ブロック崩しの決め手となったムシアラ
立ち上がりはバイエルンのハイプレスからスタート。ケインの誘導のうまさがハイプレスの中で光っていたのが印象的だった。ホッフェンハイムはロングボールを使わずにショートパスから左右に揺さぶりつつ空いているスペースへの展開を狙っていく。
ホッフェンハイムのスタンスはバイエルンに似ていた。2トップのプレッシングでボールをサイドに追い込み、狭いスペースに閉じ込めることができた場合は一気に枚数をかけたプレスにいく。バイエルンとの違いはCFがCBにプレスに行く頻度。ケインに比べるとホッフェンハイムのプレス隊はバイエルンのCBを放置することが多かった。前に進める過程でプレスでボールを回収できるバイエルンに比べると、ホッフェンハイムのプレスはバックパスを絡めたやり直しでいなされることが多かったというバイエルンの対応もホッフェンハイムのプレスの意欲を削ぐ一因だったかもしれない。
というわけで少しずつ相手を押し込む機会が増えるバイエルン。何度もやり直しながらサイドに展開し、少しでもホッフェンハイムの陣形が薄いところを作る工夫を施していた。粘っていたホッフェンハイムだったが、セットプレーの流れからの一瞬の隙で失点。縦パスを受けたムシアラは角度のないところからあっという間にゴールを陥れた。
ホッフェンハイムはロングカウンターを軸に反撃を狙うが、バイエルンのDFにとっては比較的ついていけるスピード感。先制点以降も押し込み、即時奪回からムシアラや攻め上がるSBが縦への鋭さを出せるバイエルンの方が優勢な前半となった。
迎えた後半、バイエルンは引き続きボールを持って試合をコントロール。プレッシングも好調でホッフェンハイムを押し込めていく。47分にホッフェンハイムはプレスを掻い潜る見事な横断を見せたが、デイビスを引きつける前にボールをリリースしてしまったクラマリッチがうまく味方をフリーにできず、チャンスを潰してしまう。
流れが変わらないホッフェンハイムはプレスを強化。少しでも流れを変えようとする。しかしながら、流れを変えたのはハイプレスというよりもロングボール。2トップと前線に絡んでいくクラマリッチを使った手早い攻撃はバイエルンのDFを揺さぶるものだった。ロングボールにフリーズするデ・リフトと競り合いに間に合わないウパメカノの組み合わせは不安定。競り合いで優位に立ったホッフェンハイムは決定機を迎えるが、これを決めることができない。立ちはだかるノイアーに阻まれたのが一度、枠をとらえられないシュートが一度である。
ホッフェンハイムがチャンスを逃している間に試合を決めたのはムシアラ。タメを作るところと、フィニッシュの両面で決定的な仕事を果たして追加点を奪う。
直後のプロメルの退場で10人になったホッフェンハイムは完全に終戦。最後はケインが3点目を奪い、バイエルンが完勝でホッフェンハイムを下した一戦となった。
ひとこと
別格のムシアラ。相手を引きつけてそのスペースを使うところまでがセットになっていて、他の人とは違う意味で一人で組織を壊している。
試合結果
2024.1.12
ブンデスリーガ
第17節
バイエルン 3-0 ホッフェンハイム
アリアンツ・アレナ
【得点者】
BAY:18′ 70′ ムシアラ, 90′ ケイン
主審:ベンジャミン・ブラント