Fixture
明治安田生命 J1リーグ 第9節
2022.2.23
横浜F・マリノス(6位/0勝1分0敗/勝ち点1/得点2/失点2)
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川崎フロンターレ(4位/1勝0分0敗/勝ち点3/得点1/失点0)
@日産スタジアム
戦績
近年の対戦成績
直近5年の対戦で横浜FMは2勝、川崎は5勝、引き分けは3つ。
横浜FMホームでの戦績
直近10試合の対戦で横浜FMの3勝、川崎が4勝、引き分けは3つ。
Head-to-head
直近の対戦成績では川崎が優勢。センセーショナルな横浜FMの勝利で終わった2019年の等々力での試合以降、2年間は川崎の負けなしが続いている。なんだかんだここ9試合は横浜FM戦で無得点の試合はないので、川崎にとっては相性の良いカードと言っても良いだろう。
ただ、日産においては戦績は互角。昨季の最終節に代表されるように引き分けが多く、直近5試合のうち3試合はドローである。残りは両チームの1勝ずつだ。
当該カードにおいて水曜開催となったのは2020年の11月以来。川崎が90分にジェジエウが勝ち越しゴールを決め、小林悠の追加点でダメ押しを決めた試合以来のミッドウィークのリーグ戦となる。
スカッド情報
【横浜F・マリノス】
・キャンプ終盤で負傷した永戸勝也は開幕戦欠場。
【川崎フロンターレ】
・昨季負傷したジェジエウは長期離脱中。
・車屋紳太郎はFC東京戦で肩を痛めて途中交代。
予想スタメン
Match facts
【横浜F・マリノス】
優勝した2019年以降、2年連続で開幕2試合は勝利なし。開幕戦で勝利を逃した今年もこの記録を達成してしまう可能性がある。直近7試合で2勝と低調な昨シーズンの成績を引き摺らないためにも宿敵をとっとと倒しておきたいところ。得意のホームゲームで結果を残したい。
新加入のエドゥアルドは開幕戦ではベンチスタートだったが、個人で見ると直近2年の4試合で負けは1つだけ。直近の川崎戦では大勝している。相性はいい。
直近の成績の好調さで言えば抜群なのはアンデルソン・ロペス。少し間は空いたが、昨年の札幌時代からのコンスタントな得点能力は健在。開幕戦ではさっそく結果を残してみせた。ホームでひさしぶりの得点を決めた仲川と共に今季初白星の原動力となりたいところだろう。
【川崎フロンターレ】
スロースターターなイメージのある川崎だが、昨年は開幕2連勝。今年も開幕戦は勝利を決めており、2年連続での連勝スタートのチャンスである。ちなみにそれ以前に開幕連勝スタートしたのは2012年以来なので、昨季の連勝がいかに久しぶりかがわかる。
ちなみにその2012年は開幕2試合連続のクリーンシートも達成。7年連続で開幕をシャットアウト勝利した今年もこのチャレンジに挑むことができる。ただし、ソンリョン加入以降無失点が続いている開幕戦とは異なり、リーグ2試合目は2013年以降毎年失点中。得点の取り合いになりがちな神奈川ダービーでこの記録を食い止めることができるか。
ただし、アウェイでの開幕戦は好調。直近7年無敗である。この7年で唯一の引き分けが2019年の横浜FM戦というのは気掛かりではあるけども。昨年終盤はガス欠気味だったアウェイで、好発進を決めたいところだが、
昨年のアウェイ開幕は得意の仙台の地で小林悠が爆発。リーグ戦での連続得点を開幕戦で伸ばしたレアンドロ・ダミアンと共に強敵のゴールをこじ開けたいところだ。
予習記事
展望
■センターラインの柔軟性とWGの個性の掛け合わせ
昨年の最終節のイメージが強かったこともあり、ハイテンポでハイインテンシティという形が横浜FMのスタイルということなのかなと思っていた。だけども、開幕戦のC大阪戦を見る限り、2022年の横浜FMはインテンシティ全開!!というスタイルではないように見えた。
どちらかといえば割とのんびりとしたポゼッションを大事にしたいのかな?というのが開幕戦の感想である。スタンスとしては深いところまでボールを運んだ後に、粘り強くやり直しながら攻撃を行うというよりは、タイミングを後方のパス交換で探りながら、一気にスイッチを入れて不可逆的に前に進んでいく形が多かった。
左右どちらのサイドで攻めるかによってテイストはやや変化。SBの松原と小池は内側に絞りながら、大外に張るSHへのパスコースを開ける役割だった。
この試合の左サイドの仲川はボールを受けた後、カットインにせよ縦に行くにせよ前方にプレーする傾向が強かった。先ほどの言葉を使うならば、より不可逆的な方向に攻撃を進めていくイメージである。
