■日本刀のようなキレ味で好スタートを切る
グループHの突破において本命と目される両チームがいきなり激突。パリ・サンジェルマン×ユベントスは第1節の中でもかなり注目度が高いカードである。
しかしながら、あまりバチバチとした撃ち合いという様相にはならなかった。どちらのチームも高い位置からプレッシングにはいかず、攻守の切り替えが少ない展開に。昨シーズンのノックアウトラウンドのビジャレアル戦とかもそうなんだけど、わりかしユベントスが絡むとこういう展開が多い気がする。パリもWBを低い位置に待機させるなど、前線のプレス強度を加味しての撤退第一主義を採用していた印象だ。
となると、互いに撤退したブロックをいかに崩せるか勝負になる。その部分で早々に結果を出したのはホームのパリの方だった。といっても解決策を提示したのはたった2人の連携。ムバッペとネイマールのワンツーで一気にユベントスのブロックを引き裂き、閃光のような先制弾を挙げてみせた。
パリはこうした一本の縦パスからの加速が非常に上手い。右でボールを持ちながら左サイドでユベントスの3センター脇に待機するネイマールまでボールを運ぶことができれば、そこがチャンスのきっかけになる。
強度の高い試合ではないと述べたけども、日本刀のように一瞬の切れ味で勝負するというところにフォーカスすれば、このパリは最強なのかもしれないと思うくらい。配置が全体最適されている感じはないけど、スモールスペースでの少ない人数での攻略が相手にとってはいつの間にか致命傷になっているという感じ。2点目のムバッペのゴールも相棒をハキミに変えて、同じように一瞬の切れ味でユベントスのバックラインをおいていったシーンだった。
ユベントスも配置でどうこうという感じではないチーム。正直前進に工夫を感じるチームではなかった。それでもパリのトップのプレス意識の希薄さからボールを前に進めることはできていた。パリに比べるとどうしても推進力はないけども。
敵陣にボールを運んだ後はシンプルなクロスで勝負。ミリク、ヴラホビッチの2トップにボールを当ててデュエルを制してもらうという形に終始する。
どちらのチームも守備に回ったらボールホルダーを放置して撤退するので、とにかくボールを持つ選手が自由になることが多かった。そうした時の引き出しはやはりパリの方が多い。オフザボールの動きが最小限ながら解決策を見極められるのが日本刀たる所以。ユベントスはオフザボールで動けない分、ホルダーが困ってしまい崩せないという形できっちりツケを払わされていた。
後半、CKから交代で入ったマッケニーが追撃弾を得るが、ユベントスにそれ以上反撃の機運が高まることはなし。メッシ、ムバッペ、ネイマールの華麗なワンタッチの繋ぎなど、追加点こそ得られないながら終盤もパリペースで試合は進む。
やや拍子抜け感があったのも事実だが、パリは完勝と言っていい内容。グループステージ突破に向けて好発進だ。
試合結果
2022.9.6
UEFAチャンピオンズリーグ
Group H 第1節
パリ・サンジェルマン 2-1 ユベントス
パルク・デ・フランス
【得点者】
PSG:5′ 22′ ムバッペ
JUV:53′ マッケニー
主審:アンソニー・テイラー