地獄からの生還に成功したボーンマス
トム・ロッキャーの心肺停止が試合中に発生し、延期されていたこの試合。当のロッキャーがスタンドでリスケジュールされたこの試合を見守り、60分にファンが彼に拍手を送ることができたということはとても幸運なことである。
試合はルートンがハイプレスに出ていくところからスタート。ボーンマスはこのハイプレスを乗り越えて前進できるかどうかがまずは試合のポイントとなる。サイドに広がるCBからキャリーを狙うなど、ボーンマスは後ろで横幅を使いながらルートンのプレスの矢印を分散させる。
一方のルートンはボールを奪い返したら即座に縦に進んでいく。特に右サイドからオグベネが運び、カボレが追い越している形でのサイドアタックは有効。ボーンマスの左サイドの守備ブロックは率直に言えば怠慢。戻ることはきっちりするのだけども、ホルダーへの距離が遠くマークになっていない。クラークを絡めた3枚でのサイドアタックに雑に対応した結果、チョンへのクロスからの失点を許すことになってしまう。
このサイド対応の緩慢さは失点以降も持続。特にこのボーンマスの左サイド側は酷く、戻っては寄せているフリをしているだけの状況は続いてしまう。その状況は右サイドにも伝染。ダウティーがワンツーでスミスを振り切ると、オグベネがネットを揺らし2点目。さらには再び左サイドからのキャリーであっさりと壊されてしまい、バークリーのゴールでハーフタイムまでに3点のリードを手にする。
ボーンマスはソランケがポストから根性を見せつつ、セメンヨとシニステラの開放から反撃を狙う。形自体は悪くはなかったのだけども、いかんせん緩慢な守備が流れを切ってしまうのが痛い。
それでも後半早々にソランケが根性からの反転でルートンのゴールをこじ開けることに成功。マッチアップした橋岡にとってはプレミアの門番に洗礼を浴びることとなってしまった。
このゴールで一気に反撃体制が整ったボーンマス。左右からのクロス攻勢とセットプレーでの優位でルートンのゴールを脅かし続ける。62分のセットプレーからのザバルニーのゴールがGLTにより認められると、2分後にはまたも橋岡に試練を与えることとなったセメンヨが1on1を制して試合を振り出しに戻す。
一方的な押し込みで勢いに乗ったボーンマス。前半の守備ブロックの緩慢さをつくための押し返しができない状態にルートンを追い込んでいく。橋岡を下げて左サイドの手当てをしたルートンだったが、セメンヨの勢いを止めることはできず。試合を決める83分の同点弾も彼によるものだった。
すでにルートンに反撃に出る力は残っておらず、以降もむしろボーンマスが追加点を奪う可能性が高い状態で推移。3点差をひっくり返す大逆転勝利で地獄からの生還を果たした。
ひとこと
橋岡にとってはこれ以上ない試練の内容。チームとしても重たい逆転負けである。
試合結果
2024.3.13
プレミアリーグ 第17節
ボーンマス 4-3 ルートン・タウン
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:50′ ソランケ, 62′ ザバルニー, 64′ 83′ セメンヨ
LUT:9′ チョン, 31′ オグベネ, 45+1′ バークリー
主審:サム・アリソン