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「Catch up FIFA World Cup Qatar 2022 European qualifiers」~2022.3.24 欧州予選 プレーオフ準決勝 スウェーデン×チェコ~

■我慢比べを制したスウェーデン

 ナショナルチームは何か創造的なものを創出するというよりは、手元にあるリソースを活かしながら、どのようにボロが出ないかに注力するチームが増えた!というのが昨年のEUROを見た感想である。

 スウェーデン×チェコは特にそうしたナショナルチームの傾向が強く出た試合だったように思う。その中でも手堅さを見せたのはスウェーデン。WBを高く上げるチェコの3-4-3のスタイルに対して、2トップは中盤を封鎖。SHはワイドのCBとWBを両睨みしながら監視。チェコのバックラインに積極的にプレッシャーをかけることはしないが、ミドルゾーンから先に行かせない!という形で中盤に防波堤を築く。

 チェコはミドルゾーンでスウェーデンの壁にぶち当たり、むしろスウェーデンのショートカウンターからピンチを迎えてしまうという困難に。

というわけでチェコはロングボールを使いながらプレッシングを回避する選択をする。EUROを見る限り、シックがいない中で長いボールを収めるというのはチェコにとっては難題だった。それでも、スウェーデンに得をさせては意味がない。少なくともスウェーデンの中盤の包囲網が物理的に届かないロングボールならば、スウェーデンのショートカウンターのチャンスは摘み取ることができる。

 このチェコの振る舞いのように自分達がうまくできるかは別として、相手が得する状況を回避するというのはEUROで感じた代表チームらしいアプローチ。そして、試合展開に沿って色を変えることができていたチェコらしいアプローチであった。

 そして、スウェーデンは意外とこの対応に苦しんだ。セットプレーでの危機も含めて、PA内に押し込まれた状況においては意外とチェコには得点のチャンスはあったように思う。それ以外の形ではチャンスを見出せていなかったけども。

 スウェーデンの保持はEUROや今予選でおなじみだった3-2-5に変形する形。シャドーに入ったフォルスベリは元々フリーマンとして動くことが多く、自由に任せられていた感があったが、この試合ではより一層行動範囲が広がった感じ。バックラインまで下がってビルドアップに関与することも多かった。

 スウェーデンの狙い目はチェコのバックラインをフォルスベリで手前に引き寄せること。フォルスベリの引く動きに合わせて、他の前線が裏を狙う動きを組み合わせることで、左のハーフスペースの背後をつく形でチェコを追い込んでいく。チェコは5-4-1での撤退守備で裏へのラインを消すことでこれに対応する。

 前半に引き続き、後半も非常に手堅い展開が続く。より攻勢に出たのはチェコ。サイドから3人目の裏抜けの形を使いながら敵陣に迫っていく。チェコに比べれば、スウェーデンは極端にラインを下げてPA内に人数をかける形を採用しなかったので、チェコにはPA内にスペースがないこともなかった。

 だが、数回迎えたチェコの決定機はことごとく枠内にシュートが飛ばない。抜け出したクフタや、ファーサイドでクロスをフリーで待ち受けたハヴェルなど、ここで少なくとも枠には欲しい!というところでのガッカリシュートが目につく。

 スウェーデンはチェコの撤退守備の対策として、クルゼフスキをサイドに移す形で対応。チームで最も横に入り込む動きをうまく活用できるクルゼフスキのサイドからのカットインはチェコのブロックを脅かす数少ない手段。右のクルゼフスキからのチャンスメイクで、ファーに構えるイサクにクロスを当てる形を狙っていく。

 後半はどちらかといえばチェコペースだったが、延長に入るとスウェーデンがペースを取り返す。やはり、先導役となったのはクルゼフスキ。トッテナムでのプレータイムはかさんでも、使い減りがしないのも魅力。プレーの強度を落とさずにプレーを続けて、スウェーデンのチャンスを作る。

 流れを握ったスウェーデンは交代選手でさらに追い立てる。カールストロームの配球から、イサクに縦パスを入れてクアイソンとの連携でチェコの中央を一気にぶち破った。スバンベリの縦へのフリーランも含めて、スウェーデンの攻撃陣の画がうまく重なった得点となった。

 チェコはワイドのCBの攻め上がりを見せるなど、終盤まで粘りを見せたものの、延長戦での先制点にやり返す気力はなし。リードした展開で向き合いたくないチームとしては世界屈指のスウェーデンのブロックを越えることができず。試合はそのまま終了し、スウェーデンがポーランドの待つ決勝に駒を進めることに成功した。

試合結果
2022.3.24
カタールW杯欧州予選 プレーオフ 準決勝
スウェーデン 1-0 チェコ
フレンズ・アレナ
【得点者】
SWE:110′ クアイソン
主審:マイケル・オリバー

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