな状況が揃っていても、走るタイミングが合わずに裏へのパスが繋がらない。
そうこうしている間にウェストハムは先制。ミドルシュートのこぼれ球を逆サイドのコルネが仕留めて試合を動かす。これ以降もウェストハムは主導権をガッチリと。押し込みながらいつ追加点が生まれてもおかしくない状況だった。
しかし、前半終了間際にブレイズが同点に。ボックスの外からなんとかボールをエリア内に押しこみ、オスーラが放ったシュートがアレオラの手からこぼれる。ここに飛び込んだのがブレアトン。44分のゴールでなんとか帳尻を合わせてハーフタイムを迎える。
後半もボールを持ちながらウェストハムの陣内に攻め込んでいくブレイズ。ウェストハムはボックス内を死守しているため、押されているという感じではないが、自分たちのペースをなかなか作ることができない。
基本的に後半の多くの時間は凪。どちらのチームもなかなかチャンスらしいチャンスを作れないまま時間が推移していく。
そうした流れの中で決定機を掴んだのはウェストハム。イングスのドリブルでハーマーのファウルを誘ってPKを獲得。これをウォード=プラウズが沈めてウェストハムがリードを奪う。ブレイズはハーマーの前のロビンソンの軽い対応が悔やまれる展開だった。
途中交代で入ったブリュースターの一発退場で試合は完全に決したかと思われた。ウェストハムはコーファルが2枚目のファウルで終了間際に退場すると、右サイドからマカティーが上げたクロスがアレオラのファウルを誘発してPKを獲得。治療の末、アレオラはプレー続行不可。代わりに入ったファビアンスキが守るゴールマウスをマクバーニーが破り、ついに同点に追いつく。
次のプレーではアフメドジッチにPK疑惑があったが、VARはこれをスルー。10人から土壇場で勝ち点を拾ったブレイズが1ポイントを死守した。
ひとこと
締まらない展開が凪になり、最後は激流になった試合。情緒が忙しかった。
試合結果
2024.1.21
プレミアリーグ 第21節
シェフィールド・ユナイテッド 2-2 ウェストハム
ブラモール・レーン
【得点者】
SHU:44′ ブレアトン・ディアス ,103′(PK) マクバーニー
WHU:28′ コルネ, 79′(PK) ウォード=プラウズ
主審:マイケル・サリスベリー
ボーンマス【12位】×リバプール【1位】
ジョッタの躍動から後半に畳み掛け成功
年末年始の過密日程を首位で乗り切ったリバプール。それ以降も立て続けに発生しているカップ戦では問題なく勝ち上がり。AFCONに向かったサラーとアジアカップに向かった遠藤を安心させている。
そんな2人がいなくなってからの初めてのリーグ戦となった今節。立ち上がりから攻勢をかけたのはボーンマス。再三の右サイドからの勝負でセットプレーも含めたチャンスを作る。
リバプールはここから脱しようとカウンターを狙っていくが、やや直線的に向かいすぎたか。ボーンマスに回収をされてなかなかこの流れを脱することができない。
まずはボールを持ちたいリバプール。だが、なかなか腰を据えて攻略するフェーズに取り組めず。そう言った場面においても直線的に前線にボールを当てる選択を積極的に選んでしまい、ゆったりとした保持からの攻略の形を作ることができない。
チャンスっぽいチャンスと言えば、直線的なアプローチで攻め切ることができた場合のみ。ただ、そう言ったシーンにおいてもリバプールは完全にボーンマスのマークを外すことができたわけではなかった。
ボーンマスもボーンマスでクリーンなチャンスを作れたわけではなかった前半。終盤に再びセットプレーの攻勢を迎えることができたが、ここも得点に結びつけることはできず。試合はスコアレスのままハーフタイムに突入する。
後半の開始直後はボーンマスが圧力をかけていく前半の焼き直しのような光景が見られたが、リバプールは早々に保持の盤面を取り戻す。中央に絞ったゴメスの押し上げからかなり支配的なポゼッションを見せる。
すると、先制点は非常にあっさりと決まることに。コナテの後方からのダイレクトなパスをカーティス→ジョッタと繋いで、最後はヌニェス。間を縫うように繋がるパスから抜け出したヌニェスが先制ゴールを決める。
