Fixture
プレミアリーグ 第24節
2022.2.10
ウォルバーハンプトン(8位/10勝4分7敗/勝ち点34/得点19 失点16)
×
アーセナル(6位/11勝3分7敗/勝ち点/得点33 失点25)
@モリニュー・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
過去10回の対戦でウルブスの3勝、アーセナルの4勝、引き分けが3つ。
モリニュー・スタジアムでの対戦成績
過去10戦でウルブスの2勝、アーセナルの7勝、引き分けが1つ。
Head-to-head from BBC sport
スカッド情報
【Wolverhampton】
・ロメイン・サイスはAFCONから帰還しスタメンの可能性。
・ファン・ヒチャンは回復中だが、まだフィットにはやや足りないか。
【Arsenal】
・ふくらはぎの冨安健洋には元日以来のスタメンの可能性。
・セドリック・ソアレスもフィット。トーマス・パーティとグラニト・ジャカは出場停止から復帰。ニコラ・ぺぺとモハメド・エルネニーはAFCONから帰還で起用可能。
Match facts from BBC sport
【Wolverhampton】
【Arsenal】
予想スタメン
展望
■尖りがなくなった分、万能性が上乗せ
3連敗でリーグのどん底からのスタート。そこからV字回復を果たしてのトップハーフへの復帰。今季のウルブスの歩んできた道のりはアーセナルが歩んできたものと非常に似ている。アーセナルにとって今季1巡目最後の対戦相手は自分達と似たように上位にのし上がってきたチームとの試合である。
ウルブスの特徴はやはり自陣にきっちり引く5バック。どちらかといえば縦に早いチームではあるけども、昨季ほど極端にロングカウンターに傾倒しているというわけではない。基本的にはゆっくりとした展開を苦にしないことが一番の特色である。得点数はバーンリー、ノリッジについでワースト3だが、失点数はシティについで2番目に少ない。ロースコアの堅いゲームで勝ち点を積んできたチームだ。
攻撃面ではどのアタッカーも縦に早い攻撃には適性がある。ウルブスのアタッカーの最低条件であると言ってもいいだろう。だが、アタッカーの毛色は昨シーズンから微妙に変わっているように見える。これまではバルセロナに移籍したトラオレや長期離脱中のネトなどボールを持ってからの爆発的なスピードで相手を置き去りにすることで優位をチームにもたらすことができる選手が主体だった。
トラオレのスキルは既にアトレティコ戦で見た通り。バルセロナもアトレティコも彼の大外からの個のスキルを前提に攻撃や守備を構築していくスタンスだった。
彼らが健在だった時のウルブスは良くも悪くもWGにボールを渡しておけばOKというスタンス。良し悪しという表現をしたのはこの攻撃の構築の仕方に難点もあるからである。
トラオレやネトがいたときは彼らに何枚マークがつこうとも、それを剥がしてチャンスメイクすることを求めていたし、それができなければウルブスはチャンスを作る術がなかった。どんなにマークが集まっていてもWGにボールを渡すという形で手段が目的化していた感じである。
先述のバルサ×アトレティコにおいても、アトレティコはトラオレを守備の布陣の変更で抑え込むことに成功したが、チームとしての重心を上げられず、前半はバルサにボール保持を好き放題許してしまっていた。守る方も彼を抑えることが目的化してしまっていた感じである。
というわけで特徴が尖っている分、表裏一体のリスクがあるのがこれまでのウルブスのアタッカーだった。彼らに比べると、今のウルブスのアタッカーはオフザボールで貢献できる選手が多い。
代表格は新加入のファン・ヒチャン。ブンデスからの初挑戦組はフィットまでに時間がかかるパターンが多いのだが、ヒチャンはものすごく早いスピードでチームに溶け込み、絶対的なレギュラーの地位を確立した。
昨季は長期離脱で不在だったヒメネス(本当に戻ってこれてよかった!お帰りなさい!)はパワーヘッダーとしての印象が強いが、最終ラインとの駆け引きも得意とするタイプ。オフザボールの動きは非常に巧みである。
アタッカー陣の特徴を踏まえると出し手との連携構築の必要性こそあるものの、個人の尖りに依存する部分は薄まっている。中にはトリンコンやポデンスなどのオンザボールでのテクニックに持ち味がある選手も。こうした選手は遅攻で効果が高い。展開力に長けているネベスを軸にサイドチェンジからWBとの連携で崩す形やライン間への侵入でアクセントをつけることができる選手たちも揃っている。苦手な展開は減り、万能性が増した感はある。
守備はローブロック型の5-4-1、もしくは5-3-2。無理にプレスには行かないのが特徴。サイドを変えさせないように前線は中央を限定しながらがっちりと守る。しっかりと人数をかけて堅いブロックを構築することができるチームである。
■CHを引き出せるか否か
多用なアタッカーがいるものの、ゆっくりとした展開を好むのは守備陣の事情が大きい。バックラインの機動力の低さはウルブスの弱点である。従って、アーセナルはウルブスがハイラインを敷いているときは積極的にDFラインの背後を狙っていきたいところである。
仮にウルブスのブロック守備を攻略する必要が出てくるようになった場合はワイドのCB(いわゆるHV)を引っ張り出せるかどうかがポイントになってくる。当然、ハーフスペースの裏抜けは非常に重要な動きである。
そのためにはまずはCHに中央を守らせることに専念させないこと。やはりキーになるのはSBである。おそらく、サカとマルティネッリは対面するWBを大外にピン留めが可能。ならば、その手前のSBとしてはウルブスの1stプレス隊よりも奥に位置しつつ、中盤を引っ張り出せる位置にいたい。
ティアニーはあまりこうしたボール保持での駆け引きがうまい印象はない。それならば左サイドでの駆け引きはジャカに任せたり、あるいはガブリエウがボールを運んだりなど他人に任せて彼自身は一気に駆け上がる役割を担ってもいい。
それだけに右は冨安はなんとか間に合って欲しいところ。単に保持での駆け引きにフォーカスするならば、バーンリー戦のようにホワイトをSBで起用すればOK。だが、CBにホールディングを起用するのはウルブスのスピード豊かなアタッカー陣には怖さがある。もちろん無理は禁物だけども、冨安が間に合えば心強い。
非保持では逆にハーフスペースの侵入は許したくない。広く展開されて、大外とハーフスペースのコンボを使われることはどうしても避けたい。サイドからのクロスは非常に対応が難しい。単純な高さのあるヒメネスへの対応に加えて、マイナスのクロスのケアまで入るとどうしてもDFラインにはハードなタスクを課すことになってしまう。
ならば、サイド攻撃の指揮をするネベスだけはなんとか抑えたいところ。トップ下がケアするのか、あるいは強気にCHがケアするのかは相手の陣形次第だろうが、サイドのズレを積極的に使わせないためにも最低限司令塔のネベスには仕事をさせたくないところだ。
移籍市場では落胆したファンも多いかもしれないが、冬の移籍市場を正当化するためにも難敵を退けてCL出場権に向けて再スタートを切りたいところである。