Fixture
プレミアリーグ 第26節
2022.2.19
アーセナル(6位/12勝3分7敗/勝ち点39/得点34 失点25)
×
ブレントフォード(14位/6勝6分13敗/勝ち点24/得点26 失点40)
@エミレーツ・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
過去の対戦でアーセナルの1勝、ブレントフォードの1勝。
Head-to-head from BBC sport
スカッド情報
【Arsenal】
・冨安健洋はふくらはぎの負傷での2試合の欠場から復帰の可能性あり。
・ガブリエル・マルティネッリはウルブス戦の退場で1試合の出場停止。
【Brentford】
・トーマス・フランクによるとクリスティアン・エリクセンのフィットはまだ先の模様。
・ふくらはぎの負傷で欠場しているイヴァン・トニーは当日評価。
Match facts from BBC sport
【Arsenal】
【Brentford】
予想スタメン
展望
■鉄板パターンを読み解く
開幕戦で屈したブレントフォードとのリマッチである。アーセナル戦での勝利を皮切りに彼らは素晴らしいシーズンの立ち上がりを見せた。アーセナル戦で見せたブレントフォードの振る舞いはまさしくその後の快進撃のテンプレートとなるものである。
フォーメーションは5-3-2でほぼ固定。試合終盤に点が欲しい時に限り、FWを1枚増やす3トップの形を残している。後方から2トップへのロングボールを当てて、IHでセカンドボールを拾い、高い位置をとるWBに展開するというのが彼らの攻撃の鉄板の流れである。
IHはセカンドボールを拾う役割を行った後はエリア内に突撃することでPA内でクロスの受け手になる。こうした一連の流れを見るとわかる通り、IHはサイドの崩しにはそこまで関与しない。よって、基本的には攻撃のやり直しはそこまで推奨していない。というわけでサイドの選手に求められることは何がなんでもクロスを上げることである。
WBのヘンリーやカノスは突破力がないわけではないが、ブライトンのランプティのように対面したどんな相手でもちぎってクロスを上げられるほどのアジリティがあるわけではない。というわけで彼らはサイドで詰まらせないためのルールがある。
それはファーに山なりのクロスを上げることである。このクロスの方針はほぼ決めうち。エリア内の受け手があらかじめそのつもりで待つことがわかっていれば、クロッサーは中を見ずにクロスを上げることができる。加えて、山なりのハイクロスならば、対面に相手がいたとしてもボールが引っかかりにくい。
クロスをニアで引っ掛けないとなれば、カウンターを悪い形で受ける可能性も低い。ファーへのクロスを折り返して、内側で待ち受ける選手がそれを叩き込む。それがブレントフォードの鉄板パターンである。
開幕当初の勢いが徐々に落ちていってしまっているのはなんと言ってもラヤの離脱が大きい。ブレントフォードの攻撃はWBに高い位置でボールを持たせつつ、エリア内に多く選手を配置できる状況を作らないと成り立たない。
ラヤから2トップにボールを当てるという方策は、この状況を成り立たせるための最短ルート。それだけに早く正確な後方からのロングボールの供給役を失った影響は甚大である。復帰してもなお、調子が上がらないのはフィードの受け手であり、エリア内でのフィニッシャーであるトニーが欠場しているから。この2人が揃えば、再び黄金パターンでの前進が復活する可能性は出てくる。
ただし、ブレントフォードはこの形にこだわりがあるチームではない。おそらく、戦力にあった合理的な手段ならば、どういう方法でも構わない!とするチームである。
そういう意味でジョーカーとなりうるのは2人。1人目は元アーセナルのダ・シルバ。前節のクリスタル・パレス戦ではサイドでボールを持った時にニアをドリブルで抉り、マイナスのグラウンダーのクロスを入れるなどこれまでの突破の方法と比べて毛色の違う手段をもたらすことができている。
もう1人はエリクセン。EUROでの悲劇からイタリアでのプレーが叶わなくなり、ロンドンに帰還したクラックはすでに練習に合流済み。メンバー入りに間に合うかは未知数ではあるが、全盛期のレベルのパフォーマンスを発揮できればこのブレントフォードでは明らかに別格のタレントとなるだろう。
2人の元ノースロンドンのジョーカーがチームに幅をもたらすことができれば、ヒタヒタと迫ってくる降格のボーダーとは最後まで無縁のシーズンを過ごせるはずだ。
■撤退守備に解はあるのか
ブレントフォードの特徴はどんな相手でも強気でプレスでくることである。マンチェスター・シティを別とすればバックラインに常にプレスをかけて、WBを高い位置に上げながら敵陣でボールを取り返すように狙ってくる。
おそらく、その目的は自分達の弱点を覆い隠すため。最終ラインのスピードはプレミアにおいては弱みになる。そのため、ボールホルダーに対して絶えずプレッシャーをかけることで裏に蹴り出されることを防ぎたいというのが彼らの目論みである。
そういう意味でアーセナルが最も避けたいのは手前でボールを受けることにこだわり、ブレントフォードのプレス隊を引き込むこと。ウルブス戦では特に裏へのランが少ないことが攻撃の手詰まり感を助長したといえる。なので、前線で最も無駄走りができるマルティネッリの出場停止は非常に痛い。ハイプレスに対する解を一つ失ったような感覚である。
しかしながら、今のアーセナルは開幕戦とまるっきり変わったところがある。それは当然GKとDFラインである。ボール保持においても、非保持においても今の4人は当時のスタメンと比べれば大幅にクオリティアップ。ブレントフォードが前がかりのプレスを仕掛けた時の8対7のビルドアップ回避の質は大きく上昇している。
ロングボールへの対応も同じ。冨安やガブリエウなど当時不在だったDFが加われば、アバウトなボールへの競り合いの勝利は大きくアーセナルに傾く。
むしろ、怖いのはブレントフォードが撤退守備を敷いてきた時。ハイクロスへの耐性は開幕と比べれば高まっており、サイド攻撃が詰まればバーンリー戦のように押し込みながらも攻めあぐねる可能性はある。IH、WB、CBの3枚で向かってくるサイド封鎖に対して、アーセナルはズレを作ることができるだろうか。サカの1on1ももちろん計算できるといいが、連携面で新しい上積みを見せることができれば、後半戦の新しい武器になりうる。次節のウルブス戦でもおそらく効くはずだ。
今季初めの失望を塗り替えるためには、当然勝利しかない。トップ4に向けての残り16試合を駆け抜けるためにも、開幕のリベンジを果たして勢いに乗りたいところだ。