以降もリバプールは支配的に保持で押し込む形を続ける。ボーンマスはカウンターなどなかなか押し返すきっかけを掴めずに自陣から脱出することができない時間が終わらない。
交代で入った選手が波に乗ってさらにリバプールを押し上げる。ライン間でスムーズにプレーができるガクポの投入はリバプールの攻撃を活性化。ジョッタのゴールをアシストする。
攻めあぐねるボーンマスに対してジョッタは79分にさらに追加点を奪い完全に試合は勝負あり。追加タイムはヌニェスがさらに得点を奪うなど、後半に一気に畳み掛けたリバプールが違いを見せつけて首位キープに成功した。
ひとこと
後半の畳み掛けのフェーズは見事。ジョッタ、いいねぇ。
試合結果
2024.1.21
プレミアリーグ 第21節
ボーンマス 0-4 リバプール
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:
LIV:49′ 90+3′ ヌニェス, 70′ 80′ ジョッタ
主審:アンディ・マドレー
ブライトン【7位】×ウォルバーハンプトン【11位】
縦パスから逃げずに押し込むブライトンだが
ブライトンのフォーメーションは少しわかりにくかったが4-4-2がベースになるだろう。少しわかりにくかったのは中央に人が集まるような構造のためかもしれない。
ウルブスが5-4-1で撤退した状態のためプレス隊は少ない。よってブライトンは後方をギルモア一人に任せて、グロスが少し前に出ていくことが多かった。
ブライトンのプランとしては同サイドの攻めきり+クロスが軸。サイドチェンジは少なめでクロスを出すポイントと受けるポイントの2つに人をかけていくイメージである。
ブライトンの攻撃に工夫があったのはサイドの浅い位置からインサイドに斜めのパスを差し込んでいたこと。中にスペースがあればすかさず縦につけていく形は流石のブライトンといったところだろう。
ウルブスは撤退からのロングカウンターがベース。しかしながら、少し陣地回復は苦しい展開に。そのため、2CHがインサイドを閉じながら少しずつ高い位置から跳ね返す意識を持って対抗することとした。この辺りはスティールをはじめとしてインサイドに刺す意識が強いブライトンとの相性は良かったと思う。
インサイドに差し込むフェーズで苦しんでいたブライトンだが、ブオナノッテやグロスといった面々がライン間に顔を出すことと自陣側にプレスを引き寄せる意識を見せて攻め込んでいく。押し込んでからのセットプレーも含めて展開としては明確にブライトンペース。ウルブスは単発で左サイドからカウンターで攻め返すが、なかなか決め手にかけており攻めあぐねる展開となってしまった。
後半、早々に決定機を迎えたのはウルブス。右の大外からのファストブレイクという形でいきなりブライトンを脅かしていく。プレス隊も4-4-2ベースで勝負しており、ブライトンのバックラインに対してはかなり厳しい意識で勝負をかけていた。これで前半のようなワンサイドペースはいくばくか解消された。
しかし、ブライトンは縦パスから逃げずに対抗。捕まってもサイドの裏に逃すことができるというワンタッチでのプレーでサイドにか立つことで無理なく前進。ボールをサイドから運んでいく。この時間帯はウルブスもカウンターからネトがサイドからボールを運ぶ場面があるなど、サイドから押し下げていく対決である。
後半も時間が経つとブライトンが押し込みながら勝負を仕掛けていくように。ウルブスは右サイドのカウンターにフォーカス。スティールに危機一髪と言えるような飛び出しを誘発させるなど、縦に速い攻撃でブライトンのハイラインを揺さぶっていた。
終盤は押し込むブライトンだが、決定打に欠いてしまいゴールを奪いきれず。優位に立った状況を活かし切ることができず、試合は痛み分けで幕を閉じた。
ひとこと
縦パスを差し続けることで見えてくるものがある!という感じのブライトンだった。
試合結果
2024.1.22
プレミアリーグ 第21節
ブライトン 0-0 ウォルバーハンプトン
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
主審:クレイグ・ポーソン