逆に右の水沼はWGタイプではないので、そういうスタイルではない。大外を取る機会はあるが、そこからはサポートの選手を使いながらのパス交換が主体。中央のマルコスが横からサポートしたり、中と外でレーンを入れ替えたり、後方の松原を使ったりなどより多角形の関係性を意識した保持を行っていた。
横浜FMの攻め方がダルいのはこの試合のようにSBやセンターラインの選手がピッチのどこでもプレーができることである。だから、今までの印象とは違っても、安定した保持をしながら試合を進めるスタンスには向いていると思う。
安定したセンターラインの保持にWGの個性を乗っけてチームの攻撃を成り立たせる!というのが個人的に予測した2022年の横浜FMのスタンスである。仲川、エウベル、宮市、水沼、吉尾など誰が出ても違う仕上がりになりそうだが、マルコスとレオ・セアラは誰が相手でも合わせられるだろうなと思う。それだけできることの幅が広い2人である。
守備においてはそこまで強く相手のバックラインにプレスをかけまくるというスタンスではなかった。加えて、2列目の選手たちもパスを受ける先を極端に厳しく制限する感じはしない。テンポを上げる展開を誘発するというよりは行ける時にプレスに出ていくぞという感じ。その代わり、トップの列落ちには最終ラインが厳しくついていく形が多かった。
ただ、ここに関してはC大阪戦だけのスタンスの可能性もある。C大阪の最終ラインが割と蹴っ飛ばすことが多かったから、バックラインにプレスをかけてショートパスを咎める意識をあまり持たなかったとかも関係しているのかもしれない。
保持に関してはこのチームが目指す今年の普遍的な姿なのかなと思うけど、非保持に関してはまだ流動的な予感はする。なんとなくという直感でしかないけども。
■裏抜けの力関係とセットプレー
横浜FMがあくまでC大阪戦のスタンスでくるという前提ならば、裏へのボールは狙い目になりやすい。となれば真っ先に川崎側で思いつくのはマルシーニョである。FC東京戦のようなボールが行き来する展開を狙うならば、当然一番活かしたいのはマルシーニョになるだろう。
ただ、昨年末の対戦ではだいぶ小池がマルシーニョの癖を掴んでいた感があったので、例えば永戸がフィットして小池が右に回ってくることがあれば、川崎としてはFC東京戦のような優位をここで取れないかもしれない。 誰が出るにしてもSBとの裏への駆け引きにおける力関係は試合の序盤において確認しておきたいところになる。
もう一つ、川崎の狙い目になりそうなのはセットプレー。C大阪戦では2失点ともいずれもCKからの失点。彼らの守備はGKのそばをゾーンで固める形を基調に3人だけエリアの外から入ってくる選手をマンマークするというスタイル。C大阪戦ではマークマン相手は進藤、ブルメン、奧埜で担当者は喜田、渡辺、仲川。ここの身長差を活かした空中戦の対人で後手を踏んだのが1失点目。ゾーンのところに放り込まれて岩田が清武に競り負けたのが2失点目である。
横浜FMは単純な空中戦にはあまり強くないメンツ。川崎もメンバー次第だが山村、知念、塚川あたりが出て来ればこの辺りの強度は増してくる。クラシコ同様に難しい展開が予想される試合において、セットプレーから先手を握れれば、川崎にとっては非常に大きい。
平地戦ではクラシコ以上の苦戦が予想される。CBへのプレス強度は未知数だが、FC東京が30分かかった川崎のハイプレス崩しはこの横浜FMならば、もっと早くやってのける気がする。川崎の強度が落ちるとかいうよりは物理的にプレスが届かない場所に届けるスキルが、チームの完成度的にFC東京よりは上という予想である。C大阪戦はハイプレスによって時間を奪われるような構図はあまりなかったので、時間がない中でのプレー精度に問題がなければという条件付きであるが。
川崎にとって開幕5戦が重要ということはすでに選手も監督も強調している。なので現状のやり方が極端にテスト色が強いとかそういうことはないと思う。浦和戦やFC東京戦が今季目指す大きな形なのだろう。サイド攻撃は密集打開色が強く、縦へのスピードの意識は昨年よりもさらに高い。そこの完成度を上げていって勝つ序盤戦になるのだろうと思う。
正直、大島アンカーの状態でここに取り組むのはわからない部分はあるし、横浜FM相手に通用するのか不安な部分があるのも事実である。だけども、チームの意図を読み取るための材料はピッチの中にしか落ちていない。試合の中でチームの完成形に対しての進歩や質の高さを感じさせる神奈川ダービーにしたいところだ。