勝負師・モウリーニョがナポリを飲み込む
ボールを持つ機会が多かったのはアウェイのナポリ。3-5-2を敷いたローマに対して、安全地帯となるSBのところにボールを預けながら前進する。
ボールを持たれることにはモウリーニョは慣れっこだろう。高い位置からボールを刈り取りにこそいかないが、サイドにボールを閉じ込めながらナポリの保持を封じ込める。オシムヘンやクヴァラツヘリアの降りていく動きについていき、ここからの攻撃の加速を許さない。ついていくだけでは前節のカリアリのように吹っ飛ばされることもあるので、抑え込むことができるのはローマの守備陣の個人能力の高さだろう。
5バックはどっしりと構えながらナポリのハーフスペースアタックを落ち着いて処理、サイドでズレを作ることができないナポリはボールを持つことができるが、そこから先に進むことができない印象である。セットプレーでの可能性は感じたが、それ以外はローマに封じ込まれたといっていいだろう。
ローマはボールを奪うとポジトラからチャンスを作る。トップに当てて一気に押し上げるスキームはなかなか迫力があり、割と急ぎ過ぎのように思えるカウンターでもボックス内に入り込むことができるボーヴェが優秀。3人目のフィニッシャーとして攻撃に厚みをもたらす。あとは大外からWBのフォローが入れば完璧。IHとWBがポジトラの流れに乗ったローマの方がむしろナポリよりも可能性のあるチャンスを作った前半だったといえるだろう。
迎えた後半はどちらのチームも保持においてはフラットな展開に。50分過ぎには両チームともに少し急ぐ展開になり、少し大味な流れになった。
そうした中で大きな流れを変えるきっかけとなってしまったのがポリターノ。どことなくこの試合を通じて存在していたギスギス感を報復で解放して一発退場。
ここを潮目としてとらえたモウリーニョ。前線の選手を投入し、一気にハイプレスで畳みかけに行く。このプランが奏功したローマ。高い位置からナポリの保持を仕留めて、ゴール前になだれ込むと最後は途中交代のペッレグリーニがゲット。ついに試合を動かす。
10人でも前がかりに攻め込むナポリに対して、先制点を手にしたローマはエル・シャーラウィが運び役となりロングカウンターに専念する。このポジトラに対して、無用なファウルを犯してしまったオシムヘンが退場。これでナポリは9人になる。
最後は負傷したナタンが一時的にピッチを退きフィールドが7人となってしまったナポリ。これでは反撃の糸口を見出すことはできず。ローマは最後にカウンターから追加点を仕留めて完全に勝負あり。ホームのローマがナポリを下した一戦となった。
ひとこと
モウリーニョが勝負師ぶりをいかんなく発揮した90分だった。
試合結果
2023.12.23
セリエA
第16節
ローマ 2-0 ナポリ
スタディオ・オリンピコ
【得点者】
ROM:76′ ペッレグリーニ, 90+6′ ルカク
主審:アンドレア・コロンボ